003 あのコの中にオレはいた ~Who Lived in~ 2
「貧乳ご開帳!!!」
ア~ンド――
「瞬間着脱!!」
そう叫んだオレは、ガバッと上半身を包むそれ――ベビードールを開き、鮮やかな手つきで以って脱ぎ捨る。
次いで透けパンの紐をピッと引っ張って解いた――解けたパンツが足元にぱさっと落ち、一瞬にしてガワを脱ぎ捨てたフィリアは白日の下に(いや実際には暗い室内だけど)、一糸纏わぬ姿が晒されたのだ。
…………。
…………。
…………。
鏡の前に現れたその姿は、それはもう見事な華奢な体型であり、凹凸が少ない細身で、儚げで慎ましやかだった……。
貧乳だった。
ヒンヌーだった!
ないちちだった!!
何度でも言おう。それは間違うことなき…… ち っ ぱ い でした。
(心がはげしく折れる~しょぼ~ん……)
ん?――空耳か? ま、いっか……。
ちっぱいでした――いやまあ、そんなこと最初から分かっていたんだけどさ。
なにせ元々着用していたのが布地面積の少ないスケスケなベビードールと透けパンだけだったんだから、そんなの始めから全裸と大して変わらない丸見え状態だったワケで。
オレは幼女趣味じゃない(多分)からチンピク(もう無いけど)しないんだけどさ……フィリアってば貧乳な上に見事なロリっ子だよな。
オレとしては、もっとこう掌で覆いきれないくらいのボヨーンとして、バイーンとした感じのメロンが大好物だった気がする。
そーいえば貧乳ロリと言えば、微かに覚えていることを思い出した。
『みんな違って、みんないい。大きいのも小さいのもみんな斉しく愛しい』と熱く語ったのは、エロゲーオタクで『ロリもいける』と豪語していた友人★★君の弁である。
どうでもいいがオレにも親しい友人がいたのだな……前世の自分がぼっちじゃなかったと分かって、ちょっぴり安心した。
それは兎も角……フィリアの背ェちっこいなぁ。
一三九センチくらいか? 確か前世のオレは一七〇センチあったハズだから、三〇センチ以上も縮んでちんちくりんになってしまった訳か。クッ……残念無念ナリ!
(ウソつき! そもそも私は一四二センチですし、身長差は二十三センチだけではなくて?)
(うわぁ~サバ読んでるよ~サバサバ~!)
……ん?――真っ裸になっただけではオレは満足しない。引き続き視姦、もといフィリアの体の観察をしていこう。
シミ一つない真っ白い肌と細い手足……はもういいとして――先ずは、ちっぱいについてだな。
さっきは散々なことを言ってしまったが、膨らみは僅かにある。パンケーキ一枚分っていうところであり、所謂つるぺたではない。
ロリ好きの友人★★君曰く『つるぺたと貧乳は違う!』と力説してたっけ。あと『貧乳はステータスだ』とも……。
パンケーキの上にトッピングされているのは桃色のちっこいサクランボ……舌に乗せて高速レロレロレロをしたらさぞや美味いのだろうな。
ちっぱいの下に視線を向けると、そこにはお腹がある訳だが……ロリっ子とは言えイカ腹ではなかった。イカ腹が子供に多いのは腹筋が未発達なのが原因らしいが、フィリアは毎日トレーニングをしている甲斐あって、お腹は引き締まっており、ついでに腰もちょこっと括れていた。
因みにフィリアは褥台の上でも、毎晩のように激しい運動をしているらしいぞ……。
イカ腹じゃないのはいいとして、問題はそこじゃない。腹部には一際目立つものがあった。臍を中心に青い線で描かれた文様刺青風のそれ――呪痕だ。
これは女性淫魔であれば、誰もが必ず腹部に同じ文様を持っている身体的特徴であったが、その反面同じ淫魔でも男性淫魔にはそういった徴は無い。
またこの呪痕はサキュバス以外の七大支族にも身体のどこかにあるものらしい。
そして腹部の下はっと…………おそらく予想通りであろうが、そこに銀色の草原はなかった――そうそこは不毛の荒野だったのだ。
ま、まあ……まだまだ成長期みたいだし、胸を含めてこれからなんだろう。がんばれーフィリアー、そうさキミの成長期はこれからなんだよ。きっと多分な!
それは兎も角、だ――
そこは…………。
荒野で…………。
土手、なのか…………。
ああそうか、そこは物陰一つない土手なんだよな……ははははは、そうだよ、そうだったんだよ……!
そこが不毛だろうがなんだろうが、オレがその事実に直面した後ではどうでもよくなってしまった。
改めてそこにそれが無いことを確認してしまった今、途轍もなく大きな喪失感と絶望感がオレの心を襲う。
気が付いたら、かつてのオレが死んでいたことを知らされ、しかも既に転生していて、いきなりこの体になって目覚めてしまった。
そしてこの体が何なのかは目覚める前には知っていた訳だし、お陰で特に慌てることも無かった。
だから終わってしまった過去のことはきっぱりと忘れて、この新しい体を受け入れて生きよう、と心に決めて……そう決めたつもり、だった。
だけど、だけど、だけど……!!
男だったオレが女に生まれ変わった――と言う、それが意味する事実の重さをこの時初めて痛感してしまったのだ。
オレが男子だったことを示す証しであり、とても大事で大切だった……マイサンが失われてしまっていたという現実に!!
「ああ、マイサンよ!――父を置いていなくなっちまったのか……!!」
今、万感の思いを込めて……我が魂が啼く!
今、万感の思いを込めて……マイサンが逝った!
一つの性が終わり……また新しい性が始まった。
さらばマイサン!
さらば我が半身!
さらば男性自身の過日よ!!
…………。
…………。
…………。
心の中で敬礼をしつつ、マイサンに黙祷を捧げて……しばらくした後――自分の気持ちに整理をつけたオレは、気を取り直して身体検査の続きに戻る。
え? 切り替えが早過ぎるって? 気にすんな!
正面は全部見終わった。なので――くるりと背を向ける。
腰まで届く長い髪を掻き分けて前に移動させると、首を捻って鏡を見返す。
そこにはぷっくりとした可愛らしいお尻――は流石に蒙古斑は見当たらなかった……問題はそこじゃない。お尻の尾骶骨に当たる部分には、一本の尻尾が生えていたのだ。
針金のように細くて黒く、先っぽがハート型になって尖っているそれはお腹の呪痕を除けば、この体で唯一人外らしさを表した身体的特徴でもある。
これを淫魔尾針と言い、まさしく絵に描いたような悪魔の尻尾のそれだったのだ。
この淫魔尾針は女性淫魔が生まれながらに生やしているものであり、それに加えて大人になると成人の証しとして淫魔膜翼が背中から生えて、それを以って成人態の完了となるのだそうだが、フィリアの背中には未だにその兆候は見当たらない。
因みに男性淫魔の場合、逆に淫魔膜翼を生やした状態で生まれ、大人になると成人の証しとして淫魔尾針が生えてくるのだそうな。
なお淫魔尾針と淫魔膜翼の呼称は、淫魔の性別に関係なくそう呼ばれているものであり、これは誤字ではない。
尻尾に話を戻す――実はこれずっと気になっていたんだよね。さっきからまるでウナギのようにクネクネと勝手に動き回っていたんだよ。
この尻尾は伸縮自在で、しかも本来なら巻きつけて物を掴んだり、攻撃武器にしたりと自分の意思で自由自在に動かせるらしいのだが、オレの意識がまだこの体の感覚に不慣れなせいか、無意識に動いてしまっているのだ。
因みにフィリアの記憶の表層には、尻尾についての詳しい情報は無かった。これは単に情報が欠如しているだけなのか、それとも自身の尻尾に関する知識が最初から無かっただけなのかは分からない……。
尻尾を握ってみる――エロ漫画とかだと尻尾が性感帯だったりするパターンだが……あまり感覚は感じないみたいだな。
こりこりして軟骨っぽい? そもそもこれ骨入っているのかな? いや伸縮自在だし骨は関係ないのか。ん? この感じはどこかで……。
「待てよ――これは!?」
その時、天啓のようにオレの脳裏にとある考えが閃く。
クネクネ動く尻尾を掴むと、それを太股の間から通し股間の上に乗せる。
そして尻尾に意識を集中させ――よし動いたぞ……それを適度な長さに調節して、六〇度の角度で上向きにピンと勃たせた!
お、おおーーーー!
「お前はまさか、マイサンなのか!? 父の元に帰って来てくれたのか!! マイサーン!!!――」
…………。
…………。
…………。
む、虚しい。あまりにも虚し過ぎる……だがまあ、いいさ。せめてこの尻尾をマイサンの生まれ変わり、マイサン二世だと思ってこれからは強く生きて行こう。オレはそう決意したのだった。
★★★LAST-PRINCESS or LUST-PRINCESS★★★
これで一通りフィリアへの視姦、もとい視診は終わった訳だが……。
ここからはいよいよ身体検査の仕上げ――触診の時間だ。取り敢えずちっぱいから行ってみるとするか。
そんな訳で早速だがちっちゃな両手で、二つの粗末な胸をがしっと掴んでみた……おお、見事に掌の中にすっぽりと収まって隠れてしまったぞ。乳ちっぱいは伊達じゃない!
さらに続けて今度はバストアップマッサージをしてみる――
モミモミモミ。
モミモミモミ。
モミモミモミ。
…………。
…………。
…………。
うーんちょっと硬いし、やっぱモミ応えが圧倒的に――いや寧ろ絶望的に足りないんだよなぁ……。
(サクランボを摘まんで)
サクランボか?……じゃあ摘まみながら揉んでみるか――
モミモミモミ。
モミモミモミ。
モミモミモミ。
(そう、そこひっぱって!)
ッ……………………!!!
(今イッた?)
やっべぇぇっ!……今のはちょっと、いやかなりやばかったぞ!!
危ない危ない。この世界に目覚めたばっかりだっていうのに、さらにいきなり新しい世界に目覚めるところだったぞ!(ん? なんかややこしい言い回しだな、これ)
本当であれば栗や栗鼠や鮑や膜とかも、微に入り細に入りじっくりと触診したいところではあったが、サクランボだけであの感度なのだ。そっちはまだちょっと怖いから保留にしておいた方がいいだろう……。
さて触診も完了したし、あとはどうっすかなぁ?――鏡に向かって可愛い顔で睨めっこ……変顔させつつ、思案する。
鏡、顔か。そうか、顔芸があったか。このオレの手にかかれば変顔にしてしまう程度のこと……ちょろいもんだぜ。クックククク。このキレイな顔をぶっ壊してやる!
えーと先ずは一指し指と中指を立てて、口の中に深く突っ込んで……上目使いにしつつ苦しそうな、そして困り顔で――これぞイ●●チオを強制されている図!
おーおーこれはなかなかエロっちぃな……っていうか見た目がこれだと犯罪臭がパないな。
次は両手で二本指を立ててチョキを作って、弛緩し切った半笑いの呆け顔にして――
「アヘ顔ダブルピース!」
ププッ……こ、これはちょっとやばいわ。美少女が台無しだよ。
(これは流石に引くわ……)
いやだけど、これではイマイチ臨場感?っていうか、リアリティが足りないなぁ……フィリアは仰向けになってその身を投げ出すと、脚をガニ股にする。
『拉致られて散々ヤラれまくって、ボロ雑巾みたいに打ち捨てられた挙句……最後にスマホのカメラの前でポーズを強要される』みたいな感じの悲惨なシチュで――
「アヘ顔ダブルピース……パート2!」
チラッと鏡を見てフィリアを確認してみた――お、おおう、これは壮絶だ。マジで酷い。
舶来もんの美少女のこんな姿なんかを、友人★★くんが見たらさぞや大興奮していたことだろう。この『お宝映像』を彼に見せてやれなかったのが残念でならない。
ぷっぷぷぷぷ……やばい段々楽しくなってきたぞ。お次はでんぐり返しの要領で腰を高く上げてっと……おっフィリアの体、スゲエ柔らかいな。次はイナバウアーでもしよっかな……。
仕上げにガバッと股を広げ、両手でガシッと太股を押さえつける。見よ、これぞ――
「真っ裸で●●ぐり返し!」
とかやっていた正にその時だった――ドアからノックが響いたのは……。
そしてノックをした相手は部屋の主(つまりフィリアのことだ)に断ることなく、勝手に入って来たのだった!
主人公以外のキャラ登場で、ようやく主人公の阿呆な一人芝居が終わりました(笑)