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物語の切れ端。  作者: 空月


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13/72

独り舞台の幕が上がる

唐突にどシリアス。




「――そんな真似をして、魔法使いとして恥ずかしいとは思わないのか!」


 非難の言葉に、思わず笑う。


「恥ずかしい? 何が?」

「そんな、薄汚い――誇りと歴史を穢す行為をだ!」


 それは心底『私』を軽蔑する感情に満ちあふれた声で。

 とてもとても、――心地よかった。


「……何が、おかしい」


 実直で、融通が利かなくて、だけど心根は誰よりも清い――そんな、かつての友人が絞り出すような声音で言う。


「何がだろうね。私にもよくわからないな」

「お前は、そんな奴じゃなかっただろう。そんな、……」

「――気でも違ったような奴じゃなかった? そうかもね。君といた頃の私はそうだった」


 まだあの頃の私は、知らなかったから。何も。


「何があった」

「…………」

「こうまでして、やりたいことがあるんだろう」

「……言ったら、手伝ってくれるの? 賭けてもいいよ、君は信じない」

「勝手に決めるな」

「無駄なことに労力は使いたくないんだ」


 そう。無駄だと思ったから、思い知ったから、私はもう手段を選ばない。

 信じて裏切られるのはもうたくさんだ。


「いいから、『言え』」


 おや、と首を傾げる。嫌っていた言霊魔術まで使うとは。


「効かないのはわかってるだろうに」

「効かなくとも、本気で言っていることは理解させられるだろう」

「うん、まあ少し予想外だったな」


 でもやっぱり、話す気にはならない。

 どうしようもない、救いがたいこの世界の人々を、信じては裏切られた『魔法使い』。

 私はもう、『それ』になるつもりはないんだ。


 だから、笑う。笑って最後の『友人』としての言葉を紡ぐ。


「ごめんね。さよなら。君のことは、多分きっと好きだった。こうなっても、信じてもいいと思えるくらい」


 信じて、馬鹿げた『過去』の繰り返しを、話したっていいかと思うくらい。

 だけどもう、時間切れなんだ。


 この先は、道連れはいらない。私ひとりだけで、いい。





お題:薄汚い魔法使い 制限時間:15分 で挑戦したもの。

唐突に始まって唐突に終わるのは仕様です。

こういう題材が好きなので「またかよ!」な設定ですが好きなものは好きなのでしょうがない。

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↑反応があると軽率に続きを書いたりするかも
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