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物語の切れ端。  作者: 空月


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19/72

幼馴染は悪役志望




「俺は、悪役になりたい」

「……は?」


 生を受けて以来の腐れ縁が、唐突にそんな頭の湧いたようなことを言った。


「それもとてつもない悪役になりたい。子々孫々語り継がれるような悪役になりたい」


 空耳かと思ったけれど、表現を割増で三度も言われてしまえば、気のせいで済ますことは無理だった。仕方なく、疑問の体で復唱する。


「悪役?」

「そうだ」


 生真面目な顔で、深く頷かれる。……意味がわからない。


「どうしてまた、いきなりそんなことを」

「口にはしなかっただけで、以前から考えていた」


 そんな素振りはなかった気がするが――いや、もしかしてあれか? たまに遠い目をして考え込んでたアレか? せいぜい将来有望な魔法士様に対する周囲の重圧が現実逃避させてるとかその程度かと思ってたけどそこまで追い詰められてたのか?


「何がどうして悪役志望なんてことに?」

「だって必要だろう」

「……いや、あのな?」


 どうしよう、こいつ時々思考がズレてるよなーとは思ってたけどまさかここまでわけがわからなくなってるとは思わなかった。


「勇者や救世主や――そういう正義の味方志望は沢山いるだろう」

「まあ、正義の方が人気だな」

「だが、悪役はそうではない」

「誰も好き好んで憎まれ役をしたくはないからな。性根捻じ曲がってる場合はともかく」


 公然と他人を甚振れる(限度はあるにせよ)ことに利点を見出したり、善とか正義とか反吐が出ると公言してたり、強い奴と戦えるならそれでOKとか言う奴はともかくも。


「だからだ」

「……つまり、悪役の人材不足を憂いてということ?」

「簡単に言えばそうなる」


 ……どうしようこいつ知ってたけど頭のいい馬鹿だ。


「一つ言っていい?」

「……なんだ?」


 なんでそこでちょっとびくっとなる。反対意見言われるとでも思ってるのか。


「そういう思考する時点で、悪役向いてないよ?」

「…………」


 苦虫を噛み潰したような顔で黙り込んだ腐れ縁兼幼馴染に、心の中で深く深い溜息をつく。


 一度言いだしたらテコでも動かない性分は知っている。こんこんと向いてないことを諭しても無駄だろう。

 仕方ない。向かない悪役をやりたがる馬鹿の、フォロー役くらいはやってやろう。


 ……どう頑張っても、途中で仲間になるタイプの悪役しかできなさそうなんだけどなぁ、こいつ。


 とりあえずは現役で悪役やってる人達に裏事情でも聞いておくとしますか。こいつに向いた悪役も多分あるだろうし。


 悪役業をやっている知り合いを頭の中でリストアップしながら、この事態を少しばかり面白がっている自分を自覚して――やっぱりこいつより悪役向きだよなぁ、と思った。




お題:とてつもない悪役 制限時間:15分 で挑戦したもの。加筆修正済み。


多分メタな感じで悪役と正義の味方を量産する世界の、正義向き魔法使い(予定)とその腐れ縁兼幼馴染の話。

基本がいい人で真面目でたまにズレてる若干ヘタレな悪役と、そのフォローに走り回る相方、みたいなことになるんだと思います。

きっとどこの世界で悪役やっても仲間フラグ立ちやすいんじゃないですかね。その内悪役仲間内でネタにされる。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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