表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のクラスは裁判所  作者: 紺
6/9

9章

僕は長い夢を見た………

9、ハイテンションガール


「おい!やめるんだ!」

一人の刑事が一人の女性に大声で叫んでいる。

真夜中のどっかの学校の屋上。そこには僕と有。十名の刑事や警察官がいる。

空にはヘリコプターが数台飛んでいる。ヘリコプターの光に当てられている一人の女性。

「来ないでよ!あんたたちに捕まるくらいなら死んだ方がマシよ!」

涙に混じった声を上げて屋上から飛び降りようとしている。

あと一歩後ろに下がれば真っ逆さまだ。

「そんなに死にたいのかな………?」

僕は、ボソッと小さい声で呟く。有は「知らね」と適当に答える。

「うぅ。大体、何で私の大切な海があんたたちに射殺されなきゃいけないのよ!」

大切な恋人が殺されて狂っているって言うことか…

「射殺………?」

刑事たちが驚いている。射殺なんて初めて聞いたかのような様子。

そりゃあそうだ。射殺したのは刑事でもない警察官でもない。

「あんたたちの誰かが私の恋人を殺したのよ!」

女性の発言に刑事、警察官が僕と有の方に目線が集まる。

「何で、僕達の方を向くの?」

「俺達が殺したってか?」

冷たくて重くて…殺意の入った発言が僕の口から漏れた。

あぁ……駄目だ。逆ギレみたいな感じ…まただ。

信じてないような目が向けられた。たくさん…

360度に向けられた目……。これだから、嫌いなのだ。人間が。

「射殺じゃない。あんたの恋人は自殺した。」

有は冷たい目でゆっくりと発言した。

そう。射殺じゃない。自殺…

だが、女性は信じられないような表情だった。

「嘘よ!何を根拠に!」

「この目で見た。目の前で銃を頭に当てて自殺したのを…」

苦しそうな泣きそうな顔で女性の名前をつぶやきながら自殺…。

なんて、ロマンチックな死に方何だろう…。僕の直角な感想だった。

「信じらんない!何で。なんでなんでなんで…」

女性は全てが終わったかのような表情だった…

「海……」

女性は姿を消した。

真っ逆さまに落ちていった。

この人も最後に恋人の名前をつぶやく。

二人の恋人は死んだ…

刑事、警察官は悔しそうな表情だった。

でも、僕は悲しいなんてなかった。



自殺した女性の名前。

ーーーーー浅間 静ーーー




「っ!」

僕は目が覚めた。

……どうやら僕は夢を見ていたらしい。過去の夢を…

「目、覚めたか」

「有…」

僕の隣でパイプ椅子に座っていた有。

てことは、僕はいま保健室で寝ているって言うことか………。

「僕、倒れたの?」

僕は、目だけ有に向けた。

「あぁ。教室でぶっ倒れた。」

呆れた表情でぶっきらぼうに言い放った。

あー。情けないことしたな…

思わず苦笑してしまう。

「いやぁ。お恥ずかしい。」

「恥をかいてしまえ。」

半分ふざけていったのに真顔で言われた。

ノリが悪いよ。有。

「あれ?クラスメイトの人達は?」

「昇降口で固まっている。」

え?昇降口で固まってる?どうゆうこと?

「学校に閉じ込められたってこと」

「…………………」

僕は固まってしまった。学校から出られないってこと…?

「間抜け」

「えっ。そんなこと言ってる場合?」

今、正直本気で焦ってんだけど。

「なんで、有はそんなに冷静に言えるのさ。」

「なんとなく予想してた。」

………勘が良すぎる。

いや、僕の勘が鈍いだけか。

僕は、上半身だけ起こし髪の毛を整える。

「女子かよ…」

「いや、そうじゃないけど。」

今まで、無意識で起きたあとに髪の毛を整えいたため、

女子って言われるとなんか嫌だな。

ムスッとした表情だった僕は「冗談」と有に流されしまった。

「………なんか、不機嫌だね。有」

有は目を見開きため息をついた。

「お見通しってことか…」

「まぁね。で、何があったの?」

僕はニヤニヤと笑いながら聞くと…

「イテッ」

頭を叩かれた。ふざけすぎたか…

有は不機嫌な表情を浮かべ拳を僕に向けた。

「おっと。ごめんごめん。」

僕はベットから飛び降りてドアの方へ避難。

「いやァァァァァァ」

「!!?」

ドア越しから聞こえた悲鳴に思わず身を固くした。

有は拳をおろしため息をついた。

「チっ」

ついでに舌打ち。タイミングが良くて良かったよ。

僕は保健室のドアを開け廊下に足を踏み入れた。

えっと、どっちから悲鳴が聞こえたんだっけ?

「おい。こっちだ」

有に首の根っこを捕まれ引きづられた。

おいおい。僕は犬ですか?猫ですか?

「どっちかと言うと猫だな」

「えー。僕は犬派なんだけどなー」

「投げ飛ばすぞ」

「冗談です」

危ない、危ない。怒らせるところだった。

「あ、能くん!」

大田さんは息を切らしながら走ってきた。

顔が青ざめている。

「どうしたんですか?」

僕は首の根っこを掴まれたまま首だけ向けた。

「あ………」 

僕は数メートル先にいる何かを見た。

長いロープで釣られている何かを…。

とっくに、手を離されていた僕はゆっくりと立ち上がり数メートル先にある物に、

近づく。

そこには、首を釣った鏡音さんがいた。

「鏡音さん…」

口を開けたまま悲しい目をしながら死んでいた。

ハイテンションガールが死んだ………


「自殺に見せかけた殺害かな…」

僕は遺体を上から下へと見た。

地面から約100cmに足がある。こんな高い椅子なんてあるかな?

椅子っていうより脚立が必要になるかもしれないな…

「あ、空木さん。悪いんですがロープを切ってくれませんか?」

「おうよ。」

近くにいた空木さんは笑顔で承知してくれた。

なんか、こき使ってる感じで悪いな。

空木さんは、ゆっくりとロープを切って鏡音さんをおろしてくれた。

僕は鏡音さんを横にして目を閉じさせた。

「ん?」

何で髪の毛が濡れてるんだ?それに前髪の部分が特に……

「壱原くん………」

「琴口さん。」

琴口さんは僕の隣でしゃがんで手に何か持っていた。

「これ、遺体の、そばにあった。」

「カッター?」

僕はカッターを受け取り刃を出した。

水で濡れたハンカチで拭いたあとのシミが残っている。

「有難う。琴口さん」

琴口さんは微笑みながら頷いた。

僕は立ち上がって遺体の背中を見る。

「やっぱり…」

背中に傷ができていた。小さくてあまり気づかなかったな……

「あれ?愛菜は?」

あたりを見渡すと………

「あ、…」

壁に寄りかかっていた。顔が真っ青だ。

慣れてないね……

隣で菊島さんも膝をかかえていた。

もう。ほっとこ…

僕は再び遺体に目を移し、手や足を見るが傷ない…

「今度の犯人は、証拠を残さないのかな?」

うーん。手強いな。

僕は有に助けを求める。

「有ー!」

「うっせぇよ。ここにいるわ」

有は壁に寄りかかって寝ていたらしい。

死人が出たっていうのに寝るとか……。

「廊下の水道にバケツがおいてないか確認してきて!」

「大声出すな。聞こえてるよ」

有はめんどくさそうな顔をして水道へ向かった。

なんか悪いな。パシリ扱いみたいだ……


さてと、僕は遺体調べをじっくりとやりますか…。


続く


ハイテンション少女が死んだ理由が明らかになっていく。


「僕は君が嫌いです」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ