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クソゲーに閉じ込められた俺のクエスト  作者: 葉月 優奈
一話:博士が作ったジャガーのミュータントが復讐するゲーム
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008

俺はeゲームのプロゲーマーになる男だ。

スマホゲームの世界では、既に全国レベルの実力がある。

幼い頃からゲームが好きで、ゲームの上手い俺は通信制の高校に通うことになった。


だから、俺はゲームには自信があった。

それでも、このゲームは極めて難しい。

敵は小さいし、出てくるまでが早い。

これが最初のステージだと思うと、ぞっとしてしまう。


梯子の上を登ると、再び山の上。

水色の空が見えて、やはり落とし穴が見えた。

これに近づくと、落とし穴の範囲に巻き込まれて落下。そのまま、あの痛みにつながってしまう。

ここに来た瞬間、恐怖が蘇った。前に進めない。

しばらく動けない俺は、ただ勝手に現れる敵をマラカスで叩いていた。


(どうしよう、死にたくない)

死は痛みだ。

5機スタートの残機は、今のところ4。

だけど、4回も死にたくない。いやもう一度だって死にたくはない。

呼吸は乱れて、それでも無限ポップの敵を倒していく。


このゲームには、制限時間が無い。

だけど、敵は永遠にわくしここに来るまでの道中にアイテムらしき物が落ちていない。

ただ、長くいればいるだけ不利になる仕組みだ。


(怖い、痛い、嫌だ)

「徳次郎」龍華の声が聞こえた。

俺は龍華の声を、聞こうとしない。


「徳次郎」

二度目の龍華の声。それでも俺はマラカスを振り、敵を倒す。


「ヘーイ、ミスタートクジロー」

三回目は、変化をつけてきた龍華。

「な、なんだよ?」思わず返事を返した。


「ねえ、あたしにできることは?」

「ないよ」

「ファイト、トクジロー」

龍華のかわいらしい声が、聞こえてきた。

俺を励まそうとする声だ。


「龍華、どうして?」

「あたしには、これぐらいしかできないから。ファイトっ!」

龍華の精一杯の励まし。彼女は怒っていなかった。

そればかりか、俺を励まそうとしていた。

そうだ、龍華はゲームの中にいる俺をどうすることもできない。

だからこそ、こんな俺を励ましてくれるのだ。


「なんで……マジで」

「頑張って、徳次郎」

「ああ」なんだか俺に、勇気が湧き上がった。

彼女の精一杯の励ましに、痛みの恐怖を振り切って前に進む。

すぐに見える落とし穴。嫌らしい位置に敵もいた。


(冷静に考えろ、落ちなければ死なない)

慎重にジャガーマンを操作しながら、落とし穴エリアを進む。

落とし穴が、山の中腹で俺を飲み込もうと口を開けていた。

最悪は、敵に当たっても突破するしかない。

そして、俺の思ったとおりに敵が回避のできない場所に現れた。しかも早い。


「こんな狭いところに……」

だけど避ける場所がない。迎撃をするが、敵は小さかった。

そのままマラカス攻撃をすり抜けて、俺の体に当たった。


「ぐうっ……」

苦虫を潰した顔で、ジャガーの中でゲーム画面をそれでも睨む。

ライフが削られて、当たった胸が熱い。火傷のように、ヒリヒリしていた。


「ファイト、徳次郎っ!」

「ああ、進むよ」

龍華は、俺の味方だ。

だから、俺は前に進めた。そうだ、俺を見守ってくれる人がいるんだ。

こんなクソゲーを、早くクリアするんだ。


だから、熱いのを我慢して俺は前を向いて進んでいた。

それでも落とし穴エリアを進めば進むほど、敵は増えてきた。


(嫌らしい配置だ)

俺に再び敵が、被弾。

敵が弾けて、俺は当たったところが火傷のように熱くヒリヒリしていた。

今、喰らったのは2発。ライフは2まで減っているのか。

山をドンドン歩いているけど、どこまで行けばいいのだろうか。ここは、ステージ1だよな。


穴のエリアを進みながら、俺は敵の対処をしていた。

だけど、敵はすぐに俺が避けられないところで出現して突進。

避けることができずに、三発目の被弾。熱くて痛い。ライフも残り1だ。


(ライフ1……次に喰らったら終わりか……)

だけど、敵の出現から攻撃までがとても早い。

おまけに、ここは落とし穴エリア。避けようとして穴に落ちると、最初からやり直しだ。

あの痛い思いは、二度としたくない。


だが、次に敵に当たった場合もおそらく最初からやり直しだ。

苦痛が迫る強いプレッシャーを感じながらも、進んで行く。

すると、急に画面が暗くなった。


「え?あ?」俺は、いきなり目の前が真っ暗になった。

ジャガーマンの体は、まだ動いているようだけど俺は恐怖があった。


「これって、まさか……バグか?」

俺は一瞬、嫌な予感がした。


バグった瞬間、ゲームの進行が止まった。

ゲームの進行が止まってリセットされれば、俺はこのゲームに魂を閉じ込められてしまう。

吾亜の言葉が、頭によぎった。最悪だ。


「なんつう、クソゲーなんだよ!」

俺は叫んだ瞬間、氷の世界がそこには広がっていた。

それと同時見えたのは、完全な2Dステージが見えていた。



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