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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
最強はだれだ!?王位決定戦!
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決勝戦! VSリリ&トトちゃん

 王位決定戦の決勝戦の日がやってきた。

 私たちは闘技場の傍で現在待機中。


 会場は満席で立ち見の人もいるくらいだ。

 最後の試合だけあって観客動員数も過去最高だと思う。

 

 司会のうっちーと魚ちゃんの紹介が始まった。


『さぁいよいよ王位決定戦も大詰め!残すところは決勝戦のみとなりました!』

『早速選手に出場してもらううお』

『まずはこの大会で一気に有名になったこの二人!最低オッズ一万倍という酷評をものともせずに勝ち上がってきた下克上チーム!ルル&クロネペアー!』

「「「「おおおおおお」」」」

「優勝してくれー!」

「頑張れー!」

「勝ってくれマジで!!」

『人気になったうおね』

『彼女たちが優勝するととんでもない大金が動き経済が活発化すると専門家が言っているほどだー!』

『…なんの専門家うおか』

「よぉーし!頑張ります!」

「集中しましょう」

「はい!」

 

 ルル様はここまでの対決とは打って変わって緊張していない様子だ。

 相手が慣れ親しんだリリたちであること。大勢の観客の前で何度も戦った経験。これらが合わさり、いい相乗効果が出ているのかな。

 

『対するは今大会最強と名高いリリ&トトペア!こちらは真逆のオッズ二番人気!その人気に恥じない力で決勝戦までコマを進めました!』

『準決勝ではトト選手の実力も高いことが証明されたうおからね。バランスの良いコンビうお』

「リリ様―!頑張ってください!」

「トトちゃーん!また忍法使ってー!」

「トト!勝つわよ!」

「もちろんですぞ」

 

 私たちの反対側から二人が闘技場に入ってくる。


 四人で長期間旅をしていたからか、決勝戦なのに私も緊張感はない。

 なんだろ…ここまで身近な相手だとね。自然とリラックスできている。

 

 ただ、油断は絶対にしてはいけない。

 リリのスペックは半端じゃない。コルナさんのスピード、コロさんのパワー。その両方を兼ね備えている。

 

 トトちゃんも体術のレベルが高いし、口寄せなんてトリッキーな忍法も持っている。

 身内だからと舐めてかかると痛い目に見る。


 昨日聞いたリリの世界統一という野望。

 もし私たちが負けると魔王リリの異世界侵略がスタートしてしまうのだ…


 

 そのリリたちと話せる距離まで近づき、少し会話する。

 

「最高の試合にしましょ」

「うん」

「はい!」

「それにしても、あたしの予想は的中したわね。決勝はあたしたちで戦うことになるって!」

「ああ。そういえばトーナメント表が決定したときにそんなこと言っていたね」

「まぁ当然の結果よね。そしてこうも言ったわ!最後に勝つのはあたしたちだってね!」

「その予想だけは外れるよきっと」

「ですです!」

「ふふん。すぐに思い知ることになるわ!」

『四人は普段から交流があるようだから、お互いの手の内は知り尽くしているはずうお。どういった試合展開になるのか楽しみうおね』

『まもなく試合開始です!』

 

 ふぅ…集中集中。

 



 うっちーの試合開始の合図が響き渡る。

 それと同時にルル様が大召喚を発動。

 

 リリとトトちゃんは様子見なのか後退する。


 無事召喚が完了したので、いつものように私はコリナさんに、ルル様はコルナさんに騎乗する。

 

 ミツキさんとコロさんは召喚するたびに仲良くなっている気がする。

 二人で近況を報告し合っている。勝負に集中して。

 

 スフィルクスさんは上空で待機。

 

「邪魔してきませんでしたね」

「リリは戦闘狂ですからね」

 

 たぶん全力の私たちと戦い!とか思ってるのだろう。

 案の定リリの顔を見ると、プレゼントを前にした子供のように目をキラキラさせている。

 

「近くで見ると大迫力ね!」

「強そうですな…だから拙はリリ殿のスピードなら止められると進言したのですぞ」

「クロネに止められるから一か八かになるし、こっちのほうが楽しそうじゃないの!」

 

 やっぱりな。

 

 ともかくこれで最初の関門は突破。

 これで少しは有利に試合を進められることになる。



「さぁ!いくわよ!」

「今日で俺はお前を越える!!」

「【水流弾】~」


 リリが突進してくる。

 それに合わせてコロさんが立ち向かい、ミツキさんが魔法を発動させる。


「ふふん。それぐらいじゃ、あたしは止まらないわよ!」

「えぇ!?」

「ぐふぉっ!」


 ミツキさんの放った巨大な水の弾をリリがすべて裏拳ではじく。

 そしてその水流弾に紛れてリリに近づいていたコロさんも一緒に裏拳で殴りつけた。


「来ます!」

「わかっているのじゃ」


 一瞬で前衛が崩れた。

 すぐさまコルナさんとコリナさんが左右に移動し回避行動をとる。


「トト!あんたはお姉ちゃん担当よ!」

「はいですぞ」


 トトちゃんがルル様のところに向かう。

 私のところにはリリが。


「あたしを止められるかしら!?」

「【大結界】!」

「無駄無駄ぁ!」


 リリを中心に五重の結界を展開するけど、人並外れた怪力でパリンパリンと結界を次々と破壊される。

 でも…そんなことはわかっているさ。リリが私の結界を破壊してくることくらい。


「スフィルクスさん!」

「【雷撃】」

「きゃ!」


 リリが最後の結界を割って一息ついた隙を狙って、スフィルクスさんが上空から雷撃をリリに直撃させる。


 流石のリリでも雷を直接受ければただでは済まないだろう…と思っていたのだけど…


「いったぁ…びりびりする~」

「…我の雷撃を受けて平気な顔をしているとはな」

「どんな体の構造をしてるんだか」


 そう言えば大嵐の島で麒麟と戦った時も雷に打たれてぴんぴんしてたっけ。

 もしかしたらその時により耐性が付いたのかもしれない。



 一方、ルル様のところでも進展があったようだ。


「痛いのじゃ!なんじゃこれは!?」

「マキビシですぞ!」

「コルナさん!大丈夫ですか?」

「…厄介なものを使っていますね」


 トトちゃんが旅の途中でコツコツと木や竹で三角錐になるように削り出して作っていたものだ。

 三角錐なのでどのようにばら撒いても棘が上に向くような構造になっているため、踏むと突き刺さる忍びアイテムだ。


 これの厄介なところは踏まないようにするためにコルナさんの長所であるスピードを減衰させられてしまうところだ。


 案の定コルナさんはマキビシを嫌がって動きが止まってしまっている。

 そしてトトちゃんが攻めてくるけど…


「くぅ…やはりリリ殿のようにはいきませんな!」

「最近壊されすぎて自信なくなってきたけどね」


 私がルル様の周囲に結界を展開し、トトちゃんの攻撃を防ぐ。

 でもトトちゃんはすばしっこいから正面に展開しているだけだと不安だな…そうだ。

 

 360度ルル様を結界で完全に囲もう。

 

「むむ…」

「やるわね。トト!一度合流するわよ!」


 トトちゃんではルル様を倒すことが難しいと考えたであろうリリが一度退く。


「トト?フェリルは呼べないのだったわよね?」

「はいですぞ。一昨日から音信不通ですぞ」

「ふんふん」


 …これは良い事を聞いた。

 準決勝でトトちゃんが切り札として用いた口寄せの術は使用できないらしい。


「だったらトト!アレをやるしかないんじゃない?」

「そうですな…拙がクロネ殿の結界を突破できない以上、アレをやるしかなそうですな」

「「アレ?」」


 何やらリリたちには秘策があるようだ。

 確かにこのままだとトトちゃんを結界で抑えられるから私たちが優勢だと思うけど…決勝戦までまだ隠していた作戦があるのか?(私たちはもう準決勝までですべてのカードを出し切っている)


「これは結構強いわよ~!」

「やりますぞ。秘伝忍法【憑依の術】!」

『これは…!!トト選手がリリ選手の中に入っていったぞー?』


 トトちゃんが煙のように消え、そのままリリの中に吸い込まれていく。

 するとリリの服装が変化していく。トトちゃんが着ていた忍者服だ。


 それに伴ってリリの体にも若干の変化が生じていた。特に顕著なのは目。

 左目は本来のリリの赤目だけど、右目はトトちゃんの青目に変わっていた。所謂オッドアイだ。


 そして…今までずっと素手で戦っていたリリの右手には忍者刀が握りしめられている。

 呆気に取られている私たちにリリが忍者刀をくるくる回しながらこちらに向けてくる。


「さぁ!お姉ちゃん、クロネ?油断しないでね。今のあたしは最高に強いわよ?」


 過去最大の強敵が目の前に誕生した。



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