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物語の切れ端。  作者: 空月


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48/72

全ては決まっていたんだ、とあいつは言った



 僕は『門』だ、とあいつはわらった。

 自虐的な笑みだった。






 あいつと出会ったのは、なんてことない、偶然が重なってのことだった。


 俺は手違いで指名手配犯になっていて、あいつは俺が逃げ込んだ宿屋の一室の住人だった。

 目を丸くしたあいつに剣を向けて脅そうとしたのは、随分と長くからかうネタにされた。


 事情を説明すれば、あいつは面白がるように、ほとぼりがさめるまで一緒に旅してみないかと言った。

 俺はちょっとばかり警戒しながらも了承した。国外に出るのは俺の目的にも沿っていたから。



 それからはいろんなことがあった。

 指名手配犯だとバレて騎士に追い掛け回されたり、あいつが余所の厄介事に首を突っ込んで巻き込まれたり。

 うっかり竜の生贄にされかかったときは、さすがにあいつのお人好し気質を矯正してやるべきじゃないかと心から思った。……まあ無理だったが。自覚のない人間に何を言っても無駄だった。



 気付いたら、『ほとぼりがさめるまで』のはずの二人旅に世界の命運が絡んでいて、何がどうしてこうなった、と思いながらも、俺はあいつとの旅を楽しんでいたんだと思う。

 あいつは一貫してマイペースで、俺はたまにそのやたら煌びやかな金髪頭を叩き倒したい気持ちになった。というか実際叩いたこともある。


 そうして何度か死にかけたりなんかもしつつ、俺とあいつはこの世界を脅かす『魔』の親玉のところまでたどり着いて――そうして世界の仕組みを、どうして『魔』が絶えないのかを知った。



 『魔を統べる王』によって明らかにされた事実に驚いたのは、俺だけだった。

 あいつはただ、静かに――覚悟を決めたように、微笑んでいた。




 『魔を統べる王』は死んだ。世界から消えた。

 けれど『魔』は絶えない。絶えるはずもない。何故ならやつらは別世界から来ているから。




 『門』を通って。




 僕は『門』だ、とあいつは言った。

 自嘲するように、笑って。


 だから君は、僕を殺すべきだと。

 僕を殺して、世界を『魔』から救いきるべきだと。


 そのために僕は君と出会ったんだ、と――夢見るように、言った。

 そうであれと、願うような声音で。




お題:あいつの門 制限時間:15分 で挑戦したもの。微妙に修正済み。


たまにこういう、どうしようもなくどうしようもないバッドエンドネタを書きたくなります。メリーバッドエンド……よりはバッドエンドですよねこれ。


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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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