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いじめ同盟

作者: 伽ノ花

遺書


僕は、いじめにあっています。

自殺します。

もう、誰も信じられません。


春川 智





■フィクションです。


1 『いじめ』

そう、それはいつもと変わらぬ朝だった。

ピピピ――

という目覚ましで起きて、朝ご飯を食べいつも通り、7:30には家を出る。


いつも通り、そう今日の朝までは少なくともいつも通りだったのだ――…。

学校に登校し、教室に入って…それが――。

それが、僕にとっての日常でない事を知った。


「おはよ〜」

教室の、扉を通る時にそう挨拶をした。

返事は、一人からも返ってこなかった…。

そう、僕の友達からも…。

クラスがつめたい、そう感じた…。

自分の席まで移動し、椅子を引いて驚いた。

椅子の上に画鋲が所せましと並んでいた。

しかも、全部上向きで……。

画鋲を手で払いのけた。

コロンコロン…いきよいよく転がったが画鋲が床の上でクルクルと回って、やがて止まった――。


そして…先生が、教室に入ってきた―――…。


2 『クラス』

そう、ここはごく普通の小学校。

5学年のあるクラス。

クラスの人数は39人。

男子22人、女子17人の一般的クラスである。


先生が、教室に入って来た。

いつも通りにひんやりとした空気が漂う。

誰一人お喋りはしていないのだ。

静かに話を聞いているようで、生徒は誰一人担任の顔は見ていない。

その中で、このクラスの担任、田山 雄三は、出欠を取り始める。

「新井……」

「はい」



…。

「はい」

そう、名前を呼べば返事もする。

しかし、まったく生徒の心が読めないそんな状況なのだ。

決して悪いクラスではない、授業も積極性はないが静かに聞いている。

掃除だって、当番通りちゃんとしているようだし。

そう、すでに30をとおに越し、数多くのクラスを持ってきたが結構良いクラスであると思う。

言った事はきちんとしてくれるのだ。

問題はない。


そう…なんの問題も――…。


表面上だけ見てれば…。

何もない、静かで良いクラス。


そう…表面上だけ見ていれば――……。


出席も取り終え、クラスを後にする。

そうして、一時間目が始まる…。


3 『一時間目』

ガラガラ――

先生が、教室に入ってきた。

「起立、礼」

日直が号令をかける。

『お願いします』

全員揃って挨拶をする。

「着席」

いつもと同じ挨拶だ。

「教科書102ページを開いて・・・」

先生は、自分の教科書をめくりながらそう言った。


そう言われて、僕は机の中からノートと教科書を取り出そうとした…。

取り出して・・・

ページを開こうとして驚いた――。


死ね 死ね 死ね・・・・・・。


他のページも全てめくってみる・・・。

手がガタガタと震えた。


くず・・・


ごみ・・・


学校にくるな―――・・・。


ノートも開いてみる。

まったく同じような文字が並んでいた。

教室を見回す。

僕に皆が注目している。

中には、クスリと微笑んでいる者さえいる。

誰とも視線はあわなかった…。

あんなに中のよかった友達さえ…。

僕とは視線をあわせてくれなかった――…。



先生にばれてしまうのが嫌で、僕は、教科書とノートを机の中に戻した。

そして僕は、仲の良かった友達、佐藤 陽平を見た。

またも、視線をあわせてはくれなかった。


4 『ゲーム』

このクラスの中には、生徒だけに存在する不思議なルールがある。

ルールとは言わないかもしれない…

これは、ある種のゲームなのだ。

だいたい一週間で、「いじめ」の対象を変えていくのだ。

クラスで一番権力のある奴でさえ、「いじめ」の対象にしっかりと含まれている。

そして、今回は僕の番なようだ…。


そう―――…。


一週間…。

長くて一週間、我慢すれば―…。


日に日に悪化していくいじめ。

給食の中に入れられるゴミ…。

なにが辛いかって、お腹のすいたまま5、6時間目を受けなければいけない事だ。


教科書やノートはばらばらにやぶられ、もう使うことは不可能だった。

授業の度に、

「教科書を忘れてしまいました…」

そう言うと、先生は必ず

「隣の人に見せてもらいないさい」

そう、言う。

けど……。

今の僕に教科書を見せてくれる人はいない…。


ただ…、ただ……、泣きたかった…。


一週間が早く過ぎてくれる事を願い、僕は机につっぷした…。


そして…。

一週間―…。


二週間――…。

長く感じる時間とは裏腹に、過ぎていった。


5 『携帯』

二週間が過ぎ、僕は

オ カ シ イ ―――――― 。

と、思い始めた。

二週間も同一人物を対象に「いじめ」が行われたことはないのだ。

長くて一週間ちょい、それが暗黙のルールだった――。

なのに、そのルールはくずれた。

僕の番に……。

クラス全員からの、仲間はずれ、無視、ののしり、暴力…。

それらは日を追う事に、ひどさをましていった……。


 モウ ガッコウニ ……

   イ キ タ ク ナ イ ―――…。


僕は、次第に学校に行かなくなった。


 イ タ イ――

   ―― コ ワ イ……。


それから、数週間が立った…。

流石に、「いじめ」の対象も変わっているという思いが強くなり僕は学校に行くことを決めた。


――…。


扉を開け、教室を見回し…。


僕の机の上には…―――。


  白い菊の話……。

それが、現実だった…。

視界が真っ白になった。

廊下と、教室の丁度境目で立ち止まって…。

頬に涙が、ポロポロとつたう。


僕は、走って家に帰った。

全力疾走で…。


家に帰り、ベッドにつっぷした。

ふいても、ふいても出てくる涙と戦いながら、天上を見上げていた。


すると…

携帯から受信音が。

一件のメールが届いたのである。

いじめが始まってから、一件もメールが来なかったのに…。

クラスの子からかな…なんてわずかな希望を抱いて携帯を開いた――…。


――…。


6 『不思議』

まったく知らない人からのメールだった。


■いじめ同盟■


私は、いじめにあって自殺をした。

私は、いじめた奴等に復讐する事も叶わずに死を選んだ。


許せない許せない許せない許せない許せない

   許せない許せない許せない許せない許せない


いじめた奴等を一生許さない。

いじめをしている奴等を一生許さない…。

  

 呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる

    呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる


だから、私はいじめられている人達にメールを送り続ける。

助けるために。

いじめた奴等を呪い殺してやる。

復讐したければ、このメールを

いじめた奴等全員に送れ。


いたずらメールか…。

イタズラだと思った…、だけど僕はいじめた奴等を許せなかった。

嘘だとは思っていたが、僕は、クラス全員にメールを送った。


そして…

  数週間が立った―――…。


7 『崩壊』

それから、数週間僕は、学校に行かずに家でぼーっとしていた。

朝10時過ぎに起き、軽くご飯を食べいつも通りテレビのリモコンを手に取り、

スウィッチを押した、

ニュース番組がやっていた、

なんだ、と思いチャンネルを変えようと思って―…!


『○○県××小学校5年△組の天上が落ち、生徒は全員死亡…――。』

思考が止まった…。



え…?

僕の学校…?

僕の…クラス…!


嘘だ…と思った。

他のチャンネルに変えてみる。

どの番組も同じニュースを放送していた。

『――全員即死だった模様です…』


カタリ…。

テレビのリモコンが床に落ちた…


そして、意識が飛んだ…。



――――――――………。


気付いた時、

僕は、何故か空中だった…。

地面が近づいて……


グチャリ―――――――…。


『只今、新しいニュースが入りました。○○県××小学校5年△組の一人の少年が屋上から飛び降り自殺を……』

『直、職員室の扉に直筆で書いたものと思われる遺書がはさまっていて、内容はいじめにあってたえられなかった…。と書かれて…――』


8 『終焉』


■いじめ同盟■


私は、いじめにあって自殺をした。

私は、いじめた奴等に復讐する事も叶わずに死を選んだ。


許せない許せない許せない許せない許せない

   許せない許せない許せない許せない許せない


いじめた奴等を一生許さない。

いじめをしている奴等を一生許さない…。

  

 呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる

    呪ってやる呪ってやる呪ってやる呪ってやる


だから、私はいじめられている人達にメールを送り続ける。

助けるために。

いじめた奴等を呪い殺してやる。

復讐したければ、このメールを

いじめた奴等全員に送れ。







復讐が成功したら、貴方も私と同じ道を辿るの…。

そう、遺書を残して―――…。

自殺をするの…………。


メールの一番下にこう書かれていた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 文章表現がすごくてウソだと分かっているけど恐くなりました。イジメに付いて深く考えさせられました。
[一言] いじめという問題は、今、表に出てきただけだといわれています。 この場で、改めて、いじめということを起こさないように思ってもらいたいです。
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