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一式中戦車顛末記。(突撃狂騒曲)

前進する我々は下り坂を利用して最高速を出した。(下り最速)

随伴の歩兵は車体後部に乗っている。

その他はトラックや自転車で追いかけてくる。

夕暮れの町に入る直前に先頭車両が道路脇より敵の砲撃を受けた。

『偵察酒井より。一〇時方向に敵!対戦車砲!我、攻撃を受ける』

「了解!」

車長がハッチから軽機関銃を打つ。

『偵察森、射撃開始。』

偵察型チハによる、重機関砲二門の連射で一瞬で敵タコ壺を制圧する。

「25粍すげな。」

『敵は煙突を担いできてタ弾を使用。対戦車砲にあらず。迫撃砲の様な物と思われる。』

タ弾と聴いて首をすくめる。

『損害を報告せよ!』

車長が尋ねる。

『コチラ酒井。排土板に穴が開いた。その他、車体、人員ともに異常なし。』

『タ弾の有効射撃距離は500mと聞く。各員敵歩兵に注意せよ。』

これからチャランカ町に突撃するのに500mの射程は至近距離だ。

不安を胸に市街地にゆっくり突撃する。

戦闘は続行中でチャランカ市街に入ると守備隊の兵が日の丸を振り走ってきた。

中隊長と何かを話している。

『中隊長より大西、大野、酒井、大森は随伴歩兵を伴い市街地を時計回りに迂回。海岸の敵を掃討せよ。』

我々の車両が指定されたのは時計回りだ、他の4機は反時計回り。

中隊長は中隊を分ける心算だ。

ガラパン市街を北に進む中隊長に我々は線路沿いに砂浜を進むことになる。

砲火で遠くの空がぼんやりと激しく明滅する。

雷鳴の様に砲声が聞こえる。

途端に空が明るくなった…。

「照明弾!」

「くそ!丸見えだ!!」

明るい暗闇の空の下…。

狭いペリスコープの見える先、進路前方、砂浜には敵戦車が並んでいた。

「前方!敵戦車多数!」

「弾種徹甲!射撃用意!!目標!前方海岸上の敵戦車!」

車長がマイクに向かって叫ぶ。

車体を停止した。

『了解!』『了解!!』

見える敵戦車には砲塔が付いて居ないものが有ることに気が付いた。(´・ω・`)…。(LVTとLVTAです)

「てー!」

側面を晒した敵戦車に向かって火を噴く。

砲弾は敵戦車に命中して一呼吸で炎に包まれた。(隣のLVTが。)

手前の戦車から敵兵が飛び降りている。

「俺の仕事だ!!」

ボルトを二度引き走る人影に向かって肩を付け銃把を握る隣席の機銃手。

一瞬でなぎ倒される。

しかしそれに割り込む潮波と共に割り込む敵戦車。

次々と浜辺に乗り上げてくる、

数が多すぎる。

「こちら第九戦車連隊、第四中隊、大西。海岸線は戦車多数!戦車三割敵兵四割!残りは地面。」

中隊長に報告する車長。

『現在地を知らせろ!』

無線ががなる。

「我、現在地、製糖工場西海岸線。」

前進した偵察車の25mm機関砲が敵戦車側面を穴だらけにしている。

車長が答える。

『戦車!何処にいる!!どこまでが敵だ!!』

「現在地!チャランカアノ北端!西砂浜上、線路の西。海岸上の砂浜!見える範囲!ススペ岬手前の砂浜までだ最南端で燃える敵戦車は我々の砲撃で撃破した!テー!!」

轟音が轟く。

海から出てきた敵戦車に着弾する。

「今の誰だ?」

派手に爆発する敵戦車…。

弾薬に誘爆した?

「さあ?」

砲尾を開け砲口内を確認しながら答える装填手、次弾も徹甲だ。

次の獲物に砲身を向ける間にシュルシュルという音が答えを出した。

海岸全体がはじけ飛ぶ。

火を噴く敵戦車群…。

無数の砲弾が海岸に降り注いでいる。

「連隊砲だ…。」

おそらく山砲と思われる

敵戦車が派手に吹き飛ぶ…。

その手前の戦車が後進一杯で海の中に入っていく…。

海岸を走って丘に逃げる敵兵の背中に軽機関銃と歩兵銃の弾が突き刺さる。

『第4戦車中隊!アツマレ!アツマレ!』

チャランカの街を出た中隊長が道路上に見えた。

健在そうだ。

「線路を越え集合する。」

「了解!」

車長が乗車の小旗をハッチから掲げた。

レバーを操作してクラッチを繋ぐ。(ダブルクラッチ)

ゆっくり動き出す。

射撃を諦め歩兵が飛び乗る。

我々、4両の戦車は集合を果たしたが…。

西から回り込んだ戦車隊は大きく破損して砲塔から煙を出したままの状態で集合した。

一両足りない。

『おそらくタ弾のロケットだ。何発か喰らった。追加装甲で何とか防げる。』

『追加装甲の無い側面車体にロケットが命中した6号車がやられた。生死不明。』

『歩兵携帯型ロケットでタ弾の発射装置が筒形だ。歩兵の支援が無いと前進は無理だ。アイツ等タコ壺に隠れてやがる。』

無線で情報が集まる。

敵は派手に照明弾を落としている。

そして友軍の砲撃が砂浜に集中している様子だ…。

どんどん敵戦車が燃えている。

『第四戦車中隊はこれより前進して敵司令部を制圧する。』

「おい…。」

「正気か?」

「敵司令部の位置が解ったのか?」

車内がひと際沸き立つ。

これは玉砕でも悪くない…。

最低でも敵の少将が居るはずだ。

『進路上の動く者は全て敵である。攻撃終了時の集合地点は現在地!』

『了解!』『了解』『靖国で会おう。』

各車返答が整う。

車長が無線に叫ぶ。

「これより、線路東に戦車隊が北上する。友軍誤射の無い様に願う。」

途端に無線機が返答する。

『了解!』『転身時は連絡せよ。』『へのつっぱりは要らんですよ。』

矢張り歩兵連隊がこの無線を傍受している様子だ。

中隊が動き出し、進路上のすべての障害物が敵になった。

西廻りの分隊が苦戦した理由は直ぐに理解できた。

ロケットタ弾の洗礼を受けた。

追加装甲を破り、50mm装甲を簡単に赤く照らす。

追加25mm装甲版を容易く打ち抜き砲塔装甲版を明るく照らす…。

メタルジェットの熱量をギリギリで受け止める50mm装甲版。

25mmのボルトON装甲は数ミリの空間(ギャップ)でメタルジェットの旋風を防いだ。

只野偶然だ。

当時の我々は知らなったが偶然、空間装甲が出来たのだ。

一式中戦車はアメ公の戦車と同程度で追加装甲で勝る。(M3中戦車のことです)

そう教えられていたので不思議に思わなかった。

敵とは十分に戦えるそう信じて疑わなかった。

女神がほほ笑む。

理不尽な方向に。

『総員!突撃!!』

『『『天皇陛下バンサーイ!!』』』

俺の命日は今日か…。

確かに死ぬのには悪くない日だ。


前にも後ろにも道ずれが一杯だ。

「黄泉地に迷うこともないだろう。」

(´・ω・`)チハと砲塔リング直径の共通化は…。(結構無理です!)

(´・ω・`)クッコロ!!…。(砲塔ベアリングが持たないという意味。)

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