表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物語の切れ端。  作者: 空月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/72

とある魔術師の述懐。




 いわゆるところの最終決戦、その前座的な四天王最後のひとりとの戦いの中。

 圧倒的な力の差を埋めるべく極限魔法を連発していた私は、相手の放った二重魔法の一度目を相殺したところで気づいた。


(――あ、次の相殺分の魔力足りない)


 必殺滅殺な感じの凶悪魔法を相殺できない――それすなわち死、と思うところだけど、よかったのか悪かったのか、私は同時に悟った。


(成程、これが『その時』か)


 妙に冷静な思考の中、魔力は足りないものの威力は多少軽減させられるので、悪あがきで相殺を仕掛ける。

 でもまあ予想通り、6割くらいしか削れずに、全身を衝撃が襲った。


 それと前後して仲間でありリーダー的な立ち位置である――『勇者』サマが四天王に致命傷を与えた。躊躇いのない太刀筋に、成長したなぁ、なんてのんびり思う。


「――大丈夫か!! 今傷を……ッ」


 絶命の瞬間を待たずに焦ったように駆け寄ってきて、荷物の中から万能薬を出そうとするので、うまく回らない口で何とか制する。これからいよいよラスボスだっていうのに、薬の無駄遣いはよくない。


「……魔力が回復すれば自分で治せる。薬はいらない」

「だが、」

「大丈夫だ、死なないから」

「…………」


 死なないからいいってものじゃない、とその瞳が雄弁に語っていたけど、とりあえずは納得してくれたらしい。薬をぶっかけるのはやめてくれたようだった。


 とりあえず壁際に寄りかからせてもらって、魔力の回復を待ちながら、しみじみ思い返すのは――この『負傷』のタイミングについて。


 私は前世を覚えている。ついでにその前の世も覚えている。

 争いと縁遠い世界で平凡な学生だった前前世。

 類希なる魔力でもって世に名を轟かせ、長い時を生きて、最後には異端として殺された前世。

 前の世で、私は取引をした。

 たったひとり、愚直なまでに『私』を信じ、守ろうとして、そうして死んでしまった――そんな馬鹿な人間を、次の世で助けるための。


 その取引の結果、私は大半の魔力を失い、今世では平均よりちょっと上くらいの魔力量しかない。

 そして、――さっきの『負傷』は、その取引の一部だ。彼の受ける『致命傷』を、私が受ける。ただそれだけの。


 まあそれでも素直に致命傷を受けるのはプライドが許さないので、とりあえず私はまだ死なないのだけど。

 願わくば、今世でも馬鹿みたいに他人を大事にしすぎるきらいのある彼が、私の死に傷つくことのないよう。

 彼のいないところで死ねるように、一応の努力はしようと思った。




お題:宿命の負傷 制限時間:15分 で挑戦したもの。加筆修正済み。


多分最終決戦あたりで『勇者』サマな彼の前世の記憶が蘇ったり前世の『私』の取引をしっちゃったりしてひと悶着あるんじゃないかと思います。

ハッピーエンドかメリーバッドエンドかは、多分取引相手だけが知っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Wavebox


↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ