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物語の切れ端。  作者: 空月


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堕天したい天使と悪魔と私の一幕。





「あの、私――堕天した経験がないんです」


 目の前の、きんきら眩しい金髪に白磁の肌のお人形みたいに整った造形のヤツは、なにやらそわそわとしながら言った。


「だろうね」


 対する私は我ながら投げやりに答えた。というか応えてやっただけ偉いと思う。



「どうやったら堕天できるんでしょう? 天界でも調べたんですけどわからなくて」


 天界とやらに『堕天使のなり方』的Howto本があったら驚きだ。興味本位で堕天する天使が続出しそうな気がする。どうやら天使とやらは目の前のこいつのようにちょっと頭お花畑のやつが多そうだから。


「……そこの誘惑と智略の悪魔。出番デスヨー」


 私からも天使からも離れたところでにやにやにやにや苛立ちしか誘わない笑みを浮かべていた悪魔に水を向ける。

 悪魔は「ん?」とでもいうように軽く首をかしげて、それからふわりと宙を滑って近づいてきた。


「私の力が必要か? 今なら君の死後全てで取引可能だが」

「断る」


 おっとうっかり一刀両断してしまった。


「この天使サンが堕天したいけど方法がわからないらしいから教えてやりなよ。あんたにとっても利益あるだろうし」


 悪魔と天使はよくわからないけど表裏一体なんだそうだ。なので天使が堕天すると悪魔側にはメリットになるらしい。

 悪魔=堕天使というわけではないらしいけど詳しくは知らないし知ろうとも思わない。

 そもそも悪魔も天使も堕天使も関わらない平和で平凡な生活が私の望みである。


「なるほど。話は聞いていたが――しかし……」


 いつもは嫌になるくらい饒舌な『誘惑と智略の悪魔』にしては妙に歯切れが悪い。

 気にならないこともなかったのでじっと目で先を促す。


「いや、この天使なんだが、」


 もったいぶらずにさっさと言えよ、という台詞が口をついて出る前に、悪魔はどことなく困ったような顔をした。なんだそのレアな表情。


「――とてつもなく、堕天に向いていない」

「…………」


 堕天に向き不向きってあるのかとか、本人の意思とか行動でどうにかなるもんじゃないのかとか、色々ツッコミを入れたいような気はしたけど。

 それより先に、当人(?)たる天使が、この世の終わりのような表情をして崩れ落ちたので、そっちをなだめることになった――というのは、できれば忘れたい話だ。




お題:闇の天使 制限時間:15分 で挑戦したもの。微妙に加筆修正済み。


〈『闇の天使』とやらの可能性について。〉と同設定。

この天使は『私』の傍に居たくて堕天したがってるとかそんなベタな感じ。

多分堕天できないけどしょっちゅう入り浸るようになるに違いない。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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