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第17話~ルウの不安~

 「なんで、なんでそれを黙ってた!」

 俺は親父に突っかかる。なんでこいつは今までそんな大事なことを黙ってたんだ!

 親父の胸倉をつかんで、俺は殴りかかろうと……

 「僕は、怖かったんだ。君が僕の助けた子供たちを否定するんじゃないかって。……だからかな。今まで、君がちゃんと考えれる年になるまで、待ってたんだ。……ごめん」

 そんな、不安げな顔されたら、殴れねえだろ。

 なんで、今まで黙ってたんだ。なんで今言うんだよ。

 「ねえ、クレアは君の家族だろ?血は繋がってなくとも……」 

 「うるせえ!」

 俺はまだ不安げに何かを言おうとしてる親父を、怒鳴って黙らせる。

 なんだよ。いつもと立場逆じゃねえかよ。

 「親父がどう思ってるなんか知ったこっちゃねえ!俺は!誰がなんと言おうと!クレア姉ちゃんもララ姉ちゃんもミリア姉ちゃんもみんなみんなみんな!家族だ!いちいち親父に言われるまでもねえ!だから、そんな顔すんな!そんな不安そうな顔すんな!親父は笑って、俺たちを導けばいいんだよ!それ以外なんも考えんな!余計なことは頭から出せ!……わかったか!」

 俺は思いついたことを言う。親父はもっと自信み満ち溢れてろ。

 まだまだ、俺たちを導いてくれ。

 「……うん、わかったよ。……よかったよ、君が息子で。君のおかげで僕は、いらない心配をせずに済むんだから」 

 そういつものようにほほんで、親父は言ったのだった。

 「へ。わかりゃいいんだよ、わかりゃな」

 













 「……サラ」

 僕は息子が自室に戻ったあとのリビングで、自分の妻に話しかけた。

 16年前に想いを通じ合い、そのままの流れで当たり前のようにサラは僕と結婚した。そして、そのころの彼女のおなかには、新しい命があった。

 その命を16年育てて、その命に僕は今さっき気付かされたわけだ。

 何を勘違いしてる。たとえ血がつながってなくとも俺の家族だ。

 そう、ルネスが言ってくれたとき、僕は本当にうれしかった。いつも不安だった。もしルネスが血のつながりこそが家族だと言い出したら?

 それ以外は家族なんかじゃないなんて言い出したら?

 ずっと、不安だった。

 ルネスは言葉遣いこそ悪いけど根はいい子だし、そんな心のないことを言う子じゃないのはわかってたけど、それでも不安だった。

 ……でも、もう不安に感じる必要なんてない。

 「……ルネスは、いい子だね」

 「そうね。ほんと、ルウに似ていいこだわ」

 赤い髪のサラは、僕の後ろでそう言った。

 「……クレアは?」

 僕は話題を変えてサラに訊いた。ルネスよりは、今はクレアの方が心配だ。

 「だめ。まるで戻らない」

 「そう……」

 まだ戻らないのか。……他人潟に何かされたのだろうか?

 あいつがシドウを操って、記憶を解除すると同時にクレアをおそうよう刷り込ませ、クレアにはシドウにおそわれたらあの状態になるよう刷り込ませた。

 ……無理がある。

 シドウの方はできるだろう。クレアをおそわせるまではできると思う。でも、クレアの方に暗示は掛けれないはずだ。

 暗示はかなり長い間かけ続けないと意味がないからだ。

 ……じゃあ、あれはクレア元々の性質ということか?

 「……いったいどうしてだかわかる?サラは事情を知っているんだろう?」

 「わかんないわ。私が知ってるのはクレアがなんで逃げてきたか、ぐらいだもん」

 嘘、か。……まあ、サラが言わないってことは僕が知らなくていい、ってことだ。だからいちいち聞いたりしないけど……

 「……本当になんでだろうね。クレア」

 「うん……」

 クレア。彼女は今、恐慌状態にある。

 さっきまでは男に近付くぐらいならできたのに、今は見るだけでもだめ。それどころか他人を部屋に入れていない。完全に引きこもってる。

 何をしているのかとトレースに調べさせたところ、毛布にくるまって一日中震えている、とのことだ。

 ……そんなの、今まで一度だってなかった。引き取った最初の日にさえなかったのに、なんであんなに震えているのだろう。

 ……首を絞められることに何かトラウマでもあるのだろうか?

 それも違う気がした。そういうのは首に何か巻くのさえ嫌がるはずなのに、クレアはネクタイだって締めれるし、ペンダントだってつける。

 ……ああ、わからない。

 どうしたらいいんだろう?

 「……ルネスにかけるかな」

 あの子がサクラを連れてきたら。

 











 シドウにいろいろ、訊いてみるか。

 

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