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物語の切れ端。  作者: 空月


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30/72

『処刑人』アリス



 僕はかつて、とある少女を愛した。

 少女は悲惨な過去を持ち、所謂アンダーグラウンドでしか生きることを許されず、しかしそれでも気高い心と魂を持った少女だった。

 多くの血でその手を汚し、畏怖と皮肉を込めて『処刑人』と呼ばれるようになっても、その気高さは変わらないままだった。


 少女の名はアリスといった。

 世界的に有名な物語の少女と同じ名を冠しながら、けれど少しもそれと交わることのない道筋うんめいを辿った――その短くも鮮烈な生涯を、僕は愛した。


 愛して、その潔いまでの死に涙して、――そうしていつか、彼女のことは思い出へと変わっていくはずだった。

 


「……それがどうして、こんなことに」

「それは私の台詞だわ。どうしてこんなことになったのかしら」


 僕が愛した処刑人は、僕の手の届かない世界の人だった。

 僕と彼女の人生が交わるなんてことは有り得ないはずだった。


 ……何故なら彼女は、紙の上の存在だったから。

 文字の羅列の中でだけ活き活きと動き回る――つまるところ、物語の中の人間だったから。


 それなのに、何故か彼女は、アリスは、僕の眼前にいる。


「僕、ついに頭おかしくなったかな」

「あら、あなた狂人だったの? それは困ったわ。今のところ頼れそうなのはあなたくらいだっていうのに」

「僕が言うのもなんだけど、君はもう少しこの状況に慌てるべきじゃないかな……」

「だって私、死んだ記憶があるのだもの。心残りはなかったわけじゃないけれど、心の整理はし終わっているの」

「だからって、この摩訶不思議な状況に対して冷静すぎるよ……」


 僕の愛した処刑人アリスは、異世界トリップなんていう信じられないような現象にもまるで動じない、素敵な少女だった。


 まあ、それがいいことなのかどうかは――今の僕にはわからないわけだけど。




お題:僕が愛した処刑人 制限時間:15分 で挑戦したもの。微妙に加筆修正済み。


念のためここで言ってしまいますが、つまり逆トリップネタです。

ここから始まるラブコメ風味どたばた劇とかそんな感じなんじゃないでしょうか。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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