理想を叶えるには資質も重要
「いやだ」
むっつりと唇を引き結んで、確固たる拒絶を示す相方に、さてどういう言葉をかければよいものかと悩む。
「そうは言っても、それが君の進むべき道なんだから」
「そんな言葉で説得されるか。俺は絶対嫌だ」
当たり障りのない言葉はもちろん考えを改めさせるには足らない。かと言って、このまま押し問答を続けるのも生産性がない。
「……本当はわかってるんだろう? そうであるべき、という以外にも、君にはそれしか道がないと」
「先のことなんて誰にもわからないだろう! 俺は、絶対に、嫌だ!」
だんだん血がのぼってきたらしい。語気を荒げる相方に、溜息をつく。
「嫌でも何でも、どうあがいても逃れられないんだから仕方ないと思わないか」
「それが俺の宿命だとでも?」
「似たようなものだと思うんだけど」
「そんなのは認めないからな! 俺は、俺は絶対――ッ」
「――ミステリアスで頼れるおにーさんになるんだー!」
「うん、そう言ってる時点で無理だよ」
溜息に呆れが交じるのも仕方ないと思う。それくらい、無謀な宣言だ。
よくて、ちょっと抜けてる三枚目な実力者、とかその辺りにしかなれないだろうに。
「少なくとも、頼れるお兄さんは張られた罠に真っ先に掛かって首まで埋められたりはしないし、そこから自力脱出できないなんてこともない」
「うぐ、」
「それにミステリアスとか君には無理だよ。表情が素直すぎる。何でも顔に出すぎ」
「うぐぐ……」
現状を交えてこんこんと説いたものの、認めたくなさそうな奇声を絞り出しているので効果は薄そうだ。
仕方なく、魔法を使って救出してやる。
「大変だねぇ、直情型の相方のフォローは」
「まあね」
同じ試験中の友人が笑い混じりに言ってくるのに頷く。否定はしない。あちらもあちらで、優秀ではあるもののどこかズレた相方のフォロー役を買って出ているようだから、似た者同士なのかもしれない。
無謀な目標を掲げて、現実をなかなか認めない自分の相方は阿呆だと思うけれど、それでも見捨てられないのだから多分これからも尻拭い役としてやっていくことになるのだろう。
……それもまた悪くはないと思う自分がいるから、仕様がないな、と苦笑した。
お題:どうあがいても宿命 制限時間:15分 で挑戦したもの。加筆修正済み。
シリアス良さそうだなぁとお題を見て思ったはずなのに、気づいたらギャグ(?)だった代物。
『幼馴染は悪役志望』と同世界の話。ラスト間際に前作語り部がちらっと出てたりします。




