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第5話~質問~

 「……マジ?冗談じゃねえよな?」

 こんな性質の悪い冗談しやがったら殺すぞ、マジで。

 「ははは、こんな性質の悪い冗談言ったら君に殺されるね」

 「よくわかってるじゃねえか。」

 「で、何か質問はあるかい、二人とも?」

 あるにきまってるだろ!将来を決める重要な事柄に質問なしはないだろう。

 「あの、ルウ様。わたくしお父様にここに来るように言われたのですが、なぜでしょうか?許嫁のことはお父様から訊けばよいのに、なぜわざわざルウ様が?」

 「ああ、それはね、今日から二人には一緒に暮らしてもらうからに決まってるじゃないか」

 「はあ!?なんだよそれ!?」

 若い男女がひとつ屋根の下ってまずくないか?いや、それを言ったら親父と母さんだって同じようなもんか……

 「嫌なのかい?嫌ならいいんだよ、サクラみたいな女の子とは絶対、なにがあっても暮らしたくないって言うならね」

 くっ……今断ったら俺が極悪人に見えるような言い方しやがって……!

 しかもサクラ、なんでそんなうるんだ目で俺を見る……そんな目されたら、断れないだろうが!

 「まあ、いい。で、どこに住むんだよ、サクラは。うちは広いけど余ってる部屋なんてねえだろ」

 「うん。だからルネスの部屋で暮らしてもらう。……言ったよね、一緒に暮らしてもらう、って」

 ……は?

 「お、おい、ちょっと待てよ」

 「うれしくないかい?僕ならきっと大喜びだよ。こんなかわいい子と一緒に暮らせるんだ、きっと退屈しないと思うよ?」

 そんないつも通りの微笑みとお世辞めいたセリフで言われても、困るだけだ。

 「わたくし、その、構いませんが……ルネス様は、どうでしょうか……」

 おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!なんでお前はさっきからノリノリで同居(同棲)前提で話進めてんだよ!もっと反対しろよ!お前の貞操かかってんだぞ!なにそんなきらきらした目で俺を見るんだ!期待するな!

 「あ、……ああ……い、いいよ……」

 あああああああああああああああああ!なんでそんないい返事してんだ、俺!

「ありがとうございますわ!」

 ぱあっと、太陽のような明るさで微笑まれたら、断れねえだろ!

 「よし、決定だ。今日から君たちは二人で暮らすんだ。……いいね?」

 「……わかった。サクラのことは諦める。……でもな、親父に一つ質問がある」

 俺はため息交じりに言った。もうここまで言ったのだ、サクラとの同棲はもう決定したも同然と言っていい。でも、この疑問だけは絶対にうやむやにするわけにはいかなかった。

 「……親父、旅なんてしてたのか?」

 「うん?言ってなかったかな?」

 「言ってなかった。俺は当たり前のように親父が働いているものだと思ってた」

 まるで今でも働いていないような言い草だが、旅なんてよくできたな、と思うところの方が多かったから半信半疑だったのだ。

 「ははは、今は居着いているから旅人とは言えないかもしれないけど、僕は今でも旅をする気概は十分以上にあるつもりだよ。……そうだな、今度はルネス、君もくるかい?」

 「やだね」

 俺は親父の誘いを両断する。旅人、ねえ。まあ、疑問はこれで晴れたかな。今まで親父が何をしていたのかずっと気になってたのだ。……でも、旅って何をするのか気になるが、訊いたら長くなるだろうから訊かないでおく。

 「……まあ、話はこれで終わり、かな。サクラは今日からうちに住んでもらうね。……一応訊いとくよ、異存はない?あったら言って、この話はなかったことになるから」

 その言葉に、親父の俺とサクラの両方を思う気持ちがありありと見て取れて、俺は軽く感動にも近い感情を抱く。

 「わたくしはありませんわ。……ルネス様は?」

 「俺もねえ」

 サクラが即答し、俺も即答する。……まあ、一度認めたものを覆すのも、気が引けるからな。

 「じゃあ、もう好きにしていいよ」

 その親父の言葉で、この許嫁の話は終了したのだった。

 










 そして、俺とサクラの同棲が始まるのだった。………前途多難だな。

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