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物語の切れ端。  作者: 空月


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16/72

氷の魔王の城事情。




「……魔王様」

「なんだ」

「……大変言いにくいのですが」

「……なんだ」


「超絶寒いです」

「…………」

「ものっすごく寒いです。もっと頑張ってください」

「…………まだ、なのか……」


「ええわかっているんです、責めているわけではないんです。魔王様は氷の魔王様でいらっしゃいますから、この城の環境がこうなるのも仕方ないとは思うんです。でも生存限界には挑戦したくないなって」

「これでも抑えている……」

「だから責めてるわけじゃないですよ魔王様。ほら泣かないでください」

「……泣いてない」

「はいはい、わかってます泣いてない泣いてない。いやホント泣かないでくださいね、魔王様が流した涙ひとつで私凍っちゃいますからね」

「…………」


「苛めてやるなよ側近A」

「苛めてないよ側近B。ところで何その側近Aって」

「なんか物語の中だと、魔王に付き従う側近とかっているみたいだったから呼んでみた」

「つまり意味はないと」

「俺側近Bでいいの?」

「いいんじゃないの。魔王様の力が尋常じゃないせいで、この城にいられるの私と君くらいだし」

「魔王様だって頑張ってるだろ。気温も一度くらいは上がったろ」

「微々たるどころじゃないけど。変化って言えるほどでもないよね。焼け石に水的な」

「まあそれ以下だよな」


「……焼け石に水以下……」

「あー、すみません魔王様。聞こえてましたか」

「いや、この距離で聞こえなかったら驚きだよ。で、首尾は?」

「上々。炎の方は気さくでいらっしゃるからなー。二つ返事だった」

「まああっちもここまでじゃないけど大変だろうしね。一時期でも相殺しとけばマシでしょうよ」

「だなー」


「ところで勇者御一行はまだ来ないの? うっかり死んでないよね?」

「あ、だいじょぶだいじょぶ。後輩くんは元気に水の魔王様ンとこ向かってる」

「あー、じゃあ一巡するまでは来ないか。先は長そうだ」

「早く来てくれるといいんだけどなー」

「魔王様の力削いでくれると助かるんだよねぇほんと」


「……一応、魔王と勇者は敵対関係なんだが。魔王としては遭遇したら消滅の危機なんだが……」




お題:寒い魔王 制限時間:15分 で挑戦したもの。地味に加筆修正済み。


裏設定(?)としては、側近Aも側近Bも元勇者一行(現在の勇者御一行とは別)。しかも異世界人。

ベタな勇者召喚の末なんやかんやあって今は氷の魔王様のお城で側近ごっこやってる……的な。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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