独り舞台の幕が上がる
唐突にどシリアス。
「――そんな真似をして、魔法使いとして恥ずかしいとは思わないのか!」
非難の言葉に、思わず笑う。
「恥ずかしい? 何が?」
「そんな、薄汚い――誇りと歴史を穢す行為をだ!」
それは心底『私』を軽蔑する感情に満ちあふれた声で。
とてもとても、――心地よかった。
「……何が、おかしい」
実直で、融通が利かなくて、だけど心根は誰よりも清い――そんな、かつての友人が絞り出すような声音で言う。
「何がだろうね。私にもよくわからないな」
「お前は、そんな奴じゃなかっただろう。そんな、……」
「――気でも違ったような奴じゃなかった? そうかもね。君といた頃の私はそうだった」
まだあの頃の私は、知らなかったから。何も。
「何があった」
「…………」
「こうまでして、やりたいことがあるんだろう」
「……言ったら、手伝ってくれるの? 賭けてもいいよ、君は信じない」
「勝手に決めるな」
「無駄なことに労力は使いたくないんだ」
そう。無駄だと思ったから、思い知ったから、私はもう手段を選ばない。
信じて裏切られるのはもうたくさんだ。
「いいから、『言え』」
おや、と首を傾げる。嫌っていた言霊魔術まで使うとは。
「効かないのはわかってるだろうに」
「効かなくとも、本気で言っていることは理解させられるだろう」
「うん、まあ少し予想外だったな」
でもやっぱり、話す気にはならない。
どうしようもない、救いがたいこの世界の人々を、信じては裏切られた『魔法使い』。
私はもう、『それ』になるつもりはないんだ。
だから、笑う。笑って最後の『友人』としての言葉を紡ぐ。
「ごめんね。さよなら。君のことは、多分きっと好きだった。こうなっても、信じてもいいと思えるくらい」
信じて、馬鹿げた『過去』の繰り返しを、話したっていいかと思うくらい。
だけどもう、時間切れなんだ。
この先は、道連れはいらない。私ひとりだけで、いい。
お題:薄汚い魔法使い 制限時間:15分 で挑戦したもの。
唐突に始まって唐突に終わるのは仕様です。
こういう題材が好きなので「またかよ!」な設定ですが好きなものは好きなのでしょうがない。




