表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
最強はだれだ!?王位決定戦!
81/88

準決勝第二試合!リリ・トトVSネネ・ルー

 

『それでは準決勝第二試合を始めます!』

「クロさんはどちらが勝つと思いますか?」

「それは…リリたちに勝ってほしいですけどね」


 試合を終えた私とルル様はそのまま会場に残り準決勝を見ることにした。

 この試合の勝者が最後の私たちの対戦相手だからだ。


 また特別に準決勝を勝ち上がった私たちは特別に闘技場のリングの外の特等席で見ることができるようなので用意してくれたいすに腰掛ける。


 近くで試合観戦を出来るのは助かる。

 声も聴くことができるし、細かい挙動も確認することができるからだ。


 

 ルル様と雑談しながら待っていると、うっちーの選手紹介が始まり、うっちーの選手紹介に合わせてリリとトトちゃん、そして対戦相手のネネ王女とルーが出てくる。


「「「「「「うおおおおおお!!!!」」」」」」

「同じくらいの人気なんですねー」

「優勝オッズも同じくらいですからね。それに、ネネ・ルーペアは優勝最有力候補のギギ・エリンペアを撃破してここまで来ていますからね」


 ほとんどの観客は王様がいなくなったこの大会で優勝する可能性が高いのは前回大会準優勝のギギ・エリンペアという声が多かったようだ。


 その評価の高いギギペアを真っ向勝負で破ったネネ・ルーペアの実力は誰もが認めるものとなり、リリと人気を二分するまでになっている。


 しかも実はこの組み合わせは予選でも戦っているのだ。

 結果は…引き分け。お互いが本気を出す前に残りの選手がいなくなってしまったためにこの二組が勝ち上がった形だ。


 だけど今回は明確に決着がつく。

 観客も盛り上がっているけど、それ以上にお互いの気合の入り方も違うだろう。

 案の定ネネ王女はかなりやる気満々だ。


「やっぱり勝ち上がってきたわね。リリ!」

「当然よ!」

「予選で私が言ったこと、覚えてる?」

「………」

「………」

「…覚えてないわ!」

「何で溜めたのよ!…まぁいいわ。次こそリリをこの矢で貫くって言ったのよ!」

「そうなのね!でもそれは難しいわね!」

「どうして?」

「ふふーん。あたしはネネ姉様攻略の必勝法を考えてきたから!」

「!!」

「だから、ネネ姉様は不利よ!」

「そ、そうなの…その必勝法…絶対に破って見せますわ!」

「クロさん。どんな会話をしていますか?お客さんの声が大きくて私には聞こえません!」

「どうやらリリには秘策があるようですね」

「へえ~!流石はリリちゃんですね!」


 リリはネネ王女の「必中之矢」と「未来之矢」の攻略法を考えてきたようだ。


 必中之矢はともかく、未来の自分を攻撃される未来之矢は防ぎようがないものだと私は考えていたけど…見物だ。


 お互いが握手をして、試合が開始される。


『それでは準決勝第二試合!試合開始ーーー!」

「行くわよ!【必中之矢】!」

「よっ!そりゃ!」

「「「!!」」」


 開始の合図と同時にネネ王女がリリに対して複数の矢を放つが、その場から動かずにリリは全ての矢を掴み、地面に落とした。


「…矢を素手で掴むことができるのは流石ね」

「これくらい楽勝よ!」

 

 その後もネネ王女が矢を放ち続けるが、リリはその驚異的な動体視力で全てを掴み取る。


「っく…どうやら無駄のようね」

「そうね。今日のあたしに矢は通用しないわ!」

「でも、動かないと攻撃もできないわよ?リリ」

「いいのよ。あたしはこの試合、この場から一歩も動かないわ!」

「「「「はあ!?」」」」


 リリが自信満々に一歩も動かない宣言をした。

 直接言われたネネ王女は勿論、私たちも思わず声が出る。


「動かないと、リリちゃんは何もできないのではないでしょうか!!」

「そうですね…リリは近距離戦大好きの戦闘狂なのに」

「リリ?何がしたいのよ」

「よくぞ聞いてくれたわ!」


 リリが詳しく説明してくれる。

 何を言っているんだ…と初めは思ったけど、聞くとリリなりに頑張って考えたんだなぁと納得できた。



 要約すると…

 ネネ王女の「未来之矢」を回避する方法は一つだけ。それは動かないこと。


 ずっと動かなければ未来の自分も動いていないことになる。つまり、今の自分と未来の自分が重なるから回避もできる!という考え方だった。


「どうかしらネネ姉様?あたしの考えは!」

「そ、そそそ…そんなわけはないでしょしょう?」


 めっちゃ動揺しているネネ王女。

 多分ネネ王女の目にはリリの未来の姿は見えていないのだろう。試合が開始してからネネ王女は一度も「未来之矢」を使用していない。


 そしてリリは本当に動く気がないようだ。腕を組み、ドヤ顔をしている。

 確かに効果的ではある。



 …だけど、それだとリリの長所も無くなってしまうことになる。


 リリは動き回って相手を攪乱、翻弄するのが本来の戦闘スタイルなのに、それを自らで封じてしまっているからだ。


 それでもリリの自信は揺るがない。


「そう。ネネ姉様の未来之矢は封じているけど、あたしも攻撃できない…そこで提案よ!あたしの相棒のトトと、ネネ姉様のパートナーのルーで、一騎打ちするのはどうかしら?」

「私のルーと一騎打ち!?」

「「ええ!?」」


 リリが更にとんでもないことを言い出した。

 トトちゃんとルーで1対1の対決をして、勝ったほうがそのままチームの勝利にしようという提案だ。



 ネネは少し呆けた後…ニヤリと笑う。


「リリ?そんな提案をしていいのかしら?私は正直、リリを抑えることができればこの勝負はどうとでもなると思っていたわ。そのあなたが、戦線を離脱することになるのよね」

「そうね」

「私としては願ってもない提案だけれど…本当に良いのね?」

「あたしのトトなら勝ってくれるわ!」

「うふ…うふふふ…乗ったわその提案!ルー!?聞いていたわね?やっておしまい!」

「1対1ですか…とっても緊張するのですよー」


 そう言いつつもルーは槍をくるくる回して緊張のかけらもない様子だ。自信があるのだろう。


 思えばルーはこの王位決定戦、ミスらしいミスをしていない。

 予選ではリリが攻めようとしたところで他の選手を全滅させ、危なげなく本選進出を決めるファインプレー。


 そして本選では槍勝負で師匠であるギギと互角に戦い、更にマントから様々な強武器を取り出して試合を優勢に進め見事に勝利した(ちなみに今回も緑のマントを着ている)。


 ギギ・エリンペアに勝てたのは間違いなくルーの大活躍のおかげだ。


「そう言えば、トトちゃんがしっかり戦っているところを見るのは初めてかもしれないですねー!」

「そうですね」


 対するトトちゃんは、長い時間一緒に旅をしてきた私でさえ未知数なところがある。

 というのも、旅の道中は大抵リリが何とかしてしまっていたので活躍の場自体がなかったからなのだけど…



 改めてトトちゃんを見る。

 忍者服で犬耳が隠れているけど、獣人だから身体能力は高い。そして背中には細長い風呂敷?のようなものを背負っていて、その中にはトトちゃん曰く様々な忍者道具が入っているそうだ。


 それに、忍法(魔法だと思う)も駆使して相手を翻弄するのが得意だとか。


「トトちゃーん!頑張ってくださーい!」

「応援ありがとうですぞ。ルル殿」


 トトちゃんはこの展開になることをリリから聞いていたのだろう。

 焦った様子はなく、ルーの挙動をじっくり観察している。


 そんなトトちゃんの視線に気づいたルーが気軽にトトちゃんに話しかける。


「いやー。お互いわがままな主を持つと大変ですねー」

「大変ですが…拙はリリ殿と出会えて本当に良かったと思っているのですぞ」

「…それはルーもですよー。ネネ様に仕えている今がルーの幸せなのですよー」

「…負けられませんな。お互いに」

「ですよー。トトちゃんでしたっけ?とっとと倒して今日と明日はのんびり過ごすのですよー」

「そう簡単には…いきませんぞ!」

『さぁ!両者合意のようなので特別ルールに変更です!トト選手VSルー選手のガチンコ対決!勝者のペアがそのまま決勝進出だーーーー!!!』

「勝つのはあたしのトトよ!!」

「いーえ。私のルーですわ!」

『それでは変則タイマン勝負開始~!』




 トトちゃんVSルーの従者対決が幕を開けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ