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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
最強はだれだ!?王位決定戦!
76/88

準々決勝

 王位決定戦準々決勝第一試合。


 私たちは相手の騎士ペアを相手に優勢に立ち回ることができていた。


「コリナさん。後ろに回り込みましょう」

「わかった」

「くっ…速い…!」

『闘技場を縦横無尽に駆け回る九尾に騎士ペアがまったくついていけていなーい!!』

『コンビネーションも抜群で、常に片方が視界の外に出るような動きをしているから見失いやすいうおね。予選時にも感じたうおが、息ピッタリうお』


 ルル様とコルナさんが騎士の注意を引き付けてくれている間に後ろに回り込み魔法を発動する。


「【結界魔法】」

「「ぐおおおお!??」」

『クロネ選手が円柱型の結界魔法を用いて騎士二人を場外まで押し出す~!!』


 真後ろから丸太をイメージした結界を作成して騎士二人にぶつける。

 私の目論見通り、後ろからの衝撃には踏ん張りが効きずらいのかそのまま場外に押し出すことに成功する。


『決着!勝者ルル・クロネペア!』

「「「「「うおおおおおおお!!」」」」」

「ルル様ー!そのまま優勝してくれーーー!!」

「応援してるぞー!!」

「ありがとうございますー!頑張りますー!」

「お疲れさまでした。コルナさん、コリナさん」

「うむ。またの」

「ばーい」


 コルナさんとコリナさんが召喚陣を使って帰っていく。


 これで遂にベスト4進出だ。来るところまで来てしまった。優勝する気はない…なんて考えだったけど、もしかしたらこのまま勢いで優勝できちゃうかも?そう思ってしまうくらいに今日も調子が良かった。




「勝てちゃいましたね」

「はい。こちらのペースで終始試合を進めることが出来ましたね」

「ですです。あ。次の試合はしっかり見ましょう!勝った人と私たちが戦うんですから!」

「そうですね。観客席に行きましょうか」


 汗を拭いてルル様と観客席に移動し、試合を観戦する。


 次は新くんたちの試合だ。移動したころにはすでに試合は始まっていた。


「おりゃ!」

「ぐおおおおっ…!」

「【継続回復ヒーリング】」

「うわぁ。アラタくん?でしたっけ。とっても強いですね!」

「はい」


 しかもここ最近の戦闘で完全に身体強化魔法を使いこなせるようになってきているようで、明らかに魔法の持続時間が伸びている。


 それにおじいちゃんが回復魔法を新くんに掛け続けているおかげか魔法使用後の反動も少なくなっている様子だ。


『勝者アラタ・ガンドペア!』

「「「「「おおおおおお」」」」」

「次の相手はクロさんのお友達ですね!」

「友達ではないですけど」


 以前に新くんとは戦ったことがあるけど、その時は新くんが私の結界魔法を突破できなかったから一方的に勝利することができた。


 でも今回は同じようにはいかないだろう。明らかに強くなっているから。

 何か作戦を考える必要がありそうだ。例えば…


「新くんの身体強化魔法が切れるまでコルナさん達に逃げ回ってもらえれば勝てそうですね」

「ずいぶん消極的な意見です!?」

「それか、スフィルクスさんに乗って空で待ってるか」

「卑劣!卑劣ですよ!お客さんもがっかりです!」

「だって真正面から戦うと厄介そうですよ」

「困難に打ち勝ってこそ!です!」


 …いつからルル様は脳筋思考になったんだ?

 リリに毒されすぎたか。


 ともあれ、確かにさっき述べた戦略で勝っても新くんは納得できずにいずれ再戦を申し込まれるだろう。


 だから将来的に考えて、正々堂々完膚なきまでに倒すことができれば諦めてくれる…かもしれない。

 でもどうだろう…アラタくんってしつこそうなんだよね…


 そんなことを考えているとリリとトトちゃんが闘技場に上がってきた。もう次の試合に入るようだ。


「クロさん!リリちゃんとトトちゃんが出てきましたよ!」

「相変わらずの大人気ですね」


 準々決勝第三試合に登場したリリとトトちゃんは観客の受けが非常に良い。

 理由はまずリリがこの国の王女であることと、この国の美の基準に対してリリが完璧なプロポーションを持っているからだ。


「リリ様ー!結婚してくれーー!!」

「あの胸の小ささ…羨ましいわぁ」

「体つきも引き締まってて最高だぜ…」

「…」


 この国では強さこそが全てで、胸は不要なものとして認識されている。だからリリのような貧乳っ子がモテるのだ。


 その点ルル様は類稀なる巨乳なので「強いけれど体形がな…残念だよな…」という評価に落ち着いている。


 この美意識は簡単には変えられないものだと思っている。いくら貧乳派の人間に巨乳の素晴らしさを説いても鼻で笑われるだけなのだ(実体験)。


 だからルル様の残念王女という評価はしばらく覆らないだろう。

 それでも強いことは強いから見下されることは無くなった。それだけでも大きな進歩だ。


「お相手さんは竜騎士?さんみたいですね!」

「厄介そうですね」


 おっぱいについて考察していると試合が始まってしまっていた。


 試合開始と同時に相手が竜に乗って飛び立つ。

 奇しくもさっき私が考えた空中から一方的に攻撃する作戦のようだ。


 流石のリリも飛ぶことはできないのでピョンピョン跳ねながら憤慨している。


「ちょっとーー!!降りてきなさーい!」

「悪いなリリ王女。正攻法であなたを倒すことは難しそうだからな!フェニックスよ!ブレス攻撃だ!」

「GAAAA!!」

「わわっ!トト!」

「【水遁の術】!」


 飛竜が炎のブレスを闘技場に向けて吐くが、トトちゃんが水魔法…じゃなかった。水の忍術を使って防ぐ。


 この攻撃方法は結構リリに効果的なようだ。参考にさせてもらおう。

 飛竜にフェニックスって名前を付けているセンスはどうかと思うけど…リリ対策をしっかりしているみたいだし。


 しかしリリもやられたままで黙っているような女の子ではない。


「トト?何か遠距離攻撃の手段はないのかしら?」

「むう。忍術が届くとは思いますが…ここまで距離を取られていると簡単に避けられてしまうでしょうなぁ。威力も落ちますし…あとは、手裏剣くらいですかな」

「手裏剣?見せて見せて?…ふーん…ちょっと貸してちょうだい」

「はいですぞ」


 リリがトトちゃんから手裏剣を受け取り、投げ方のレクチャーを受けている。

 その間もブレスを水遁の術で防ぎ続けているトトちゃん。何気にトトちゃんも凄いんだよなぁ。


 二、三回手裏剣を投げる動作をした後、リリが飛竜に目を向ける。


「よし!いくわよー!それ!」

「GANN!?!?」

『なんとなんとー!リリ選手が投げた手裏剣が飛竜の翼に命中~!咄嗟の出来事に飛竜が混乱している~!』

『手裏剣の速度が速すぎて避ける暇もなかった様子うお』


 リリが投げた手裏剣は目で追うことも出来ないスピードで、飛竜の翼を貫通してそのまま上空にキラリと消えていった。


「あら。頭を狙ったんだけど…思ったより難しいわね」

「まずこの距離から届くこと自体凄いことですぞ」

「ふーん。そう?とにかく、どんどん投げるわよー!」

「待て!待ってくれ!もう投げないでください!フェニックスが死んじまう!」

「…あら?降りてきちゃったわ」


 リリが再び投げるモーションに入ったのを見て慌てて降伏する竜騎士。

 降りてきた飛竜が医務室に運ばれる。


『試合終了~!勝者リリ・トトペア!』

「リリちゃん…相変わらず恐ろしい子…です!」

「上空から一方的に攻撃する作戦は不採用ですね」


 あんな結界を貫通してきそうな勢いの手裏剣をガシガシ投げられたらたまったものじゃない。




 さてこれでリリも勝ち上がり、本日は残る四強の一枠を決める戦いを残すのみとなった。


『それでは本日ラストを飾る両選手をご紹介しましょう!ギギ・エリンペアとネネ・ルーペアの登場です!』

「「「「「「「わああああああ!!!」」」」」」」

『この国の第一皇子と第二王女の兄妹対決うおね』

『しかも情報によりますと師弟対決でもあるそうです!これはいい試合になること間違いなし!』


 ルル様の兄妹が闘技場に現れる。


 ギギ王子は王様に似て長身で筋肉ムキムキ。そして手には三つ又の槍を握っている。

 パートナーのエリンはエルフの弓使い。矢は自分の魔法で精製するらしく矢筒を持っていないのが特徴的か。


 対するネネ王女は金髪ツインテールでお嬢様という言葉がよく似合う女性だ。

 また、彼女も弓使いで弓と矢を持っている。だけど彼女は魔法の矢は使わないので背中に矢筒を背負っているのがエリンとの違いかな。

 そしてネネのパートナーであるルーは小柄だが、大きな槍を持っている。アンバランスさが良い。


 お互いが中心まで歩み寄り握手をする。


「今日はお兄様といえども手加減しませんわよ」

「ああ。全力で来い」

「エリンも。今日であなたを超えるわ!」

「ふ…期待するとしましょう」

「ルーも、ギギ師匠に一泡吹かせるのですよ」

「この大会中にどこまで成長したか…確認させてもらおう」

『両者やる気満々だー!会場も最高潮の盛り上がり!では始めましょう!準々決勝第四試合、試合開始ー!』


 この試合に勝ったほうが次のリリの相手だ。

 どちらが勝っても強敵になることは間違いないであろう戦いが幕を開けた。


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