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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
最強はだれだ!?王位決定戦!
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四つ巴の攻防③

のじゃじじいが頑張る回

 現在の状況は…


 騎士ペアのアタッカー・ナプティスと暗殺者ケイが脱落。ボクとじいさん、剣帝ペアは両名健在。

そしてボクは剣帝の弟子レイナに。騎士ハルハイムは剣帝にそれぞれ喧嘩を売られている。


「アラタちゃんだっけ?いざ尋常に勝負!」

「いいけど…さっきまでのボクだと思ったら痛い目見るよ!」


 まだボクの三倍身体強化トリプルは切れていない。先程の無強化のボクと剣帝の戦いを観戦していたこの子は度肝を抜かれるはずだ!


 出来れば即決着を付けたい。そう考え最高速度で攻撃を仕掛けたが…難無く鎌で攻撃を防がれる。


「うわ!速いっす!師匠相手に手を抜いていたっすか?」

「あれは自分の剣が剣帝に通じるのか試したかっただけっ!」

「ダメっすよ~。師匠相手には最初からフルスロットルで行かないと。キミ、横槍入れられてなかったら死んでたっすよ」

「…」


 そうかもしれない。何度も死の危険を感じた。

 でも試さずにはいられなかった。ボクが費やした時間は無駄じゃないと確かめたかったから。



 どれだけ攻撃してもレイナは綺麗に防いでくるので一旦距離を取って疑問を聞く。


「それじゃあレイナはわざと暗殺者を放置してくれてたってことかな?ボクを助けるために」

「それもあるっす!可愛い女の子が死ぬところは見たくないっすし!」


 ボク男なんだけどね…


「だから、お姉さんのレイナが優しくリタイアさせてあげるっすよ!」

「ぐっ…!」


 レイナが鎌で攻撃を仕掛けてくる。

 鎌の形状上、鎌を振ってからボクに先端が到達するまでが速い。戦ったことのない武器なので距離感がわからない。


「どうして剣帝の弟子なのに鎌なのさ?普通は剣を使うべきだよね?」

「剣で師匠に勝つのは諦めたっす!師匠を打倒するのがレイナの最終目標っすが、強すぎて真剣にやるのがバカらしくなったので今は迷走中っす!」

「そんな子が弟子を名乗っていいのか…?」


 言い分はふざけているけど実力は本物だ。ボクの攻撃を全て鎌の柄を上手く使い防いでくる。しかもスピードが速い。ボクの三倍速でさえついていくのがやっとだ。


 そして案の定、手数が徐々に増してきたレイナに対応が遅れていき押し切られる!と思ったところでレイナに向かって短刀が投げつけられる。


「っもう!今度はレイナにちょっかいっすか!?暗殺者さん!」

「助けられてばっかだな…ボクは」

「そうっすよ。だからおとなしく諦めてくださいっす」

「それは…最後の最後にするよ。これがダメなら諦めるかもだけどね…【五倍身体強化クインティプル!】」

「おお!?アラタちゃんの新たな技が!?」


 数度しか試したことのない五倍。反動もその分大きいけど…ここで勝つにはこれしかない。

 三倍と五倍では世界が違う。さぁ蹂躙劇を始めよう。







 剣帝視点


「ほう。それで私のところに来たと」

「ああ。魔剣の少女にフラれたからな。暇だから俺の相手をしてくれ」


 実力をひた隠していた少女がようやくやる気になったと思ったら、ずっとちょっかいを掛けられていた暗殺者のところにさっさと向かいやがった。俺を置いて。地味に傷ついた。


 その傷を癒すべく彷徨っていたら、丁度所在無さげに立っていた巨人がいたから戦いを申し込んでみた。そこらへんで戦っている奴らよりも明らかに強そうだったし。


 俺の物言いに少し驚いたような顔をして…了承してくれた。


「…いいだろう。我が名はハルハイム。剣帝の苛烈なる攻撃。全て防ぎ切って見せよう」

「ふ。大きく出たな」


 最強の盾、ハルハイム。戦闘で膝をついたことがない不屈の魂。

 相手にとって不足はない。


「いくぞ」

「来い」


 生半可な攻撃は通用しねえ。やるなら最大火力だ。


「耐えてみろぉ!【爆炎斬】!!」

「ぐうううおおおおおおおおお!!!!」

『出ました!剣帝ローランス選手の代名詞【爆炎斬】!闘気と共に剣を振るい周囲を火の海に変える大技ぁ!ハルハイム選手といえど無事では済まないはずだぁ!』

『近くにいた複数の参加者も巻き込んでリタイアに追い込んでいるうお。余波だけでこの熱気。近くにいた選手にはすぐに医療スタッフをお願いするうお』



 ちっ…仕損じた。


 爆炎斬を振るう直前に短刀が飛んできやがったからだ。暗殺者の片割れの仕業だな。それを避けたせいで狙いが少し逸れちまった。


 盾から生じるシュウウという煙が晴れていき…案の定ハルハイムは膝をつくことなく立っていた。


「やっぱか」

「いきなり大技とは…噂に違わない豪胆な性格のようだな」

「短気なだけだ」

『ハルハイム選手は無事だあ!さすがは最強の盾!!』

『あれを正面から防げるのは彼くらいうおね』


 言われてみれば正面切って防がれたのは珍しい。

 茶々を入れられたとはいえ…やるじゃねえか。


「剣帝。その程度では私を倒すことはできないぞ?」

「言うじゃあねえか。そんじゃとっておきを見せてやる」

「なに?」

「お前の負けだ。【写し身】」

『な・な・なんとおお!?ローランス選手が3人に分身したぞおおお!?』

『どれも本物に見えるうお…』

「これは…」

「見切ってみろ。ハルハイム」







 ガンド視点


「これで終わりじゃ!【水弾ウォーターボール】!」

「ぐわあ!」

「…ふぅ」


 襲ってくる参加者もこれで最後じゃ。

 さて、アラタは上手くやっておるかのう?…むむ。


「五倍を使ったのか…それほどの強敵じゃということか」


 五倍は本来乱戦で使うべきではない。使い終わった後の反動が大きすぎるからじゃ。目の前の敵を倒せたとしてもその後無防備になりすぎる。


「【継続回復ヒーリング】」


 アラタの身体の負担を和らげる魔法を使用する。ワシにはこれくらいのサポートしかできんが、ないよりはマシじゃろ。


 さて戦況は…アラタとレイナの戦いは切り札を使ったアラタが優勢。


 剣帝とハルハイムの戦いは剣帝がなにやら分裂して一方的にタコ殴り状態。


 じゃが両方暗殺者の絶妙な妨害で決め手に欠けておるようじゃ。このままじゃと…特にアラタとレイナは決着がつかないまま双方重傷を負ってしまう。それでは暗殺者の思う壺じゃ。


 アラタを勝たせるためにも…ワシが暗殺者を何とかせんといかん!


「とはいうものの…姿がめっきり見えんのじゃ」


 暗殺者はまるで存在していないかのように姿を見せない。大体の位置の目星を付けることが出来れば発見できるはずなのじゃが…


 こういう時は相手の立場になって考えてみるのじゃ。

 暗殺者は双方を妨害したい。じゃから二つの戦闘が良く見える位置に陣取っているはず。

 そんなポイントは限られておる。透明人間ではないのじゃからワシなら見つけられるのじゃ!




 ………いた!


 フードを被った暗殺者が腰に無数に差している短刀を投げつけている。

 さて。次はどうやって奴を無力化するかじゃが。


「アレを使うかのう」


 アラタも丁度反対側を向いていたこともあって閃光玉を使うことにした。

 暗殺者はフードを被っているから視界も暗い。閃光は効果的じゃろう。


「くらえい!」

「!!」

『おおっと!ガンド選手が暗殺者ティー選手の目の前で閃光玉を炸裂させた!ティー選手がよろめいている~~!!』


 よし!上手くいったぞい!

 予想以上のダメージを受けている暗殺者を魔法の縄で縛り付けて無力化する。


「この縄は特殊じゃから切っても逃げようとしても無駄じゃぞ」

「…くそ」


 暗殺者をそのまま場外まで運んでリタイアさせる。よっしゃ!ワシ大活躍!


 それと同時にアラタたちの戦闘も終了した。どうやら閃光玉はアラタの援護にもなったようじゃ


「ストップ!ギブアップ!ただでさえアラタちゃんのステータスがアップしてトップギアに入ってるのに目が見えないんじゃ勝ち目ないよぉ!」

「じいさんナイスアシスト!」


 笑顔でワシにサムズアップしてくるアラタと鎌を地面に置き、目をギュッと瞑りながら両手を挙げている剣帝の弟子。


 そしてもう一方の試合も決着がついていた。


「…見事」

「楽しませてもらったぜ。いずれまたやろう。…俺の弟子は負けたか」


 ハルハイムが盾を破壊されリタイアした。剣帝は分身を解き、剣で肩をほぐしている。


『これでレイナ選手、ハルハイム選手、ティー選手が脱落~!残りの参加者は…20名といったところでしょうか!』

『おや?剣帝ローランス選手がアラタ選手に近づいていくうお』

『これはラストバトル勃発か~!?』


 剣帝がワシたちに近づいてくる。

 この予選は残り2組になるまで続行される。じゃからまだ終わらないのじゃ。


「よぉ。次は最後までいなくなるなよ?」

「…もちろん」


 剣帝を倒せばこの予選は勝ったも同然。魔法使いに人権を持たせるために、ワシも頑張るのじゃ!


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