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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
最強はだれだ!?王位決定戦!
82/88

従者対決!トトちゃんVSルー 前編


 準決勝第二試合はリリとネネ王女が膠着状態となる試合展開で、決着をつけるべく勝負の行方はそれぞれの従者、トトとルーの一騎打ちで決められることとなった。


 

 王様は私たちと戦った時にこんなことを言っていた。


 「良き王には良き仲間が集まる」と。


 共に自分の主が良き王であると証明するためにも…負けられない戦いだと認識していることだろう。

 忍術(?)を駆使して戦うトトちゃんと、様々なマジックアイテムを駆使して戦うルー。

 果たしてどちらが強いか…

 

「トトちゃーん!頑張ってくださーい!」

「はいですぞ」

「ルー?負けたら承知しないわよ!」

「はいですよー」


 ルーの実力はかなり高い。トトちゃんが怪我しないか心配だ。


「トトさん?よろしくですよ」

「はいですぞ」


 先に動いたのはルーだ。

 ルーが槍を構え、トトちゃんに近づく。

 トトちゃんもそれに合わせて忍者刀を取り出す。


「まずは小手調べですよー」

「かかってこい!ですぞ」


 ルーが槍を突きだし、トトちゃんがそれを忍者刀で受け流す。

 それを気にした風もなく、再び今度は三連撃…うわ。戻しが速い!


 ほとんど四連撃のような速さの突きをトトちゃんが紙一重で回避する。


「う…くっ…さすがに強いですな…!」

「おおっ!初見でここまで綺麗に捌かれるとは思ってなかったのですよー。ちょっと甘く見ていたのですよ」


 ルーが感心した様子で徐々に速度を上げていく。

 …やっぱり近くで見ると迫力が違う。私だったら絶対避け切れない速さだ。


 それでもトトちゃんはギリギリだけどダメージを負うことなく槍を回避し、回避できない攻撃は忍者刀で軌道を逸らして凌いでいた。


「むぅ…埒が明かないのですよ。…それじゃあこれはどうですか?【フラガラック】!」

「!!」


 ルーが一旦下がり、マントをひらりと捲り上げると、中から剣が飛び出してくる。

 その剣はルーが触れていないのにも関わらず空中を浮遊し…どころかヒュンヒュンと斬りつける動きを見せる。そうしてルーが指をパチンと鳴らすとピタリと止まり、切っ先がトトちゃんに向く。


「ルーの槍とフラガラックの剣。両方を見切れるですかー?」

『出ました!ギギ選手との対決でも披露したルー選手の【フラガラック】の剣!まるで自分の意志を持っているかのように独自で動き回る剣だぁ!』

『これで優勢だったルー選手が更に優勢になってしまううお。トト選手はここが正念場うおね』

「…あわわ!トトちゃんが大ピンチです!」

「マズいですね…」


 ルーの槍だけでもギリギリで回避するのが精一杯だったのに、これ以上手数が増えると厳しい状況と言わざるを得ないだろう。

 トトちゃんも難しい顔をしている。


「むぅ…確かにこれ以上攻撃が増えるとどうしようもないのですぞ」

「ですよですよー」

「ですが…こうすれば解決ですぞ!【影分身の術】!」


 トトちゃんが手で印を結ぶ仕草をしてから魔法を発動。

 トトちゃんが二人になり、ルーに身構えている。

 攻撃を仕掛けようとしていたルーも立ち止まり驚いている。

 

「おお!?凄いのですよー!」

『なんとトト選手が二人に分身した~~!!??』

『姿形は全く同じうおね。ただ顔だけが影のように暗くなっているうお』

 

 その顔だけが暗くなっているトトちゃんは【フラガラック】の正面に回る。

 どうやら本体がルーの相手を、影分身が自由自在に動く剣【フラガラック】の対処に回る様子だ。


「ほほーう。珍しい魔法なのですよー」

「魔法ではないですぞ!忍法ですぞ!」

「いや、どう見ても魔法…」

「忍法!」

「…もうそれでいいですよぅ。…気を取り直していくですよー!」

「にんにん!」


 ルーの槍が煌き、その横からフラガラックがトトちゃんを切りつけようとするが…影分身のトトちゃんがそれを防ぐ。


 どうやらトトちゃんの影分身の性能は高いようだ。

 傍目から見ても本体のトトちゃんの動きと何ら遜色はない。


「むむ…意外と厄介なのですよー」

「まだまだいきますぞ!【影分身の術】!」

『トト選手が三人に増えた~!これは強力だ!』

「すごいです!戦力三倍ですね♪」

「トトちゃんと同じ性能なら…ですがね」


 ルル様がもう勝ったも同然とばかりにニコニコしているが、そんなに甘い相手ではないだろう。


 案の定ルーはニヤリと笑い距離を取る。


「まさか手数で負けるとは思っていなかったのですよ。でもこの状況…アレを使えるのですよ…出でよ【タスラム】!」

「な…アレは…!」

「知っているんですかクロさん!」


 ルーが先程と同じようにマントを翻すと、今度は信じられないものを取り出してきた。

 ルーの手に収まったアレは…


「拳銃…?まさかこの世界にもあるなんて…初めて本物を見ました」

『ルー選手が何やら見覚えのない道具を取り出しました!今度は一体どんなアイテムなのでしょうか!!』

『魚も見たことないうお』


 どうやらこの世界でも拳銃はメジャーではないようだ。

 博識な魚ちゃんも実況席で疑問符を浮かべている。


 そんな謎の武器に誰もが注目する中、ルーがゆっくりとトリガーに手を掛ける。マズイ!!


「トトちゃん!避けて!」

「「「「!!」」」」」

「がっ…!!」

「はい。これで分身が減ったのですよー」


 影分身に照準を合わせていたルーは狙い違わずにトトちゃん(影分身)の心臓を射抜き、影分身が消滅する。


 その攻撃速度、威力に誰もが目を見開く。


『な、なにが起こったのでしょうか!?ルー選手の持っている物体から玉のようなものが高速で発射され、瞬く間にトト選手の分身を破壊してしまいました!!恐ろしい攻撃力だぁ!』

「ななな!!??あんなのが当たってしまったらイチコロです!イチコロですよ!」

「はい。銃による攻撃は弓よりも断然早いです。見てからだと回避はできません」

「ルーさんも回避不可能な攻撃があるのですか!強すぎです!」

「ですね」


 ルーから離れたらあの銃が火を噴く。

 遠距離も強力な武器を持っているとは…本当にオールマイティーな戦いづらい相手だ。

 

 ルーがフッと銃口に息を吹きかけ、ニコッと笑う。


「タスラムの威力は強すぎるので使用するのは控えていたのですが、相手が分身なら心置きなくぶっ放せるのですよー」

「…恐ろしい武器ですな」

「ですよー。ルーから離れたら…ドカン!ですよー?」


 ルーが拳銃をくるくる回しながら笑っている。

 とは言え近づけば神速の槍、中距離は自由自在に動き回る剣が襲い掛かってくるのだ。

 付かず離れずも難しい。


「厳しいですね…予想以上に強いです。ルーは」

「トトちゃん…」


 闘技場にいるトトちゃんも動けずにいる。でもこのままだともう一発タスラムを撃たれて残りの影分身も消滅してしまう…万事休すか?


「降参するといいのですよー」

「………」

「このまま戦っても勝つのはルーなのですよ」

「…このままだと、そうなりますな」

「ん?」

「拙一人の力で勝ちたかったのですが…難しい。あのお方の力を借りるのですぞ!」


 そう言ってトトちゃんが背中の風呂敷から巻物を取り出す。


「これは代々トトの家で受け継がれている巻物ですぞ…そして…口寄せの術!」

「おお!?」


 トトちゃんが巻物を開き、中央の手形に自分の手を合わせて魔力を流し込んだ。

 すると巻物が光り輝き…!


 美しい銀の毛並みの巨大なオオカミが現れた。

 観客の誰もが息をのむ。


 スフィルクスさんを初めて見た時に感じた「勝てない…」と思わせるような威圧感、風格。


 恐らく…いや、間違いなくSランクに位置する魔物だ。

 それにトトちゃんの今の魔法は…

 

「あれは…!?私の召喚魔法と同じ!!??」

「はい。召喚方法は違いますが…似ていますね」


 魔力を流し、魔物を召喚する。

 ルル様よりも手順は多いけどほとんど同じだ。


 トトちゃんも召喚魔法が使えたなんて知らなかった。教えてくれないとは…水くさい。


 しかしその狼はトトちゃんを見るなりため息をついている。


「久々に呼ばれたかと思えば…サルトビの娘か」

「フェリル殿。お久しぶりですぞ。お変わりなさそうで安心ですぞ」

「御託はいい。それよりも…つまらない用なら…わかっているな?」

「はいですぞ…彼女、ルー殿を倒す手助けをしてほしいのですぞ」


 トトちゃんがフェリルと呼んでいる銀狼にルーを紹介する。

 フェリルは少しだけルーに視線を向け(ルーが手を振っている)、すぐにトトちゃんに向き直る。


「…それだけか?それだけのために我を呼んだのか?」

「そうですぞ」

「………」

「………」

「…ふ。いいだろう」

「何やら強そうなボスキャラ登場なのですよー」

「我を呼び出すに足る相手なのか…見定めてやろう」


 フェリルはトトちゃんの真剣な眼差しを見て納得はしたようだ。

 

 トトちゃんが口寄せの術?で呼び出した銀狼フェリル。

 これがルー攻略の突破口になるのか否か…

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