10章、11章半
少々厄介な調査と裁判。
犯人は一体…
10、嫌いで好き
調査を始めて30分くらい経つ。
「………」
さっきから、すっごい目線が感じるんだけど。背中が目線で痛い。
鳥肌が経つ…………
僕は、気にしなかったことにし調査を続ける。
今の所分かっていることは3つ。
・自殺に見せかけた殺害
・カッターナイフで背中を切った。
・顔面入水を使用したこと。(水道の近くにあったバケツを使用)
くらいかな?
でも、これだけじゃ犯人がわからない。
有にも協力してもらい顔面入水方法について調べてもらったけど
これだけじゃ全然足んない。
うーん。何だろう……
「ピンポンパンポーン」
……なんてタイミングの放送だよ………
どうしよっかな…裁判でどう見つけよっかな。
「生徒の皆さん!調査は順調かな?
もうね。待ちきれないんだよね!良いよね!裁判を始めちゃって!
フフッじゃあ、3年2組に来てねん。待ってるよー」
……あぁ。始まった…
移動しようとする前に…
「ねぇ。大田さん。さっきから、何?
僕に何か用?」
さっきから、僕に痛いほど目線を送ってきたのは大田さん。
遠くから見られても、僕はそうゆうの敏感だから気づいちゃんだよ。
大田さんは赤い顔をしながら「な、何でもない」と何度も首を振りながら逃げてしまった。
「何だったんだろ…」
僕は、軽く首を傾げながら3年2組へ一歩ずつ重い足で向かった。
被害者
鏡音 欄 美容師立候補者
通称 ハイテンション少女
現場
昇降口ホール近くのトイレ付近。
裁判開始。
僕は、皆に囲まれる状態で席に座る。
うーん。さっきよりマシだけど目線がなんか痛いんだよな…
「何、変な顔してるんだよ。」
隣座っている有は僕を変なものでも見るような目で見る。
何か、酷くない?もう慣れたような気がしたんだけど
どうも慣れない…
でも、もっと慣れないのは大田さんの痛い目線。
チラッと見るが顔が見きれず目を逸らす。
「フフッ。集まったかな?
では!お楽しみの裁判を始めます!」
学園長は、満面の笑顔で教卓に座る。
サイドにいる先生方は、無表情でじっと立っている。
…………今、僕が見ている浅間静は一体誰だ。
過去の夢を見てしまっては気になるが今は裁判に集中しよう…
「えっと。鏡音さんは、自殺に見せかけた殺害っていう事は皆知ってる?」
僕は、生徒達の顔を見ながら発言する。
だが、皆は知らない顔だった。やっぱりねぇ…
「何で自殺に見せかけた殺害ってわかったんだ?」
星矢さんは、腕を組み不思議そうな顔をして問いかけた。
「そんなの簡単だ。地面から足までの高さを見ればわかる。」
有はめんどくさそうな顔をし答えた。
珍しいな。有の発言は合っているが面倒くさなら答え無くていいのに…
とりあえず、僕は「そうゆうことだよ」と頷いて置いた。
「うーん。じゃあ、高すぎたってことか?」
空木さんは、首を傾げ発言する。
その発言に皆は納得したような顔だった。
「じゃあ…どうやってロープを釣ったじょうたいになったのかしら…?」
若干、顔色の悪い愛菜は眉毛を下げ呟くように発言した。
自身がないのかな?いや、それはないか。体調が優れないだけかな?
僕は心配する気持ちを一ミリも持たず裁判を、続けたら。
「僕の予想だけど、琴口さんが見つけてくれたカッターで鏡音さんの背中を切って、
痛みで前かがみになったときに水道にあったバケツで顔面入水して気を失わせたとおもうよ。」
僕は、琴口さんの名前を出したため、肩を震わせた琴口さん。
驚かせちゃったな…
他の生徒達はイマイチな顔だった。そんなこと本当に起きるのか?って感じだった。
うー。説得力が足りないかな?
僕は、目を逸らしたときにたまたま空木さんの手に目が入った。
「空木さん。その…手は?」
僕は空木さんの手を見ながら聞く。
空木さんの手には赤くなっていた。強く何かを握ったような感じだった。
「これ?あぁ。鏡音さんを下ろすとき、思ったより力が必要でな
ロープを握ったときにできたんだ」
空木さんは、苦笑しながら言った。
「ロープで…………」
僕は何かが頭に浮かんだ。僕は口を閉じた。
「壱原くん…?」
琴口さんは、僕の異変に気づいたのか首を傾げた。
他の生徒もざわつき始めた。「いきなり何で黙ったんだ?」とか「え?壱原が犯人?」
などの声が聞こえるがそんなこと耳もせず僕は生徒達のある部分をじっと見る。
そして、僕の目が止まっり、微笑んだ。
「大田さん。何で手が空木さんみたいに赤いんですか。」
いや、空木さん以上に赤い。
大田さんは赤くなっていた顔が、一気に真っ青になっていく。
言い訳を探すように目を泳がせている。
流石にその仕草に他の生徒達目つきが変わっている。
疑っているような目だ。
「こ、これは結構前から赤くなっていて…」
「へぇ。いつからだ」
有は疑いの目を持ちつつ目を細めて聞く。
大田さんは既に涙目になっている。
「大田ちゃんがやったの?」
菊間さんは疑いの目はないが信じらんない目だった。
どんだけ、信用してたんだよ…
「違う!私はやってない!」
首を振りながら必死に否定し続ける。
「もう、無理でしょ…」
僕は誰も聞こえないほど小さな声で呟く。
「フフッ。犯人は見つかったのかな。どうかな?」
学園長は、微笑みながら足をバタバタさせていた。
この、光景を楽しんでいるかのような目だ。
大田さんは涙で顔が変形していた。このあとのことを恐れているかのようだ。だったら、始めからやらなきゃいいのに。
「………………何で鏡音さんを殺したの?」
僕は気になっていたことだ。あんまり、関わりがなかったように見えたが…
「うざかったのよ…」
うつむいて、呟くように言った。声のトーンが一段と低くなる。
「私の両親は鏡音のせいで死んだ。
心もないことを言って自殺させた…」
顔を上げた大田さんは怒りで満ちた表情だった。
復讐で殺害ってことか…
僕が予想していたことのないようだったため一気に興味が失せた。
「ねぇねぇ、下らない話は終わったかな?」
空気を壊すような発言をする学園長。
こいつ、色々と最低だな…。僕は軽く学園長に睨みつけたがそんなことも気にしない学園長。
腹立つよな…僕が一番人間だ。
沈黙に落ちたこの空間。
学園長は、大田さんを見て笑っていた。
「残念だったね。でも、あの殺し方だとつまんないよ」
…つまんない?
その発言に大田さんは真っ青な顔だった。
何を考えているんだ…?。今の発言だと何か知っているような感じだ。
「さて!じゃあ裁判を終わりにします!」
学園長の発言と同時に先生が動く。
大田さんの両手を取り、動けないようにしている。
「能くん」
「え?」
突然名前を呼ばれ驚いて顔を上げる。
大田さんは笑顔でこう言った。
「嫌いだけど、好きだよ。能くん。」
それだけ残して大田さんの頭に血が溢れた。
「………………」
なんだ、最後の発言。
嫌いだけど、好き?
唖然としていた僕は微笑んでこう答えた。
「僕は、嫌いですよ。」
こうして、裁判は幕を閉じた。
11、分解
能はいきなりの告白に微笑みながら断った。
相変わらずだよな…
全然感情がない。まぁそれでこそ能だけどな。
おっと、ここからは俺(冬馬 有)が語り部だ。
本当に疲れるよな学園っていうのは。俺が一番嫌いな場所だ。
人がうじゃうじゃいて"先生"っていう人間の命令に従うとか、何が楽しんだよ。
「………」
俺は裁判が終わったあと教室でずっと窓の外を見ていた。
この学園に閉じ込められ、家に帰れない。
別に恋しいってわけじゃない。両親は元からいないし能と一緒に孤児院で過ごして
今は、アパートで能と2人ぐらしってやつ。
あー。つまんない。すっごいつまんない。
何てグチグチと内心で呟いていると生徒達が教室に戻ってきた。
変な沈黙が流れる。
うわっ。俺この空気嫌いだ。
「先に戻ってたんだね。冬馬くん」
菊間っていうやつがごきちなく笑う。
話したくなかったら話しかけてくるんじゃねぇよ。
俺は冷たい目で見ながら無視した。
菊間はその行動に腹立ったのか睨みつけてきた。
痛くもかゆくもない。
「最後のお別れが告白って何か残酷だなぁ…」
空木と星矢が戻ってきた。
「でも、笑顔で断ってたな。」
会話が自然と耳に入る。
残酷?全然残酷じゃない。俺は無関心だが能だったら「ロマンチックな死に方」
と表すだろ。あいつ、結構変わっているからな。
星矢のあと琴口っていうやつと乱崎っていうやつが戻ってきた。
琴口はあくびをして眠そうだ。裁判が終わってからも何も変化ない変わっているやつ。
乱崎は顔が真っ青だ。あいつが一番貧弱だ。
殺されるぞ?
その後無表情の能が戻ってきた。生徒達からの目線が集まり苦笑している。
やたら目立つ能。能自身も目立つのは好まない。
色々とどんまいだよな。
先生戻ってきた。人を殺したっていうのに無表情。
気持ち悪い。
先生だけだと思ったが学園長も来た。
ガキなのに学園長。ありえねぇ。
「やぁやぁ。お疲れー!」
教卓の上に登り笑顔でいた。嫌いなタイプの人間だ。
「フフッ。いやぁ流石だね!特に探偵立候補者は!」
と目線を投げかける能と俺。
別に俺は何もしてないがな。めんどくさいし…
「でね!これじゃあつまんないから分解しようと思いまぁす!」
………は?
分解って?
「おいおい。間抜け顔も悪くないけど、話は聞いてよ?」
学園長は、笑顔だが声が少し低い。
ガキの癖にね?……
「まずね!冬馬くんチー厶と壱原くんチー厶に別れてくださいな!」
「………………は?」
思わず声が漏れてしまった。
学園長は満足そうに微笑んでいる。俺を見て。
うっざ…
「でも、決まんないだろうと思ってこっちで分けたよ!」
じゃじゃぁーんと言いながら紙を出した。
でかでかと名前が書かれている。
・いちはらくんちーむ
うつぎくん
ことぐちくん
きくまくん
・とうまくんちーむ
せいやくん
みだれざきくん
「………………」
全部ひらがなとか読みづらい。
だが全員じゃない。このクラスは10人いる。
残りのモブキャラは…?
「中心的人物だけだよ。あとは、バイバイ」
バイバイ?じゃあ……俺は先生から銃を取り出す瞬間を確認した。
まさか……
「まじかよ…」
銃の音が4回なった。ドサドサと倒れる音。
一気に血液の海状態。
この光景に叫び声一つもしない。沈黙が流れる。
「フフッ。これでチー厶の人数だけ揃ったよ」
学園長はこんな状態でもニコニコと笑っている。狂ってやがる。
「こんなことして、なんの意味があるんですか?」
能は、学園長を睨んで問いかけている。
学園長は、楽しんでいるかのような顔で答えた。
「なーんも意味なんてないよ?」
「………………」
最低だな。死んでしまえばいいのに。
ただ殺しただけか。
俺は黙ったまま学園長を睨みつけた。学園長は「フフッ」と笑うだけ。
能は、ため息を漏らし呆れている。
ほんとにどうかしてるよな……。この学園も俺も…。
「俺もどうかしちゃった……か」
自分の変化に気づいてしまった俺。能も変化しているが気づいてない。
「じゃあ。始めよっかな?分解を…」
この発言が始まりだった。
続く
学園長から告げられた「分解」。
このイベントで冬馬と壱原が喧嘩になる…?