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129粒目

「あれだね、雪山の獣はでかいよ。……はぁっ?いちいちこんなんも計量すんの?」

「計量は一番大事です」

「あんた本当に旅人?料理人じゃないの?」

「一応旅人です。……討伐を依頼された獣は?」

「冬眠から目覚めたばっかの熊だよ。規格外のでっかさでさぁ、畑の食べ物には興味を示さずに、山の近くに停めてあった馬車の中を漁ってたんだってさ」

馬車の中、であるか。

「馬車の持ち主は?」

「山にしか咲かない花を求めて、雇った護衛と山へ登ってて不在だったから無事だったと聞いたよ」

ほほう。

花とな。

なんのお花であろうか。

「え?ミルクを一気に入れない?そんなチビチビと?日が暮れちまう!」

「暮れません」

狸擬きは、

「フーン」

先は長そうですねと、我の隣の椅子に飛び乗ると、背中を梳かして欲しいと櫛を差し出してきた。

2階にあったはずなのに、どっから出した。

「なんだろうねぇ、山の中で人が落としたもんでも食べて、味を覚えていたのかも、なんて事は話してたけどね」

母親もその説にはあまり納得はしていない様で、首を傾げている。

狸擬きの毛が艶々になる頃、ホワイトソースは完成し、じゃが芋は蒸かされ。

テーブルで、我等も芋の皮を剥くのを手伝う。

「一度目は、村人の姿に気付くなり山へ逃げて行ったんだけど、二度目にね、村の民家の庭で目撃されたんだよ」

何とも、大胆な熊であるの。

「熊はそう怯えることもなく、しばらく人と対峙していたけれど、のそのそ山へ帰って行ったって」

ぬぬ?

どうにも不可解であるの。

「の、村人も、山へは入るのの?」

「あぁ、狩猟でも入ってるみたいだね。でも、そうだ、

『人が山へみだりに入るのはあまり良くない気がする』

とか何とか、誰か言ってたねぇ」

誰だっけな?と首を傾げる母親。

(ぬぬ?)

聞き捨てならぬ言葉だけれど、

「はっ!綺麗事だね!!」

笑いながら吐き捨てるその歯に衣着せぬ姿、嫌いではない。

しかし。

その何者かが放った、山へ入るのはあまり良くない、の言葉は、どの意味合いなのか。

東の山の様な、山への敬意とありあまる恩恵あり気の禁忌か。

青の国の様な、過激な動物愛護か。

青のミルラーマの様な、物理的に人に優しくない、言葉の通り命を大事にしろ的な意味合いか。

「あなたの仲間が襲われたのは、熊ではなく狼と聞きましたが」

「そうそう、そうなんだよ。……」

母親が手を止め、

「群れはいたね、確かに」

でも、襲ってきたのは1頭だったと。

「リーダーなんでしょうか?」

「んん、どうだろうね、群れは凄く遠巻きに見てた。でもこっちが何かする前に逃げていったし、こっちもさ、怪我人いるから、狼の討伐よりも麓に降りるのが最優先になってさ」

狼はどっちに逃げていったと男伝に訊ねれば、片眉を寄せ、男ではなく我の顔を、

「……」

そう、じっと思い出す様に見つめてから。

「……ああ、ああ。そうだね。群れのいた方には逃げて行かなかった気がするよ」

こちらの問いの意図に気付いたのか、真剣に記憶を探ってくれる。

「群れの反対、とまでは行かなかったけど、群れの方ではなかったよ」

ならば、群れから追い出された個体、1匹狼であろうか。

討伐した熊は。

「こっちに怪我人がいて回収は無理だったからさ、麓に待機していた組合が山に入って、そのまま組合に卸したよ」

母親は顔の(つら)どころか、手の皮も厚いのか、熱い芋を平気で掴み、皮を剥いていく。

麓にまで、組合が待機していたのか。

「そうそ、向こうの組合はね、優秀だよ!」

向こうの組合は。

「こっちは組合長が変わっても人が変わっても、なーんかね、締まらないんだよねぇ!」

男が適当な地図を渡されたと話せば、

「だろぉっ!?まぁこの街の名物だとでも思ってよ!」

嫌な名物であるの。


蒸かした芋が少しばかり多く、残ったものは皮を剥かずに、十字に切り目を入れ、そこにバターを落としたものを狸擬きに出してやれば。

「フーン♪」

バターの香りが堪りませんと狸擬き。

「あっ、あたしにもちょっと分けてよ」

母親が手を伸ばしている。

「フーンッ!!」

これは自分のものだ、食い意地の張った卑しい奴め!

と前足で器を抱えるけれど、その言葉はまんまブーメランなことに気づいているのか。

男が、すかさず母親の前に2つ目を置き、我は男と半分こする。

ほこりほこりとした芋に、

「ぬふん♪」

バターが絡んで美味。

そ知らぬふりして、あの東の山の事を訊ねてみれば。

「東の山?あぁ、あそこだけは例外だね、恐いよ」

フォークでも器用にバターの染みた芋の皮を剥いでいく母親は、ちらと笑う。

「恐い、ですか」

「怖い。あそこはそもそも依頼もないからさ。一度だけ、ちょっと寄り道して、興味本位で近くまで見学がてら行ってみたことはあるんだ」

どうだったのかと男が問えば。

「自分達が命を落として終わりじゃ済まない何かを感じて、すぐに戻った」

わざとらしく大袈裟に震えて見せる。

さすが名の知れた冒険者、至極まともな勘も働く様子。

話を戻し、雪山で怪我をした仲間の治療費は、お主から見て適切だったのかと改めて問えば。

「そうだね、落ち着いて考えれば、まぁ妥当だと思うよ」

治療費の高さにばかり目が行ったけれど、

「調合に使う希少な材料を使いきってしまったと呟いていたしね」

希少な材料。

深く噛まれた傷を治せる程の。


あっという間に芋を食べ終えた母親は、溶けたバターに浸ったじゃが芋の皮まで指で摘まんで食べている。

「栄養は皮にあるんだよ」

ニッと歯を見せて笑うと、狼に襲われたのは、倒れた熊の絶命を確認しようとした仲間であり、

「確かに気は抜いていた、あたしも含めてね」

気配もなく不意討ちで現れ、足に食い付かれ、この女を含め、武器を構える前に逃げられたと。

狼は、噛んだ男以外の人間たちの存在にも気付いていたはずなのに。

「狼が、血の臭いでやってきたのは解るんだけどねぇ」

ふぬ。

狼の動きも、妙に不自然である。

母親の仲間を、人間を噛んだ狼は、討伐対象にならぬのかと問えば。

「山の中は獣たちの領分だよ、山の中で何をされても、それは討伐の理由にはならない。狼は食べても美味くないしね」

毛は売れるけど1頭じゃあ分が悪すぎると。

治療には、母親に薬を飲ませた娘も関わっていたのかと問えば。

「勿論。傷の部分を見て、どんな治療が必要かとか医者の父親と真剣に話してた。女の子なら、ぶっ倒れてもおかしくない酷い傷口だったから、度胸あるなって思ったよ」

その娘の技術は、父親共にあるらしい。

「あたしもあの国を山、山言ってるけれどさ、街の方の発展はここいらで一番かもね。でも街から外れると一転、差が凄い」

山の方にいる若者は、街へ行きたがらないのかと問えば、

「いんや、みんな自分が生まれた土地が大好きだよ」

そうか。

この世界、田舎でも変な閉鎖感も少ない。

この目の前の母親は。

「あなたは、この街の出身なんですか?」

「そうそ、両親も冒険者でね。うちのは残念ながら旅先で命を落としたみたいだよ」

いつか旅に出たっきり、もうずっと帰ってこないねと、けろりとしている。

「あたしのこの目の良さは、母親の方の遺伝なんだ」

ほう。

「でも息子には似なかったみたいだよ!」

アハーッと笑う。

良いのか悪いのか。

「それはどっちでもいいんだ、似ても似なくても、あの子の人生だからね」

ふぬ。

親としては、案外まともと見た。


潰した芋に炒めた燻製肉を混ぜて皿に広げ、ホワイトソースを掛け、削ったチーズをたんまり乗せ。

火と風魔法で炙れば。

「いやぁ、ホントーに出来るもんだねぇっ!!」

母親は大皿をまじまじ眺め、はぁぁっと大きく息を吐く。

ごくりと喉を鳴らしているため、

「旦那様と息子さんに持っていってあげて下さい」

男が包むものを探そうとしたけれど、

「いい、いい!このまま持ってくから!!」

と、熱いであろう大皿を易々とそして軽々と抱えると、

「助かったよ!また頼むわ!!」

男が扉を開く前に、扉を足でドカンと開き出て行った。

「……フーン」

行儀が悪いですねと見送り狸。

「そうの」

しかし。

「また、か……」

片付けをしながら、男の溜め息。

男の溜め息をなくすためにも、早めにこの借家を後にしなくては。

傍迷惑な嵐が去り、片付けをし、しばらくすれば。

我等の予想通り、昨日の3人娘が押し掛けてきた。


我等も話を聞きたい。

押し掛け3人娘の提案で、一緒に街を回ることにすれば。

「遠くからでもよく見えるから、山って感じですけど、街は大きいですよ」

「夏には避暑地のある、この子の別荘お邪魔する予定なんです」

「私のじゃなくて、じいじの、だよ。本当は西の海へ行きたいなぁっ」

「海っ!?」

「いいねっ行きたい!!」

やはり賑やかしい。

「私たちの通っている大学ではない、もう1つの大学はですね、主に諸外国や経済、あとは他の国の言葉とかの勉強をしているそうです。要はお嬢様たちに必要な知識を詰め込む花嫁修行ですね」

ののぅ。

我の知る花嫁修行とは、だいぶ違う。

「うちの大学は、この子がいる医学部、私たちが2人が勉強してる薬学部、もう1つは魔法学科、メインはその3つかな」

魔法学科とな。

大変に気になるけれど。

「今回の私たちのこの旅の一番の目的は、この先の街の薬草の先生のところに勉強させてもらいに行くことなんです」

正確には、それを理由に若い娘3人での旅の許可を貰えたと。

薬草の先生とは、魔女の街の薬草白髪男のことであろう。

あやつが、この3人娘に振り回される姿を想像すると、少し楽しい。

薬草の女神が嫉妬しなければよいけれど。

「魔女の街の薬草は、効きがいいと言われてますね?」

「はい、こちらでも聞きますし、実際、比べてみると違うんですよ」

「土と水、どちらも条件がいいんだろうね」

「山の力とか聞くけど、私たちの国にも、山は負けじとあるしね」

魔女の力という曖昧模糊な力は信じていないらしい。

「そんなとこないです。植物に特化して、頭1つ飛び抜けているからこその呼び名でしょうし」

「うん、かっこいい」

「二つ名、いいよね」

魔女の街はのどかな街ですよと教える男の言葉に驚いている。

口々に色々と教えてくれながらも、目敏く甘味が豊富な茶屋を探す3人娘と、狸擬き。

「フーン」

狸擬きが足を留め、3人娘も足を止めれば。

「うん、あの店よさそう」

「美味しそう」

「あそこにしよ」

小さな店だけれど、間違いはなさそうである。


「ぬー♪」

「フーン♪」

「美味しいねぇ」

我は王道の苺のタルト。

狸擬きは、チーズタルトを食べている。

3人娘も、それぞれ長考したのタルトや焼き菓子を頼み、きゃっきゃとはしゃぎ、個数で言えば我等も同じ3なのに、賑やかさが桁違いである。

男が、我の口許を拭ってから珈琲を口に付けると、赤毛の母親の仲間を助けた、医者の娘の事を訊ねている。

3人娘は顔を見合わせて、

「アイボリー先輩のことですよね?」

アイボリー、象牙色のことか。

肌ではなく、髪色のことらしい。

「アイボリーの髪色なんです」

「陽に透けると凄く綺麗で羨ましい」

優秀なのかと問えば。

「優秀ですね、教授たちも一目置いてます」

ほう。

外見はとても小柄で、

「あんなに凄いのに大人しいよね」

「少し人見知りみたいですね」

(のの……?)

人違いかと思うほど印象が違う。

あの赤毛の母親よりも小柄だと言う。

薬学部であり、

「大学で認められたほんの数人の優秀な生徒だけが、ずっとではないけれど、院生として好きな研究を出来るんです」

勿論、その学科に関係した研究し、象牙娘も、その1人なのだと。

何か他に知ってるかと尋ねれば。

「えっと、お母様がもういないとは聞きました……」

そうなのか。

赤毛の母親の様に不在、とはまた違うらしい。

鬼籍か、この世界ではあまり聞かぬ離婚か。

美味しい苺タルトをおかわりをするか迷い、

「の」

おかわりよりも男に抱っこをせがめば、

「甘えん坊だねぇ」

「あらら、可愛い」

「羨ましいぃ」

(ふふん♪)

そうであろうの。

これは我の男であるからのとしがみついても、なぜか娘たちの熱視線は変わらない。

(ぬぬ?)

「フーン」

主様、主様はこの小娘共から見ると、主様は男の付属品扱いでしかありませんと狸擬き。

(むむ?)

この世界、コブ付きは気にならぬのかと思えど、

「お兄さんはぁ、どんな娘が好みなんですか?」

妹的な立場の我は、娘たちにはどうやらこれっぽっちも気にならないらしい。

そして男の困ったような返事を狸擬きが訳さないのは、

「フーン」

メニューを覗き込み、おかわりするものを真剣に悩んでいるからであり。

「そろそろ行くの」

「フンッ!?」

働かざる者食うべからずである。


我の男に色目を使う娘たちと街を歩いても面白くもなんともない、と、少しばから唇を尖らせていたけれど。

3人共、若い娘なだけはあり、甘味だけでなく可愛らしいものや洒落たものにも大層、鼻が利く。

こんな場所に、と思う場所に店を見付け、

「これ可愛い」

「いいね」

「こっちは?」

我等ならば見落とすような店も目敏く見付けては駆け寄って行く。

愛らしい装飾品が並ぶ雑貨屋を見掛け、

「記念に妹ちゃんもお揃いで買おう?」

誘われた。

ふぬ。

「ならば、我はこれが良いの」

ちょうど数も4つあるしと、愛らしい髪飾りに指を差せば、

「あっ、それ可愛いっ!」

「それにしよーっ」

「でも、ちょっと高いかも……」

「ありゃ……」

「これは、ちょっと無理かなぁ」

怯む3人娘。

お小遣いは有限。

それでも未練ありそうに眺める3人娘に、

「プレゼントしますよ」

何とも抜け目ない男。

あくまでも、我のおまけ、なのだろうけれど。

「ホントですかっ!?」

「最高っ!」

「大事にしますっ!」

男の株だけが、無駄に上がる。


その後も、細々とおやつなどをやけに買い込むのと思ったら、

「私たち、もう午後にはこの街を出なくちゃ行けないんです」

「のの?」

せわしなく感じるけれど、娘たちの目的地はこの先であるし、やはり我等の旅がのんびり過ぎるのかもしれない。

荷物はすでに、乗り合い馬車の停留所に置かせて貰っているのだと言う。

しかと賑やかな買い物を済ませ、テラス席のあるジェラートの店に腰を落ち着けると、

「お兄さんたちは、どこまで行かれるんですか?」

と1人に聞かれた。

どこまで。

ふぬ。

我等はどこまで行くのであろうの。

「あなたたちの国まで向かう事は決まっているのですが」

男の言葉に、訊ねてきた1人がメモ帳を取り出し、サラサラと住所らしき文字を書くと、それを見た2人も慌ててメモ帳を取り出している。

男がメモを胸ポケットにしまうと、3人娘の大学の話を聞かせて貰う。

「うちの大学の魔法学科は、最近新設されたばかりなんです」

ほう。

男伝に気になっていることを訊ねて貰えば。

「え?人に試薬ですか?……うーん、そうですね、非公式のものを、こっそり自分で試している先輩はいますね」

1人が、内緒ですけどと、そっと唇に人差し指を当てる。

自分にであるか。

「人になんて、重罪ですよ」

相手の同意を得てもかと訊ねれば、

「何かあれば、それがほんの小さなことでも、相手の人生の責任を背負わなくてはいけないし、そんな覚悟がある相手には、ますます試薬なんかさせません」

と、困ったように笑われ。

(ぬぬん?)

象牙色の髪色の娘の印象が、ますますこんがらがる。

人を助ける一方で、1人には重罪どころでは済まないであろう重い何かを飲ませ、報酬だけはちゃっかりもぎ取っている。

「奨学金?ありますよ。アイボリー先輩は優秀ですけど、特待生なんて話は聞いたことないですね」

村とは言えど、医者の娘であるし金欠などではない様子。

男も、考えるような顔で煙草に火を点けると、

「えっとぉ、やっぱり優秀な女の子が好きですか?」

「それとも料理上手な女の子ですか?」

「もしかして両方ですかっ?」

男が3人にそれぞれぐっと迫られ、お主等は料理は出来るのかと横から問えば。

「……えっ?」

「こ、これから、ですっ」

「そうそう、頑張りますよっ!」

勢い込んだ後は、3人揃って仲良く頷き合っている。

3人揃って料理は専門外な模様。

何を勉強しているのかと男の問いに。

1人が、

「私は、老いた身体から魔法が取り除けないかって研究をしています」

ほほぅ?

それはまた興味深い勉強である。

「なので3年までは薬学部にいたんですけど、4年から魔法科に移る予定です」

4年からは、3人ともバラバラの学部になると。

君のしている研究の話をもう少し詳しく教えて欲しいと男が訊ねると、

「私たちの身体に備わる4大魔法は、結構なエネルギーを使うんですね」

指を4本立て、

「寿命が近くなった時に、その魔法を取り除いてしまえば、寿命がもう少し延びるんじゃないかって仮説を立てていまして」

ふぬふぬ。

(……ふぬ?)

魔法の原理や、魔法は吸い取れるようなものなのかと色々と気になるのだけれども。

「の、5大魔法ではないのの?」

1つ抜けておる。

「目に見えて存在している魔法は現在4つなので、原則として4大魔法となっていますね」

国によっても個人によってもそこは異なります、と、丁寧に答えてくれる。

「5大魔法はわりと最近までそう定義されていまして、お年寄りは5つ目の魔法があると信じてますね」

「退化したなんて説もあるよね」

「私はそれだと思ってる」

退化。

また面白い話である。

我はこの世界では、退化に退化を重ねた身体とも言える。

その代わりに豆が出るけれども。

「あなたのいた国は、どれだけ研究が進んでいるの?」

1人に、我が問われた。

男が、

「旅の先々で聞いた仕入れた知識なだけで、私たちのいる国では、まず大学が存在しません」

と答えてくれる。

3人娘は、私たちの国より発展してる国から来ているのかと思ったと、純粋に驚いている。

発展している国ほど、4大魔法の定義が成り立ち、5つ目はないことになっている様子。

ただあの黒子は、5つ目の魔法は自分にはあると言っていた気がする。

魔法を取り除ければと言った娘は、

「私自身が何とか出来るなんて、考えてもいないです。ただ少しでも研究を進めて、もっと先の未来で同じ研究をしている仲間たちに、1つでも多くのヒントを残せればいいなと思っています」

と。

まだ大変に若いくせに、この娘は、もうずっと先の世界を見ている。

我等など、隣国以降の行き先すら、決まっていないと言うのに。


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