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secret gift

作者: アラヤ識

クリスマス大好きです。5分小説なんで、ちらっと読んでいってくださいね。

読んでいただいたあなたに、素敵な夜が訪れますように。

 聖なる夜。


 何か特別な雰囲気に包まれたセカイが、今年もとうとうやってきた。

 街は眠ることも忘れ、それ自身が夢であるかのように色とりどりのイルミネーションで彩られている。そこかしこから軽快なマーチが聞こえ、この街すべてが大きなオモチャ箱のようだ。

 誰もが自然と笑顔になれる。

 私は今までそう信じてきたし、これからも疑わないだろう。

 だからか、浮かない顔をした少年を見つけた時、私は無意識のうちに声をかけてしまっていた。

「やぁ。こんな素敵な日に君はどうしてそんなに面白くなさそうなんだい?」

 ・・・・・・いきなり声をかけられて驚いたのだろうか、しばらく待っても返事は返ってこなかった。コホンと咳払いをし、今一度問うてみた。

「君だよ少年。今日は世界中に魔法が掛かる聖なる夜なのに、どうして君はそんなにも面白くなさそうなんだい?」

 今度は聞こえただろう私の声に応えたのは、しかしなかなかに冷たい反応だった。

「・・・・・・おじさん、誰?」

ふむ。なるほどどうして私は身も知らずの少年にいきなり声をかけた怪しいおじさんだったというわけだ。

「おぉ、これはこれは失礼した。まぁ名乗るほどのものでもないんだがな。

 うん、今日限定でサンタのおじさんとでも名乗っておこうか」

 少しおどけて答えると、なんとも微妙な顔をされてしまった。

 まぁ今は私のことより少年のことだ。

「さ、私は君の問いに答えた。君はどうする?」

 あくまで軽く聞いてみる。しかし少年の答えは反して重たく吐き出された。

「別に。本当におもしろくないだけさ」

 そうつぶやいた少年の横顔は、今にも泣き出しそうだった。



 エドと名乗った少年は、ポツリポツリではあるが私の質問に答えてくれた。

「ふむ、じゃあ君はクリスマスを両親と過ごしたことがないんだね?まったく、仕事を大事にするのもわかるが、特別な日の夜くらい時間を作ればいいものを」

「無理だよ。この日は二人ともすごく忙しそうで、声をかける暇もないんだ」

 諦めの色。私はどうしてもこの少年の笑顔が見たくなった。

「そうだ、これから私と教会にいかないか?あそこならいろいろな人がやってきて心も体も温まる」

「いいけど・・・・・・誘拐?」

 まだ信用は得られていないようだった。



 少しずつ日が傾き始める。教会までは少し距離があり、その途中で話したことだ。

「君は、ご両親が好きかね?」

「好きだよ。いつも口うるさいけど母さんの作るシチューはとってもおいしいんだ」

 うつむきながらも少し自慢げに語るエドはどうやら本当に親の事が好きなようだ。

「いつも忙しいのかい?」

「ううん。いつもは暇なんだけど、今日は特別」

「なんの仕事をしているのか、聞いてもいいかい?」

 少しずつ打ち解けてきたような気がして、私は少し踏み入って聞いてみた。確かに飲食業などならば今日は特に忙しくなるだろう。

 しかしこの問いの答えは、ついに返ってこなかった。



「ねぇおじさん、サンタなんでしょ?」

 教会が見え始めたころ、突然そう聞かれて、そういえば最初にそう名乗ったなと無責任なことを考えていた。

「ん・・・・・・うむ。そうだ」

 なんと答えたものか、とりあえずで頷いてしまった。

「ふーん。じゃあさ、僕のほしいもの頂戴よ」

 エドの顔は悪戯を思いついた悪ガキの顔だった。

「よし。言ってみなさい」

 もしもこれでこの子の願いが聞けるのならばしめたものだ。それさえ用意できれば笑顔にもなれるだろう。

「んじゃさ、 おじさんの欲しいものを言ってよ」

 ・・・・・・私はしばらく言葉の意味を理解することができなかった。

 私が彼の欲しいものを欲しているのに、彼も私の欲しているものを欲している?

「すまない、エド。意味がわからないんだが、私の欲しいものを言うことが君の欲しいことなのかい?」

「そうだよ。おじさんは僕に優しくしてくれたからね、恩返しだよ。僕にもそろそろできるはずなんだ。父さんたちは手伝わせてくれないけど、本当はお仕事の手伝いだってできるはずなんだ。どんなものでもいいよ!」

喋るにつれて興奮の増しているエドをなだめるように、私は混乱した頭をどうにか建て直して聞いてみた。

「ちょっと待ちなさい。どういうことか説明してくれないか?」

なかなか理解できない私に対し、もどかしさを隠そうともせずエドは説明してくれた。

「深く考えなくていいんだって。おじさんが今欲しがってるものを僕に教えてくれたら、僕はそれをおじさんにあげるよ。あ、言い忘れてたけどなんでもはさすがに無理だからね?そーだなぁ・・・・・・あの車までなら大丈夫だと思う」

 そういってエドは教会の前まで走ってきた車を指した。車には疎い私でも一目で高級車とわかる雰囲気を持った車だった。

「ちょ、ちょっと待ちなさい!君は一体・・・・・・何なんだ?」

 あまりの驚きに動けなくなってしまった私は、先に行こうと歩き続けるエドを呼び止めた。

 振り返ったエドの顔には、誇らしげな笑顔が張り付いていた。

「何って、フフン。サンタさんがプレゼントをあげるのは当たり前のことでしょ?大人に渡すことはほとんどないんだけど、おじさんは特別にあげるよ」

 どこからともなく、鈴の音が聞こえてきた。

「さぁ・・・・・・おじさんの願いを僕に教えて」

寒い時期になってきましたね。

椅子に座ってると足の指先がじりじりしびれます。

地元では初雪が降りました。

読んでいただきましてありがとうございました。

車がだいぶ白くなるくらいには積もったんであせりましたが、次の日天気がよかったのですぐ解けて助かりました。

雪国の雪かきはリアルにしんどすぎます。


最後まで読んでいただいたあなたに、心の底からの感謝を。


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