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「……いい加減、折れろよ」
うんざりした声音で吐き捨てられたその人物は、にこりと笑うことで拒否を示す。
「アンタだってわかってんだろ。異常だっての」
頷くことも、首を横に振ることもなく、ただ笑みだけを浮かべていることこそ、その返答だった。
「正義は悪に勝つだの、善は何物にも勝るだの、絵空事なんだよ」
なあ、と同意を求められても、やはり笑顔を湛えたまま。
「いつまで執着してんだ。善は悪に屈しないとか言ったって限度があるだろ。こっちのがうんざりしてきたじゃねーか」
深い溜息。それでも返答はない。
「飽き飽きしてんだよこっちだって。生産性はねぇし、やっててもつまんねぇし。こーいうまどろっこしいの苦手なんだっての」
くるり、と手の中で回された凶器の煌きにも反応はない。
「ぶっつぶして終わり、とかなら楽だってのに、そうじゃないからややこしい。アンタが一番ややこしいけどな」
首が少しだけ傾く。抗議に等しい疑問の仕草。
「異論あんのかよ。……あーまあ確かにある意味アンタは単純だけどな。単純だからややこしいっつーかなんつーか」
善だから屈しない。善だから諦めない。善だから何度だって立ち上がる。
「にしたって限度があるだろうよ。ほんと、いい加減折れてくれねーかな。発展性がねぇよホント」
恨み言は虚しい響きを残して宙に消える。
「――で? 答えはわかってるけど訊いてやるよ」
諦めて死ぬか。
諦めないで『もう一度』か。
――さあ、どっちだ?
お題:不屈の善 制限時間:15分 で挑戦したもの。
ふわっとファンタジーというかふわっとメタというか。フィーリングで読み取っていただけたら幸い。




