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物語の切れ端。  作者: 空月


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魔法使いさんが魔法使いになった理由。



「この世界の魔法使いは、女が大半だ」


 私が魔法を使えるとわかって、「じゃあとりあえず魔法使いにすればいいんじゃないか」と勇者さんが言った。「じゃあ魔法使い、頼んだわね」と召喚士のお姉さんが言った。ちなみにこのお姉さんは実はお姫様らしい。踊りによって召喚をするので見た目は踊り子さんだ。

 「けどさー、それって要するに魔法使いにこのコ丸投げするってことだろ?」と意味ありげにシーフのお兄さんが口にして、勇者さんは「そういうわけじゃない」と否定した。

 その間、ずっと魔法使いさんはむっつりと黙ったままだった。

 だから、多分魔法使いさんは、それが不服だったんじゃないかと思ったんだけど。


「……ええと、『魔法使い』に男の人は少ないんですか」

「そうなる。理由としては、女性の方が魔法を細やかに扱えるからだ。これはれっきとした性別差がある。男が魔法を使う場合、意識しなければ完全な力押しになる。故にすぐ魔力が枯渇する。それならば、魔法の才能があるとしても、メインが剣の魔法剣士を選ぶ方が理に適っている」


 なんというか、心なしかノリノリだ。ノリノリでこの世界の『魔法使い』について講義してくれてる気がする。

 私としてはありがたいのでつっこまないけど、なんだろう、魔法使いさん、弟子が欲しかったのかな……。


「そういえば、勇者さんは魔法も使いますね」

「あいつは剣も魔法も召喚も、大抵の技能はどれもそれなりだな。魔王討伐のために聖剣を持たされたから剣をメインにしただけだ。シーフも戦闘中は魔法を使うこともある」

「そうなんですか……」


 この世界の人はある程度の魔法なら誰でも使えると言っていたし、そこに男女差はないらしい。ただ魔法をメインする人間は圧倒的に女性だということだろう。

 そうなると気になるのが、魔法使いさんはどうして『魔法使い』になったのかだ。ああやって言うからには、『魔法使い』に男性が向かないのは常識のように思えるけど。

 その疑問が表情にでも表れていたのか、魔法使いさんはちょっと躊躇うみたいな間をおいて、渋々といったふうに口を開いた。


「……私が魔法使いなのが不思議か」

「え。……ええと、……正直にいえば、はい」

「私も、『男の魔法使い』なんて肩身の狭いものにはなりたくなかったんだが」


 やっぱり肩身狭いんだ……。まあそうだよね、女社会に少数の男の人って感じだろうし。


「仕方がなかった。予知をしてしまったからな」

「……予知?」


 予知って、魔法と一緒なんだろうか。イメージ的には超能力だから限定特殊技能系に思えるけど。


「予知はわかるか? 稀に予知そのものを能力とする者もいるが――基本は魔力の高い人間が、不可抗力で見せられるものだ。なんというか……運命を垣間見る感じだな」


 言われて思い浮かべたのはアカシック・レコードだった。あれをちらっと覗き込んじゃう、とかそんな感じなのかな。


「察しているだろうが、私は魔力が――まあ、尋常じゃないほどに高くてな。『予知』は望んだものが見られるわけではないが、概ねその当人に関わる『何か』を見る。私の場合は、『魔王』を倒せる可能性のある人間が既にこの世に現れていること、その人間が魔王を倒すための旅を『させられる』こと、そのための人員を与えられないこと、を見た。つまりパーティさえ組めない状態で放り出されることをだ。だから、その『勇者』に最も必要だった『魔法使い』に自分がなるべきだろう、とな。最悪、男二人で旅をする可能性も考えていたし」


 しみじみ述懐する魔法使いさん。ちょっと目が遠くを見ているのはそっと気づかなかったフリをした。


 ……魔法使いさんの見た『予知』の勇者さんって、どれだけ劣悪な状況に置かれてたんだろう、とちょっと怖くなったのは余談である。




お題:男の魔法使い 制限時間:30分 で挑戦したもの。加筆修正済み。


賢者な罪人さんの過去話にしようかと思ったらなんか違っちゃった代物。土台だけ似てる別の異世界トリップ者さんの話。

魔法使いさんがノリノリなのは単純に人にものを教えるのが好きだから、という面白みのない理由です。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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