年齢不詳の美形にハートを貫かれました――大太刀で。
暇なのでぼへーっとしてたらなんかできましたが、短編としては切れ味が悪いかもしれない。
「やっば、バイト遅れる!」
美夏は夕日を浴びながら、小走りで通学路を駅に向かっていた。
その短い黒髪をリズミカルに上下に揺らしながら、風を切って走る。
高校に入って半年、ようやく学校に慣れたばかりの美夏は、まだ高校一年生らしい初々しさを漂わせていた。
初夏も間近、この時間になると気温は二十五度を超える。
それでも汗を垂らしながら、必死に駅に向かって足を動かしていた。
そんな美夏の往く手を遮るかのように、横道から一人の男性が姿を現した。
慌てて足を止めた美夏の目に、男性の顔が飛び込んでくる――美形?!
長い髪は顔を半分隠すほど、軽やかな金色は夕日を浴びてオレンジに輝いていた。
その輪郭は細く、女性と見間違えそうになるくらいだ。
男性の年齢はよくわからない。同年代のようで、三十代間近にも見える。
彼は腰にとても長い物を布に包んで携えていて、なにやら不穏な気配を感じる。
そんな男性がニコリと微笑みながら、緑の瞳に美夏を捉えて告げる。
「すまないが、助けてくれ」
「――は?! 人助け?! そういうの、他の人に頼んで!」
一瞬、男性に見惚れていた美夏は慌てて彼を迂回し、再び駅を目指した――関わってる時間、ないんだってば!
だが男性はそんな美夏をさらうかのように抱きかかえ、ビルの間を身軽に飛び跳ね、あっという間に空に駆け上がった。
あまりのことに思わず男性の首に抱き着いていた美夏に、男性が告げる。
「お前に拒否権はない。大人しく付いて来い」
美夏は高所の恐怖と突然の戸惑い、理解できない事態で頭が真っ白になりながら、黙って頷いていた。
****
ビルの屋上に着地すると、男性はようやく私を地面に下ろしてくれた。
高層ビルの上は風が強く、手で押さえないとスカートが乱れて大変なことになる。
私は足腰に力が入らなくて、そのままコンクリートの屋上にへたり込んだ。
「……な、なんなのよ、あなたは」
男性がニヤリと微笑みながら私に告げる。
「俺か? 俺はスサノオ。魔導八天道主が一人。
御崎美夏、お前の力を借りたい」
意味がわからなすぎる。頭がおかしい人……という感じでもないんだけどなぁ。
「私の力って何よ? 女子高生の力なんて借りて、何をするつもり?」
男性――スサノオが腰に携えていた物から布を取り外した――そこにあるのは見事な日本刀。それも長くて大きい、大太刀だ。
「うわ、大太刀なんて初めて見た」
「ん? お前は大太刀がわかるのか」
私は目を逸らしながら応える。
「ま、まぁね」
私はスマホで刀をモチーフにしたゲームを遊んでいる。いわゆるヲタクの一人だ。
おかげで普通の人よりちょっとは詳しい気がするけど、学校での私は一般人。このスサノオにも、知られる訳にはいかない。
スサノオが大太刀をキンッと金属音を鳴らしながら器用に引き抜き、滑らかに抜刀した。
――すごくない?! 大太刀の抜刀って、簡単じゃないはずなんだけど?!
大太刀の刃渡りはだいたい百五十センチ前後――自分の腕より長い刃を鞘から引き抜くのだから、それこそ独特の動作が要求される。
私が思わずその姿に見惚れていると、スサノオは私に美しい刃文を見せながら告げる。
「見えるか美夏。ここに曇りと瑕がある。これをお前に浄化してもらいたい」
私はスサノオが顔の前に近づけてくる刀身を見つめながら、曇りと瑕を探した――んー、言われれば少し、曇ってるかなぁ?
「私に浄化とか、意味が分からないんだけど? あなたは何者? この大太刀は何? なんで私が浄化とかしないといけないの?」
スサノオがニヤリと私の顔の前で微笑む――くそう、こいつやっぱり顔が良いなぁ!
「質問があるなら、三つだけ答えてやる。名前を教えてやったから、残りは二つだ」
「――さっきのもカウントされるの?! 酷くない?!」
「酷くはない。これで残り一つだ」
――ただの受け答えすらカウントする気?! とんでもない性格だなぁ?!
私はよく考えて、スサノオの碧の瞳を睨み付けた。
「……私は何者なの?」
スサノオは楽しそうに口角を持ち上げた。
「お前は清天神女。一言で言えば、天女の類だ」
「……は?」
状況を理解できない私は、自信にあふれたスサノオの瞳を見つめ続けた。
****
清天神女……? なにそれ、聞いたことがない。
怪しいカルト教団の人かなぁ? なんだか八天がどうとか言ってたし。
――と、戸惑っている私と、私を見つめるスサノオの背後に一人の男性が着地した。
男性の服はライダースジャケット風で、バイクにでも乗ってたのかな?
――でも、なにより。今、空から降ってこなかった?! この人も超人的な力を持ってるってこと?!
混乱していると、男性が真顔でスサノオに告げる。
「悪あがきか、スサノオ。大人しく我が刃の露と消えろ」
スサノオが目だけを背後に向けながら応える。
「随分と偉くなったものだな、ワダツミ。お前程度が俺にかなう訳がないだろう」
ビル街の風が吹き荒れる中、背を向けるスサノオと、彼を睨むワダツミの間に緊張感が走る――
突然、スサノオが大太刀を見事に捌き、一瞬で私の心臓を貫いていた。
言葉を発する事もできない私は、ただ黙って自分の心臓が貫かれていくのを見つめていた。
こうやって人って死ぬのかな。訳がわからないまま、私は死んじゃうの――ん? あれ? 痛くない?
大太刀は柄まで見事に心臓めがけて突き立てられているのに、私の胸からは血の一滴も流れていない。
それどころか、背中から刃が突き出ることもなかった。
新しく表れた男性――ワダツミが焦るように声を上げる。
「馬鹿な! 清天神女が目覚めたとでも言うのか?!」
スサノオが冷たい微笑みで背後のワダツミに告げる。
「――見て理解できない。だからお前は三流だと言うんだ」
次の瞬間、スサノオは私の胸から大太刀を勢いよく引き抜くと、身を翻して一瞬で、ワダツミの身体を切り裂いていた。
ワダツミの身体は黒い影となり、そのままビル街の風に乗って霧散してしまった。
散っていったワダツミの身体を見送りながら、スサノオが納刀する――その動きも流麗で、まるで大太刀だと感じさせない動きだった。
――凄い! けど、なんなの?! 今のは!
「今の、誰?」
「ワダツミだ。それ以上をお前が知る必要はない。
――下に戻ろう。お前ももう、限界だろう」
意味が分からない私は立ち上がろうとして、突然の眩暈に襲われ、そのまま気が遠くなっていった。
****
私が目を覚ますと、公園のベンチで横に寝かされていた。
辺りは真っ暗で、日はすっかり落ちている。
慌てて鞄からスマホを取り出すと、案の定バイト先から連絡履歴の嵐……。
やっちゃった、バイトぶっちしちゃった。
「うわぁ、これは明日、謝らないとだなぁ」
深いため息をついてから私は周囲を見回した――すぐそばに、にこやかに微笑むスサノオの姿。
「ちょっとスサノオ! 私に何をしたのよ?!」
「なに、すこしお前の魂で呪いを浄化したまでだ。
勝手にお前の寿命を使って悪かったな」
……今、なんて言った?
私は起き上がってスサノオに怒気を込めて言葉を叩きつける。
「ちょっと待ちなさい! 寿命を使ったって、どういうこと?!
勝手にって、なんでそんなことをしたの!」
スサノオは静かに微笑みながら応える。
「必要だからそうした。我が大太刀『羽々斬」を修復せねば、お前も命を落としていただろうからな」
……まったく意味がわからない。
私は眉をひそめて尋ねる。
「あの時、私に命の危険があったっていうこと?」
「ワダツミは少々荒っぽい。そして強力な魔導八天道主だ。放置していれば、お前は死んでいた」
「――なんでよ?! なんで私が死ぬのよ?!」
「言っただろう? お前が清天神女だからだ。
我ら八天道主にとって、お前の存在が勝利の鍵となる。
ワダツミはお前を殺し、勝利を確実なものにしようと考えていたようだ」
――さっぱり意味が分からない。なんでそんなことに、私が巻き込まれるの?
「とにかく、私は帰るわ。もういい時間だし」
立ち上がり、駅に向かって歩きだした私の背後から、スサノオが付いてくる気配がした。
思いっきり振り返って顔をしかめ、声を上げる。
「――ついてこないで! 人を呼ぶわよ!」
「構わん。誰が来ようと俺の足を止めることはできん」
こいつ……何を考えてるの?
駅の改札を定期で通る――スサノオも、スマホで通過していたみたいだ。
名前は古臭いのに、最新技術にも対応してるとか、本当になんなの?!
私は黙って電車に乗り、スサノオが私の近くで後を付けるのを我慢した。
****
「ただいまー!」
大きく声を上げながら私は玄関に入り、ドアを閉めて施錠した。
スサノオは――入ってくる様子がないか。
リビングでテレビを見ているお父さんや小学生の弟、台所で料理をしているお母さんを確認して、私は密かに胸を撫で下ろした――ここにはちゃんと、日常がある。
お母さんがこちらに振り向きながら私に告げる。
「早かったのね。バイトの日じゃなかったの?」
私は目を逸らしながら応える。
「あー、なんか行き辛いことになったから、休んじゃった」
お父さんもこちらに振り向いて私に告げる。
「こらこら、仕事をそんな理由で休むんじゃない」
私は憂鬱なため息で応えながら告げる。
「しょうがないじゃない。スサノオとか、清天神女とか、意味わかんないこと言われて絡まれたんだよ」
直後、両親の顔が凍り付き、戸惑うように目を合わせていた。
お母さんが私に告げる。
「スサノオ様がいらっしゃったの? それは本当?」
「ほんとだけど……何? 知り合いなの?」
私の問いに、お母さんは背中を向けて応える。
「何も知らないわ、美夏は早くお風呂に入ってきなさい」
お父さんを見ても、テレビに向き直って黙り込んでしまった。
私は違和感を感じながら、二人に告げる。
「……お風呂、入ってくるね」
そのまま私は階段を上がり、自分の部屋のドアを開けた。
****
ゆっくりと湯船に身体を沈めながら、今日の事を考える。
心臓の辺りにも、傷なんてない。あの大太刀――羽々斬とかいったっけ。なんで私を切らずに貫いたんだろう?
私の寿命を使ったとか、どういうこと?
そもそもスサノオって何者? 八天道主って、何?
わからないことだらけだ。スサノオもワダツミも、日本神話の神様の名前。わかるのはそれだけ。
清天神女っだって言われても、何のことだかわからない。
わからないことを考えても仕方ない! 私は湯船から上がると、浴室から外へ出た。
****
食事中も、なんだか変な空気だった。
お父さんたちは夕食が終わっているはず――なのに、ダイニングテーブルで食事をする私と一緒に座っていた。
お母さんも心配そうに私の顔を見てくるので、なんだかご飯が食べづらい。
小学生の弟は、ニヤニヤと微笑んで――ニヤニヤ?!
そこで違和感に気付き、私は弟の顔を見つめた。そこにあるのは愉悦――私が困惑している様子を楽しんでいるのだ。
「何よ、何がおかしいのよ」
弟がニコリと応える。
「そりゃ楽しいよ。ようやく美夏が清天神女として目覚め、自覚しようとしてる。
スサノオが現れた以上、僕ものんびりはしてられないしね」
私はお箸をテーブルに投げ捨て、慌てて立ち上がって弟から距離を取った――ガタンと椅子が音を立てて倒れ、奇妙な緊張感がリビングを支配する。
私が緊張して弟を見つめていると、弟がクスリと笑みをこぼして告げる。
「安心しなよ、僕は美夏を守る側だ――でも、スサノオの敵でもあるけどね」
「どういう……こと?」
「美夏は魔導八天道主のことなんて、知る必要はないってことさ。
これは僕らの問題――美夏はただ、僕に守られてればいいんだよ」
私はじりじりと弟から距離を取りながら尋ねる。
「守るって……誰から?」
「他の魔導八天道主からだよ。君を得た者が次の宗主となる。そういう決まりだからね」
弟は、本当に弟なんだろうか。
弟のことは、赤ん坊の頃から知っている。なのに突然、意味の分からないことを口走り始めた。わけがわからない。
お父さんもお母さんも、困ったようにこちらを見つめているだけだ。
私はもう我慢ができなくなって、身を翻して階段を駆けのぼり、自分の部屋に飛び込んだ。
****
部屋に飛び込んだ私の足は、その場で止まってしまっていた。
「スサ……ノオ」
そこに立って居るのは、間違いなくスサノオだ。少し緊張した面持ちで私を静かに見つめていた。
いつの間に? お風呂の準備をしてた時には居なかった。
じゃあ、お風呂の間に忍び込んだっていうの?
「なんで、ここに……」
「ここはカグツチのテリトリーだ。あまり自由は効かないが、無理やり入り込んできた」
私は声を荒げて応える。
「カグツチってだれよ?!」
「僕だよ、美夏」
慌てて振り返ると、さっきまで気配すらしなかった弟の姿が間近にあった。
弟はニヤリとスサノオに微笑んで告げる。
「僕の美夏に手を出そうなんて、スサノオは随分と分を弁えないんだね」
スサノオは静かな表情のまま応える。
「お前に『分を弁えない』などと言われる筋合いもない。第一、美夏は貴様のものではない」
「ちょっとスサノオ! 勝手に名前を呼び捨てないで!」
私が必死に抗議しても、二人の間に割り込むことはできないようだった。
真剣で緊迫した空気が二人の間に漂っていく。
スサノオが大太刀を抜き放ち、弟――カグツチもどこからか脇差を抜き放っていた。
二人が打ち合い、甲高い金属を響かせると同時に私は大きな声で叫ぶ。
「ふざけるな、お前らー! ここは私の部屋だぞ! 暴れるなら、外に行けー!」
私の怒りのこもった声に、スサノオもカグツチも毒気を抜かれた顔で私を見つめていた。
****
部屋の中で並んで正座するスサノオとカグツチ。
彼らの傍らにはそれぞれ、大太刀と脇差が置いてあった――何かあればいつでも抜き放つ、そういうつもりなのかな。
私はベッドの上で足を組み、両腕を組みながら二人に告げる。
「なんで私の部屋で暴れたの?」
カグツチは黙り込み、スサノオが私に応える。
「お前を守るためだ」
「あんたは私の寿命を削った張本人でしょ! どの面下げて『守る』なんて言えるの!」
悔しそうにスサノオが黙り込んで、カグツチが楽しそうに微笑んだ。
「ほーら、スサノオはとっとと帰りなよ。ここは僕らの家だ」
「誰がしゃべっていいって言った?」
私のブリザードが吹き荒れる眼差しを受け、カグツチはしおしおと大人しく縮こまっていた。
姉歴八年を舐めるなよ? 八歳年下の弟にプレッシャーをかけるくらい、簡単なんだからね?
カグツチがぼそりと呟く。
「理由を聞いておきながらしゃべるなとか、横暴が過ぎる」
「――何か言ったかなぁ?」
「何でもありません!」
私と弟のやりとりに、楽しそうにスサノオが笑みをこぼした。
「ハハ、お前たちは仲の良い姉弟なのだな。羨ましい限りだ」
「……そうよ、だからあんたたちが争う必要なんてないの。わかった?」
「それとこれとは話が別だ。仲が良かろうとカグツチからは守らなければならない。何が起こるかわからないからな」
スサノオは横目で弟を睨み付け、弟――カグツチも冷たい眼差しで睨み返していた。
私は大きなため息をついて、二人に告げる。
「説明して」
ようやく二人の重い口が、少しずつ開かれて行った。
彼ら魔導八天道主は、歴史の陰で暗躍する存在。
とても強い力を持って、同じような超常的な敵対勢力と争ってきたらしい。
その中で宗主――つまり一番偉い人を決めるのが、いま行われている『婿選びの儀』なんだって。
なんで『婿選び』なのかというと――
カグツチが楽しそうに微笑んで告げる。
「美夏、君は僕の本当の姉じゃない。君は本家直系の娘として、夫を八天道主から一人、選ぶ必要がある」
「――意味が分からないんだけど?!」
自分が実の家族じゃないとか、結婚しろとか、突然言われても困る!
私はカグツチを指さして声を上げる。
「第一、弟が結婚相手とか無理! あんたは絶対に無理だから!」
ショックを受けた様子のカグツチは、がっくりと床に頽れ、しくしくと泣いていた。
スサノオが得意そうな顔で私に告げる。
「では私なら問題がないな?」
「いきなり寿命を削ってくる人もお断りです!」
「だが、ああしなければお前の命はさらにすり潰されていた。他の八天道主を全て滅ぼすまでな――必要最低限の犠牲だった、とは思えないか」
えー、そんなこと言われてもなぁ。私はスサノヲの笑顔を睨み付けながら考えた。
「……保留!」
スサノオは苦笑を浮かべ、私に目を伏せた。
****
その晩以来、スサノオは我が家に居候することになった。
弟は「もう、取り繕う必要がないから」と言って、カグツチとして生活を始めた。小学校に通うことも止め、毎日スサノオと喧嘩をして過ごしているようだ。
私はというと――
「ちょっとスサノオ、なんで学校まで付いてくるのかな」
「お前を守るためさ。決まっているだろう?」
カグツチがスサノオと反対側から声を上げる。
「スサノオなんて不要だよ。美夏は僕が守って見せるさ」
「あんたは学校行かなくていいの?!」
「小学校に通う意味なんかないからね。あんなものは美夏を誤魔化すために通っていただけさ」
くっそう、それじゃあ誤魔化され続けてきた私の立場は?!
苛々としながら二人を連れて、通学路を歩いて行く。
美形のスサノオと小学生のカグツチを連れている私は、大変目立つ。
周囲の人たちの視線を浴びながら、私はぼそりと呟く。
「婿を選べって、私はまだ十五歳なのに無理があるっつーの」
「気にする必要はない。俺が必ず幸せにしてやろう」
突然、目の前に割り込んできたスサノオに、私は真っ赤になりながら叫ぶ。
いくら美形で好みドストレートの顔でも――
「年齢不詳に嫁ぐ気はない!」
スサノオとカグツチを置き去りにして、私は駅に向かってダッシュした。
****
その後、なんだかんだと色々あって、結局私はスサノオの思う通りに動くことになった。
つまり、その――結婚、である。
十六歳になった私は、スサノオと婚約することが決まったのだ。
新しい宗主の座に納まったスサノオが、満足気に微笑む。
「ようやく美夏も理解してくれて、俺は嬉しいよ」
「誰も理解とかしてる訳じゃないから! あんたの考えること、未だによくわかんないし!」
歩いて居る時でも突然、唇を奪ってくるとか。心臓がいくつあっても足りないんだけど?!
スサノオが満足そうに私を見つめた。
「言っただろう? 『必ず幸せにする』と。その言葉を信じればいい」
「……いいけど。信じてあげるから、ちゃんと幸せにしなさいよ?」
私は隣で微笑むスサノオの手を握り、彼の唇を迎え入れた。
相変わらずのジャンル迷子。現代恋愛なのかローファンタジーなのかコメディなのか。
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