獄中で、最上級の馬鹿と。
「うへへ、終身刑なっちった。ドジったわー」
目の前の馬鹿がヘラヘラといつもどおりの緩んだ阿呆面でそんなことを言ったものだから、ついうっかり普通に罵倒してしまった。
「馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど本当に君は途方もなく救いようもない馬鹿だね」
「いっそ称えられてる様な気がする罵倒をありがとう。っつーわけで後頼んだ」
「馬鹿言わないでくれる? 自分がやったことの後始末くらい自分でやりなよこの馬鹿」
「馬鹿馬鹿言うなよー。ホントのことでも傷つくだろ?」
「君のその鋼鉄の神経に傷をつけられるならもっと言ってあげるよ馬鹿。自覚あるから最悪だよね馬鹿。もしかしたら万に一つでも馬鹿じゃなくなるかもしれないしちょっと全力で殴ってあげようか?」
「丁重にお断りするわー。お前そのいかにも頭脳労働派ですって見た目に反して強すぎるんだよ死ぬよ。獄中で謎の撲殺死体になるのは御免被るわ」
「僕だって君の尻拭いとか御免被るよ」
「いやでも俺終身刑くらったしなぁ。脱獄する気もないしなぁ」
「だろうね。だから君はそこで指くわえて見てるといいよ」
「は? 何を?」
「さくっとクーデター成功させてくるから、昼寝でもして待ってれば?」
「指くわえてみればいいのか昼寝してればいいのかどっちだ。っつーか何? それ本気?」
「本気。君が馬鹿すぎるからこうなったんだ。しっかり責任はとってもらうよ」
「うわ超不吉。……えええマジか……」
こっちは他人をかばって終身刑くらうような阿呆の存在にマジかって言いたいよ、とは、言わないでおいた。おかげで予定も計画も総崩れしたことについての恨みつらみは、後でたっぷり言い連ねてやろうと思う。
お題:うへへ、終身刑 制限時間:15分 で挑戦したもの。微妙に加筆修正済み。
多分綿密な計画の末にできたばかりの反乱軍の旗頭(終身刑くらった阿呆)とその参謀(馬鹿馬鹿言ってる方)とかそんな感じです。




