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月と魔法の物語り  作者: Bunjin
マシロ
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初めてのテストの後で


 五年生で初めてのテストがあった。算数と国語と社会科の三教科だった。

私が予想していた通り、玄ちゃんは三つとも満点で、クラスのトップの成績を取った。

皆は驚いて拍手を送っていたけれど、朋美ちゃんが真っ赤な顔をして唇を噛んでいるのを私は見逃さなかった。


 どうして?


 それは朋美ちゃんが二位だったから。

クラス勢力図で劣勢だったから、成績で勢力を伸ばそうとしていた。それなのに、そんな勢力図とは全く関係がない、玄ちゃんが一番になってしまった。他のグループの子ならまだしも諦められたかもしれない。

 でも、自分が作ったグループに頭数程度の目的で入れてあげた子に足元をすくわれてしまったのだから、その怒りは計り知れなかった。


「あんたは何。私に恥をかかせてどうする気なの。父親がいない子だから、私はお母さんから優しくしてやってと頼まれているのに、何なの。私を馬鹿にする気なの」


 クラスメイト全員がいる教室で、朋美ちゃんは玄ちゃんをなじった。


「みんなもそう思うでしょ。清水さんは母子家庭で、私たちの親が働いたお金を貰って暮らしているのに、こんなに酷いことをするのよ。みんなも酷いと思うでしょ。許せないでしょ」


 朋美ちゃんは涙声で訴えた。男子たちが何だ何だと最初は騒いでいたけれど、お金を貰っている母子家庭を責め出した。


「働かないで、俺たちの親のお金を貰っているってヘンじゃないのか」

「そんなの不公平じゃないか。清水はそのお金で学校に来ているってことなのか」

「可哀そうだな、竹宮って。哀れな欠陥品の清水を仲間にしてあげたのにな」


 男子たちの共感を得て、朋美ちゃんの地位がクラス勢力図で一気に変わった。


 そして、玄ちゃんは、この瞬間でクラス全員から仲間外れにされてしまった。


 仲間外れにする理由なんて、何でもいいんだ。

誰かがそうなってくれていれば、自分は虐められない。

そう皆が思っている。皆とは違うことがあれば、それだけで虐める理由になった。


 男子たちの暴力的な虐めが怖い。女子たちの陰口や無視することとは違う。

物理的な攻撃を男子たちが使うのを、私は知っている。

女の子を直接殴りはしないと思うけれど、玄ちゃんがどうなってしまうのかと心配でならなかった。


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