気ままな師を持つ弟子(仮)の話。
「極刑されることになった」
「……何がどうして」
「宗教上の理由だとか何とか。どうも見た目がダメだったらしい」
「だから言ったんですよせめてその髪色隠しましょうって……!」
いつもどおりに淡々と告げてくる目の前の人物――己の育ての親でもあり師でもあるリデルに、レン=クラウ=クロウは深々と溜息を吐く。
「レンは綺麗に隠したね」
「言っておきますけどこれそんな難しい術じゃないですからね。あなただったら一瞬で変えられますからね。というかちょっと目を離した隙にどこ行って何してるんですか」
「体と術の具合を確認していたら移動魔法が暴発してしまって」
「久々に戻したから一時期は不安定だって言ってたのあなたですよね? 本当何してるんですか」
レンとリデルは諸事情でつい最近まで体を交換している状態だった。元に戻せるリデルが中々その気にならなかったため、先日やっと戻ったばかりだったというのに、戻った矢先に厄介事を拾ってくるのは才能と言っていいものか。
「とりあえず逃げますよ。大人しく刑を受けてもいいことはありませんし」
「いや、ちょうどいいから多少手を出して行こうかと」
「……正気ですか。まだ懲りてないんですか」
「懲りてないって、何に?」
「前にも黒髪が不吉だとかって言われてた国にちょっかい出して引っ掻き回したのを忘れましたか。俺はあの二の舞は御免です」
「ああ、あの王女様のところ」
「そうです。やっとあそこからのややこしい干渉が一段落ついたっていうのに」
「あれはレンの見た目が格好いいのもいけなかったと思う」
「……褒めても何も出ませんよ。意見の撤回もしませんよ」
「褒めたつもりはなかった。事実を言っただけ」
「無意識に殺し文句言うのもやめて欲しいんですけど。俺の体使ってる時とか特に」
「……? とりあえず、このまま刑は受けるから」
既にそれはリデルの中では決定事項なのだろう。それがわかってしまうから、レンは結局、「わかりましたよ」と頷くしかないのだ。
「刑が執行される前にはそちらに行きます。どうせなら徹底的に引っ掻き回して偏見をぶち壊して塗り変えてやりましょう」
傍にいなければ何かあった時に手を出すこともできない。
不敵に笑ったレンに「わぁ、何か頼もしいね」なんて言っているリデルの行動ほど読めないものはないのだから。
お題:宗教上の理由で極刑 制限時間:15分 で挑戦したもの。若干加筆済み。
眠ってるネタのキャラだけ引っ張って書いてみたのですが、前提を説明しにくい話だったので失敗したなと思わなくもないです。
元々は『大悪党とか呼ばれてる人と体入れ替わっちゃったけどあんまり気にせず旅します』系コメディだったり。




