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物語の切れ端。  作者: 空月


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26/72

『正義』の執行者と、





「どうしても、駄目かい?」


 穏やかに、優しげに。その人は言う。


「何度も言わせるな。絶対に断る」


 にべもなく、と表すのが相応しい口調で、表情で、私は答える。


「つれないな。僕はこんなに君を好きなのに」

「戯言は聞き飽きた」

「本心だよ」

「だけど戯言だ」


 むしろ本心だからタチが悪い、と心中で毒づく。いっそ完全なる戯言であればまだマシだったものを。


「何がいけないのかな。僕の何が君をそうまで頑なにさせる?」

「その胡散臭い笑顔もよく回る口も偽善者面も気に食わないが――あえて言うならその思想と行動が」

「僕は僕の正義を執行しているだけだよ」

「そうだな。それが人類虐殺だなんてものじゃなければもう少し対応が変わったかもしれないが」

「そういう言い方はよしてくれないかな。悪は滅すべきだろう?」

「完全な善人なんて空想上にしかいないのにか? あきれた正義だな」

「仕方ないじゃないか。悪の芽は摘み取らないといけない」

「その末が人類滅亡だとシャレにならないだろう」


 人間は須らく悪だ、とでもいうのならまだ可愛げもあるが、こいつの場合は完全な悪とは言い切れないと嘯きながら大量虐殺を決行するのだ。いつか善に変わるかもしれない、と口にしながら他人の命を刈り取るのだ。救いようがない。


「だから君は、最後まで残すと言ってるのに」

「断る。それなら今ここで、お前を討ち取る可能性にかける」

「僕は君を殺したくはないのに」

「それをするのが今か後かの差だけだろう。――そろそろ戯言は終わりにしよう」


 笑う。我ながら凶悪な笑みだった。


「――お前の言う正義を、ぶっつぶしてやる」


 それしか道がないのなら、あがけるだけ足掻いてやる。

 ただそれだけの単純な思考を、きっとこいつはわからないんだろうと、口の端だけで自嘲した。





お題:あきれた正義 制限時間:15分 で挑戦したもの。加筆修正済み。

殺し尽くして二人だけになった世界で君を殺して僕も死ぬ、を実践できちゃう系『正義』の執行者です。

それにしてもこんな傍迷惑な『正義』は標榜されたくないですね。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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