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物語の切れ端。  作者: 空月


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混沌世界と神々の前日譚。




 世界創りに失敗したのだと、幼い神が泣きついてきた。



「うわー。これはひどいね」

「秩序ってもんがねぇな。混沌だな」

「しかも何も考えずに創ってるから、生き物だけは揃ってるよ。なんでこの状態なのに人間いるの」

「『そういう』世界って言い張るのも厳しいだろこれ」

「悲惨だね」

「悲惨だな」



 仕方がないので他の神々にも見せて回らせることにした。えぐえぐと泣く幼い神は庇護欲をそそらないこともないかもしれないが、ここで甘やかすとろくなことにならない。過去に似たような経緯で『神殺しの英雄』が生まれた世界もあることだし。



「あっははははははこれはひどい!!」

「嬉しそうに言うなよ」



「…………」

「リアクションに困るのはわかりますけどそんな憂い気な瞳で見つめられても」



「なにこれ面白い。弄っていい?」

「ちょ、やめてくださいよまだどうするか決まってないから手ェ出さないでくださいって」



「なんだまた厄介ごとか」

「まるで私がトラブルメーカーみたいな言われ様は正直心外なんですけど」



 総合して、その混沌世界の扱い方については、概ね二極に分かれることになった。 



 「これはもうさすがにひどすぎるから壊したほうがいいよ混沌の王とか生まれちゃったらどうするの」派と。

 「一回生まれちゃったものは仕方ないしなるようになるまで見守ってみればいいよそれも経験だよ」派。



 ちなみに元凶の神はメンタルブレイクされて寝込んでいる。気付いたら相談されただけのはずなのに主導者になっていた。解せぬ。

 気の合う相方(とはいうものの別に双神でも夫婦神でも何でもない)は私よりも大分思考がはっちゃけているのでこの状況も楽しんでいるようだ。予想通りである。


「で、どうする?」

「オマエはどーしたいわけ?」

「何故訊く」

「だって俺、オマエより位階下だし?」

「単にあんたが別枠扱いなだけだと思う。トリックスターめ」

「褒め言葉だな」


 そんな大して中身のない言葉の応酬をしつつ考える。

 元凶の神は「すみませんすみません厄介事の種でトラブルメーカーで考えなしの愚鈍な役立たずですみませんいくらでも謝るので二度とこんなことは起こさないのでどうかよろしくお願いします」と世界ごと投げてきたし、意見を聞いた神々は、究極的には「好きにすれば?」な感じだ。世界ごと創る神は多くない(誰かが創った世界に遊びに行ったり共同作業してみたりする神の方が多い)ので、世界そのものをどうこうしろと指図してくるほどのこだわりを持った神も少ないのである。

 少数のこだわりを持つ神はといえば、「そんなひっちゃかめっちゃかな世界押しつけに来るなよ絶対にだぞ来たら末代まで呪う」だの「ある意味思いつかない面白い世界だから手を貸すにやぶさかじゃないけど管理するのとかマジ勘弁」とかそんな反応である。彼らは彼らで自分の世界がこだわりに沿ってればそれ以外の世界は特にどうでもいいのだ。……ところで神にとっての末代ってどうなるんだろう。ちょっと気になる。


 ともかくも、一応創られてそこそこ経ってしまった世界である。生き物も普通に存在している。というか繁栄している。そんな世界をさくっと壊せるほど私は命を軽く扱えない性質だ。ちなみに相方はどうでもいい派だ。

 かといって、放っておけば混沌極まりない、多分いい方向にはいかないだろう世界をただ見守るのも――というか既にライフポイント底辺のあの元凶の神に見守らせるのもどうかと思う。鬼畜の所業になってしまう。

 となると。


「……ねえ、神としてじゃなく、『世界』に行く気、ある?」

「へぇ?」


 私の問いに、明らかに面白がる笑みを浮かべる相方。


 壊すのも放置するのも性に合わないなら、この手で変えてしまえばいいのだ。

 神として、じゃないのは、ただ――私もたまには、刺激を求めることもあるという、それだけのことではあるのだけど。


 そして相方ともに、混沌の世へ飛び込んで色々引っ掻き回すのは、また別の話である。





お題:神の第三極 制限時間:30分 で挑戦したもの。微妙に加筆修正済み。


きっとマゾかってくらいロースペックに改変して混沌世界に飛び込むんじゃないですかね。

色々やるうちにいつしか伝説の存在とかになっちゃって「意味がわからないよ」とか「なんか信仰されてんだけど。マジ笑える」とか会話したりする。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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