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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
最強はだれだ!?王位決定戦!
66/88

剣帝VSアラタ・ガンド

短めです

「来い魔剣の少女…ってうお!?」

「はあああああああああ!!」


 ボクの五倍身体強化はまだ切れてはいない。ただし制限時間が来てしまったら反動で勝ち目は無くなる。だからこの数分で勝負を決めろ!


『ラッシュラッシュラーーッシュ!アラタ選手の怒涛の攻めが剣帝を追い込んでいる~!』

『速すぎて見えない人も多いんじゃないうおか?』


 五倍のステータス強化は剣帝を押してはいた。でも…崩せない!?

 剣帝は笑いながらボクの攻めをしっかりと、的確に防いでいた。


「はっはっは!レイナよりも速いな!」

「アアアア!!」

「近ければ近い程この技は効くぜ。【爆炎斬】!」

「!!」


 例え防御力が跳ね上がっていても()()の直撃は致命傷になる。そう直感して後ろに飛び退く。

 スピードも上がっているので回避は出来たけど…直後に熱波が押し寄せ…そして眼前には火の海が広がっていた。


「…チートか!」

「回避したのは正解じゃのう。あれをまともに防御しようもんならひとたまりもないぞ」

「だね」


 じいさんが水魔法で消火活動を行っている。そして剣帝は…

 ボクが距離を取ってしまったせいで更に厄介な技を使っていた。


「【写し見】」

『出ました剣帝の分身!ハルハイム戦では3人だったが今回は5人だああ!何人まで増えることが可能なのか!?』

「そっちが5倍なら俺は5人だ。これでイーブンだろ。たぶん」


 剣帝が5人になった。どれが本物か区別がつかないレベルだ。

 本物以外の4人は戦闘能力が低い…なんて甘い考えは捨てるべきか。


 5人の剣帝が襲ってくる。同一人物だけあってしっかり連携が取れている。

 剣帝は互角と言ったが…とんでもない!常に正面に一人、左右に一人ずつ、背後に二人と囲まれながら戦闘をしているために全ての攻撃を防ぐことが出来ない。少しずつ身体に切り傷が増えていく。


「どうしたどうしたァ!お前の力はそんなもんか!?」

「くっそ…!」


 せめて正面の一人を倒せれば道が開けるのに、手前の剣帝は防御に専念しているから倒しきれない!

 このままだと負ける…そんな時にじいさんがボクの後ろに回っている剣帝に攻撃を仕掛ける。


「アラタ!【風刃ウインドカッター】!」

「おっと!そう言えばこれはペアでの戦いだったな!」

「じいさん逃げろ!!」

「むう…!」


 剣帝の一人がじいさんのところに向かい…じいさんが為す術もなく倒される。


「アラタ…無茶はするなよ…」

「じいさん!!」

「安心しろ。殺しはしてねえ」


 じいさんがゆっくりと倒れ伏す光景が目に焼き付く。

 ボクが抑えきれないばっかりにじいさんが。


「五倍でも…届かないのか」

「お前もすぐ楽にしてやる」


 じいさんが負けた今、僕が少しでも手を抜いたら一瞬で敗退だろう。それで終わる。




 でも…ボクはこの男に勝ちたい。またここで負けたら…きっと黒音にだって一生追いつけない。だから…


「悪いじいさん。無茶するよ」

「…なに?」

「【十倍身体強化ディカプル】!!!」

「うお!?」


 体中の魔力が。可視化できる程に鳴動しているのがわかる。

 全魔力を使い果たしたとして、もって数秒。でもそれで十分だ。


 世界がスローになる。あの剣帝でさえも例外ではない。

 5人の位置、それぞれの剣帝の視線、呼吸、次の行動。全てが手に取るようにわかる。


 景色は緩やかに。思考は加速していく。


 そして緩やかに進む世界の中でボクだけが自由自在に動くことが出来る。

 一人…二人…三人…四人…


「…」

「「「「速い…!」」」」

『なんとなんとアラタ選手!四人同時に切って落とした!!そうとしか見えない早業!!』


 囲んでいた四人は倒した。残りはじいさんのとこに行った剣帝のみ。

 見据えて、倒しに行く。


 最後の剣帝は唖然とした後、笑い始めた。


「はっはっは。やるじゃあねえか!」

「…」

「俺の全力。受け止めれるもんならやってみろ…【爆炎斬】!!!!」

「ボクは勝つ!はああああああああああ!!!!」


 剣帝の剣から炎が迸る。

 受ければ無事では済まない。けど自分と、この魔剣を信じろ!


「いっけええええ!!!」

「…なんだと!?」

『信じられません!アラタ選手の剣が!!炎を切り裂いたアアアア!!!』


 炎を海を切り裂き、剣帝へと続く道が出来る。そこを一直線に走り抜け全身全霊の一振りを見舞う。

 だが剣帝も最後の最後で神速の剣を放ってきた。


「これで…終わりだあああ!!」

「ふっざけんなあああああ!!」


 剣と剣がぶつかり拮抗し…


「ぁぁあああああ!!」

「ぐ…うおおおおお!!??」

『剣帝が吹き飛んだぁ!!』


 最後は力任せに押し切った。だが剣帝を吹き飛ばせはしたが倒してはいない。

 剣帝が空中で態勢を立て直し着地する。けどそこは…


「よっと。まさか俺が力負けするとはなぁ!面白れぇ」

「ししょーう。ご機嫌のところ悪いっすけど…」

「なんだレイナいたのか。ちょっと待ってろ。今いいところだから」

「いやいや師匠。ここ場外っすよ」

「は?」


 剣帝が着地した位置。そこはバトルフィールドの外だった。


『剣帝ローランス選手!ここでまさかの場外負け!そして同時に試合も決着!大波乱のSブロック予選。勝ち残ったのはアラタ・ガンドペア。そしてもう一組はラッキーヤマ・ハピオペア!』

『ラッキーヤマ・ハピオペアが最後まで競っていた相手は、最後のアラタ選手とローランス選手の鍔迫り合いで生じた爆風に巻き込まれてリタイアしたうおね』

『素晴らしい戦いをありがとーう!アラタ選手とガンド選手には大至急手当を~!』


 どうにかこうにか勝てたみたいだ…けど…もう意識が…






 黒音視点


「わぁ!アラタくんが倒れちゃいました!」

「あれだけの瞬間爆発力。リスクも大きいのでしょう」


 うっちーの試合終了の合図と同時に新くんが倒れてしまった。すぐに医務室に運ばれていく。


 それにしても白熱した戦いだった。誰が勝ってもおかしくない手に汗握るバトル。特に最後、あの剣帝とか呼ばれている滅茶苦茶な人に新くんが勝ってしまうとは思わなかった。


「アラタくん達も凄かったですけど、もう一組のラッキーヤマ?ハピオ?さん達もなんだか別の意味で凄かったですね~」

「ああ。あの戦ってる相手が次々とアラタ達の戦いに巻き込まれて勝手に自滅していくやつね」

「ほぼ不戦勝で予選通過みたいなものでしたな」


 そうだった。あの二人も意外に侮れないかもしれない。きっと名前の通りに幸運がカンストしているのだろう。


「それはそうとして、次はいよいよお父様の試合ね」

「最後の予選でもありますな」

「お父様…」


 30年間この王位決定戦で勝ち続けている正真正銘の絶対王者。

 そして私はこの最終予選で知ることになる。


 なぜこの王様が30年間勝ち続けてこられたのか。

 そしてこの国の考え方の根源を。


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