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物語の切れ端。  作者: 空月


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『異端』だった魔法使いの話。




 かつての私は、自分が異端であることを知っていた。許されざる存在であることを、知っていた。


 だからこそ苦悩し、自分という存在が生まれ出でた理由を求め、そうしてその果てに差し伸べられた手を、その理由なのだと思った。

 求められ、応えられる――それだけの力があるのだから、そのために存在するのだと思った。



 ……だけど現実は、容赦なく。

 いつしかその異端を、責め立てた。



 伸べられた手が、暴力という名の拒否を表わし。

 受け入れ、求める言葉を紡いだ口が弾劾する。



 それでも、私は彼ら――この世界の人々を恨みに思うことなく死んだ。



 異端を排除するのは人間心理として当然のことで、一度は受け入れてもらえた、その瞬間があっただけ幸せだったのだと。



 そう思いながら死んで――そうして、また生まれた。

 前世と同じく、『魔法使い』として。


 前世と違って『異端』とされる力を持たずに生まれたのは、今度こそ人のために生涯を捧げろということなのだと思った。前世で怯えさせてしまった人々を、真っ当な魔法使いとしてたすけていけと、そういうことなのだと。



 ……けれど、またしても、私は異端の烙印を押される。許されない存在だと。



 平凡な魔法使いだった。けれど、そんな私でも邪魔に思う人間はいたのだ。

 そもそも魔法使いは超常を操る。持つ力の程度にかかわらず忌避する人間は少なくなかった。



 そうしてまた、死んだ。


 生まれ、死に、生まれ、死に――『魔法使い』としての生を何度繰り返しただろう。


 異端ではないと、許されない存在であるはずがないと、原初の記憶があるからこそわかるのに。

 そういう運命だとでも言うように、私は何度も異端だと、許されないと、存在を否定された。



 繰り返す。何度も何度も何度も。



 いつしか疑念は膨れ上がり、原初の記憶がある故にわかる世界の終焉を先延ばしにすることすら、何の意味があるのかと思いながら――それでもいつかは、とまた繰り返す。


 まるで呪いのようだった。完全なる異端を受け入れられた記憶があるからこそ、世界に、人々に執着し救おうとし、けれどその記憶があるからこそ世界から受ける理不尽な仕打ちに疑念を抱く。



 ――果たしてこの世界は、私がこうまでして救おうとするべきものなのかと。



 救いがたい、どうしようもない。そう思いながらも、けれど見て見ぬ振りはできず――ずるずると記憶を抱いたまま生き死にを繰り返した。



 だけど、それももう終わりにしよう。

 私一人で救うには、この世界は重すぎた。



 だから、いつかの世、私のように世界の滅びの予兆を感じられる魔法使いが生まれることを祈って、私はこの長い長い記憶に終止符を打つと決めたのだ。


 ……ねえ、もうゆるされても、いいだろう。


 いつかの自分に囁いて、私は目を閉じた。




お題:許されざる魔法使い 制限時間:15分 で挑戦したもの。微妙に修正済み。


『独り舞台の幕が上がる』の『私』の話にしようかと思っていたんですが、なんかちょっとズレました。

『魔法使い』の概念自体は似た設定です。そう生まれつくもの。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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