007
穴の中の俺は一瞬、体が爆発悲惨……しなくて地面に叩きつけられた。
全身が地面に叩きつけられた。土の地面はとても固くて、痛い。
三階の建物から落ちたような激しい痛みが、全身に感じられた。
「ぐあっ!」声が漏れた。
痛い痛い、なんだこれは。
肌に、全身に痛みがほとばしった。
「くっそぉ!なんだよ、これ!」
だけど、俺の声がむなしく響く。
見えるのは水色の背景と山道。再びジャガーマンアニエスの体を起こして、俺は立ち上がった。
アニエスの顔は、表情一つ変えずに前を向いていた。
見える場所は、森の背景。
鎚の地面だ、ここはどうやらスタート地点に戻されたと俺は理解した。
それでも、痛みはなかなか引かない。
「ああ、そうか。これは、クソゲーなんだよな」
『クソゲー』という言葉は、とても不思議だ。
この言葉で、どんな理不尽も許せてしまう気がしてしまう。
だけど、強ばる顔で俺は前を向いて再び進んだ。
(でも、進めるのか?)
敵に当たれば、熱い。
落ちて死ねば、体がバラバラになるように痛い。
この苦痛、人生で一度も経験したことがないつらさだ。
吾亜は俺の体には、変化はないと言っていた。
確かに、ジャガーマンの体の中にいる俺は変化がない。
「大丈夫?」再び聞こえる龍華の声。
そうだ、俺には龍華がいた。龍華が、俺のゲームを見守っていた。
だから、俺は前を向いた。強がってみせた。
「平気、早くクリアするから」
「だけど……」
「早くクリアするから!」
俺は、叫んでいた。
叫ばれた龍華は、その後俺に気を遣ってか無言になっていた。
俺も又、静かに前を進む。見えている小さな敵を、狙いにくいマラカスで倒しながら。
(本当は、龍華が悪いわけじゃないのに……な)
俺は、心の中で謝りながらもゲームは続けていた。