ギルドの購買
昨日より遅く、ギルドに着いて購買に顔を出した。
酒場だけでなくギルド内も冒険者が多くてにぎやかだ。
今日の納品を済ませる。担当のデイムは以前からの付き合いで取引してもらえている。ちょうど初級を手掛ける職人がいなくなっていたのも理由らしい。
以前から見様見真似で細工を試していたが出来は良くなかった。
それに気づいたデイムが道具屋を紹介してくれた上で、出来たら引き取ると言ってくれたので少し腰を入れて細工を始めたのだ。
いわばきっかけの恩人ともいえる。
依頼の減る真冬にはちょうど良かった。
《新風亭》で麦酒とポテトを頼んで席に着く。
外も暗くなり、店の明かりが強く感じる。少し眩しくて目を細める。
ここしばらく停滞していた細工レベルが進んで、『質』が見えてきた。
そこまでの出来栄えではないのは当然のことながら、もうちょっとどうにかできたのではと思う。
自分のハードル的にも納得はいかないが、ここまでとしよう。
ギルド推薦の初級品とはそんなものだろうという気持ちもある。
ポテトが塩味強めでいい。何かのソースもつける。
ケチャップに似ているが辛みが強い赤茶色だ。
油物は麦酒と相性がいい。
スタッフの掛け声がそろって爽やかだ。
それでも女性冒険者のテーブルが空くとそれから急に静かになった。
しばらく休んで席を立つ。
今日は昨日より寒くなかったが、これから冷え込みそうだ。