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物語の切れ端。  作者: 空月


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51/72

冬はこたつが最強。



「あー……やばい、こたつでアイスって組み合わせやばい。あれだ、冷房ガンガン効いてる中で鍋とかそのへんの至福に近い」


「同感。あれだね、やっぱ適度なストレスは快楽に必要ってことだね」


「この場合のストレスは寒さかー。寒いとこから暖かい部屋に入るとしあわせな気分になる感じか」


「うん、そういうことだね。そしてそんな寒さと暖かさのギャップを更に重ねたのが今の状況というわけだよ。しあわせの二乗だ。そりゃあ至福だよ」


「なー。もう俺こたつから出ないわ。こたつむりになるわ」


「こたつを背負って生活するのはさすがに無理があるよ。床暖房あたりで妥協しなよ」


「いやでもこたつの魔力にはかなわないだろ」


「それは同意する」





「おい、貴様ら」


「んー? あれ、おまえ仕事中だろ。今完全おまえの季節だろ」


「私の出番はまだ先だと思うんだけど」


「人が『寒すぎだろざけんなクソが』とか罵られながら仕事してる最中に何幸福満喫してるんだ貴様ら」


「それは冬の宿命だろ。俺だって『いくらなんでも暑すぎだろ夏なんて滅びろ』とか言われながら仕事頑張ったんだから冬くらいのんびりしたっていいだろー?」


「どうせ春になったら否応なく仕事しないといけないんだから出番くるまではこたつでごろごろしててもいいと思うんだけど」


「俺が気に食わん」


「やだー横暴ー。さすが『冬将軍』とか言葉生み出されちゃう人は違うわー」


「さっきから思ってたけど俺ら人枠でいいの?」


「だって『人』のが語感いいんだもの。あと『季節』って言うと春夏秋冬含むみたいにも聞こえるし」


「それもそっかー」


「呑気に会話するな!」


「キレんなよ。自分の寒さでイライラしてるの? 自業自得じゃん」


「気持ちはわかるけどなー。俺も夏はイライラするもんな。自分で暑くしてんだけどさ」


「仕事だからそれはいい。ただ目の前でぬくぬく緩んだ幸福ヅラを晒されるとイライラするだろう普通」


「いや普通を語るのはどうかと思う。どうせどの季節だって不平不満は漏らされるんだからさー。我慢するしかないって。私だって『暑いのか寒いのかはっきりしろ』とか『花粉撒き散らす春なんて滅亡すればいいのに』とか言われてるよ? もうこれは宿命だよ」


「どの季節でも好きな人はいるんだしさー。おおらかな心でやりきろうぜー。仕事だし」


「貴様ら……せめてこたつから出て俺と向き合ってから言え」


「えー。それはやだー。寒い」


「一度入ったら抜け出せない……それがこたつの魔力というものだよ」


「真顔で言ってるが相当アホな発言だからな、それ」




お題:冬の夏 制限時間:15分 で挑戦したもの。微妙に修正済み。


わかりにくいかもしれませんが、季節の擬人化的な何かだと思って頂ければ……。

秋がいないのは単純に書き分けるのが面倒だったからです。

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