整備士のひとりごと。
私は整備士だ。
職務内容は戦闘機の整備。パートナーである戦闘機乗り――パイロットの命を預かる大切な仕事だ。
私はこの仕事に誇りを持っているし、どんなに整備が困難な状況になっても、パイロットの生存確率を1%でも上げるのが自分の使命だと思っている。
だからこそ。
「流石にこれは、承服できないなぁ……」
支給されたばかりの最新鋭の機体を前に、深々と溜息をついた。
とりあえず一通りの点検は終わったのでパワーダウンして、本来ならば自分が座ることはないコックピットの座席に腰掛ける。
まだどこも、パイロット用にカスタマイズされていない、まっさらな機体だ。この座席も、彼を乗せるとなれば調節しなければならないのだけれど。
「さてはて、どうすべきかなぁ。上のお偉いさん方は当然知ってるとして、同型機が支給された他の整備士は知ってるかな。教えてあげるべきかなー」
この機体――もといその一部の機能を造形した人物はクソみたいに性格が悪いようなので、ちょっとやそっとじゃ気づかないだろう。この機体が――最新鋭の特攻用機体だとは。
私の所属している国は所謂ところの戦争をしている。軍属であるからして、そりゃあパイロットの命の危険というのは承知しているけれど、これはちょっとわけが違う。
技量云々じゃなく、私のパイロット《パートナー》の命が奪われるのは、我慢ならない。
とはいえ私はしがない整備屋である。しかもこの機体は幾人かのパイロットにピンポイントで支給された代物だ。型落ち機でも優秀な成績を残しているようなパイロットに。
作為的な何かを感じるものの、詳しいことまではわからない。お偉いさん方の一派がまたなにか阿呆なことを考え出したんだろうな、とかその程度だ。
「とりあえず、この外部信号受信して自爆するシステムはぶっつぶしておくとして。先輩方に助太刀をお願いしようかなー。私が根回しするよりはそっちのほうが早いし」
こういうことを嫌がるだろう先輩方を幾人か思い浮かべて、私は口元だけで笑う。
「――後悔するといいよ、クッソ性格悪い製造者。私をこの機体に触れさせたことをね」
全身全霊をかけて、その目論見をぶっつぶしてやるから。
お題:私のパイロット 制限時間:15分 で挑戦したもの。微妙に加筆済み。
メモってたネタから設定引っ張ってきてみました。
ここから始まる、いち整備士の反逆計画、とか多分そんな感じ。




