明けた新年
神殿に御布施を投げに行く途中で諦めた。
込み具合が想像できたし寝ていないので疲れてる。
残りを包んでもらったチーズは宿の女主人ママリッサに渡すとしよう。
昨日のデイムの購買品を使った芸はそれなりに盛り上がった。
力自慢のパフォーマンスだ。初級冒険者と組んで、見るからに弱そうなのが重い荷物を持ち上げる見栄えのする芸だった。
あまりに嘘くさいのでみんな笑ってはやし立てていた。
ズルはしてないが…みんな酒は飲んでる。だから余興どまりだ。
それでもおかげで冒険者じゃない町人からも欲しいという話が出るのだから、デイムの商才は捨てたもんじゃないのだ。
仕方なく開いていた料理店に入って果実酒を頼む。
向かうときに開いてることに驚いたので、気になっていた。
やはりほぼ満席状態。注文をして二階に上がり、狭い席に座った。
こちらも混んでいた。が、静かだ。
猫獣人のお姉さんが淹れてくれた果実酒だ。
口に入れると甘さが広がって、背中が温かくなる。
元気の回復する味。
落ち着いて周りを見ると勉強しているらしき人ばかりだ。
きっと集中しやすいのだろうと思う、雰囲気が魔術師ギルドのように静かだ。
書き物の音と移動音だけが目立つのは料理店にしては珍しい。
料理店というより貴族の好む喫茶店だろうか。でも内装はそこまでじゃないな。
魔術士のスタッフが目立つところをみるとここがギルドから近い店なのかもしれない。必死な何かを感じる気もする。
参加していたパーティーのことを考えるのは癖になっている。
置いてかれたわけではないが、一緒にやり続けられるかどうか。
不安がないわけじゃない。
あいつらもギルドの宴会では元気そうにしていた。
戦士レンブル「酒がウマイ!」
盗賊トブノーレ「冬の稼ぎが少ないぞ。何かいいのないか?」
魔術士スパツリー「ギルドの課題が…ああ」
二階のせいか熱気がこもっていて暑くなってきて店を出た。
勉強を頑張っている人たちの知恵熱もあるに違いない。魔術士たちのINT熱には恐れを感じる。
外の寒風が心地よいのは久しぶりだ。