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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
最強はだれだ!?王位決定戦!
62/88

性格悪いイケメンは死ね

『さぁさぁお次はEブロックだー!選手にゅーじょー!』


 うっちーの合図とともに闘技場に入る。リングに上がると周囲の熱気というか…ヤジが大きくて驚く。ルル様もさっきはカッコよく決め、手の震えも止まっていたのに緊張がぶり返してしまったようだ。


「ルル様。素数を数えると落ち着きますよ」

「素数って何ですか?」

「…」

『うっちーの注目選手は誰うお?』

『よくぞ聞いてくれました!それはもちろん、私の友達でもあるルル・クロネペア!ルルちゃーん!クロネちゃーん!いえーい!』

『うっちー!解説なんだから選手は平等に扱えうおーー!』


 ルル様のポンコツ発言に絶句していると、うっちーがこちらに向かって手を振ってきたので私達も手を振る。


 すると客席からまたしてもざわめきが。


「あれが第三王女のルルフレール様か。初めて見たぜ」

「オッズ1万倍だろ?見た目も弱そうだな」

「だな。相方も杖持ってやがるぞ?もしかして魔法使いか?ダセえな」

「ルル王女ー!怪我だけはしないようになー!」

「あははは」


 何このアウェイ感。

 リリが笑っている周りの観客を殴り飛ばしているのが唯一の救いか。

…いや。うっちーも怒ってくれている。


『もー!なんだいこの空気はー?彼女たちはそこら辺の有象無象とは違う実力者なのにさー』

『ほとんどの観客が彼女たちの実力を知らないよううおね。予選が始まったら驚くこと間違いなしうお』

『ルルちゃーん!クロネちゃーん!頑張ってねー!君たちが勝ったら私のロト5大勝ち確定なんだからねー!』

『ちょ!アイドルが賭け事するとか何考えてるうおかーーー!!』


 魚ちゃんさんがうっちーの胸ぐらを掴んで暴れている。




 ちなみにロト5とは優勝を予想するものとは別で、本選に出場するペアを5組当てるという賭けだ。1000組中多くても40組しか本選には出場できないので、当たった時の賞金はかなり期待できる。更に私たち一万倍率ペアを入れれば一攫千金も夢じゃない。


 私はこの賭け方を知る前に投票が締め切られてしまったので賭けることはできなかったけど、賭けていたら絶対大金をせしめられた自信がある。


「あはは。うっちーさん自由ですね~」

「私たちに賭けてくれているみたいですから、負けられない理由が増えましたね」

「ですです」


 期待に応えないとね。

 あとうっちーの解説によると…あの嫌味ったらしい騎士のエウなんちゃらは人気上位でそこそこ倍率もいいらしい。外面だけいいタイプか。私の一番嫌いな人種だ。


 そのエウなんちゃらは敵意剥き出しでこっちを見ている。鬱陶しい。


『さぁ。では試合を始めてもらいましょうか!Eブロックのみんなー!準備はいいかなー!?それでは予選開始ーーーー!!』

「「「「うおおおおおお!!」」」」

「いきますよルル様。【結界支配領域】」

「召喚!コルナさん!コリナさん!」


 これがルル様のイメージチェンジ第一幕だ。


 ルル様が九尾のコルナさんとコリナさんを召喚。私は闘技場中にコルナさん達の足場となる四角い結界を立体的に配置。


 近くにいる参加者同士で戦いを始めようとしていた者たちは突然現れた九尾と四角いブロックに驚き動きを止める。


『なななんとーーー!!ルル選手が九尾を召喚んんん!?しかも二体同時召喚だ!』

『伝説の魔獣を二体も…』

「かかか!やっとわっちらの出番かえ?」

「準備は万端。乗って」

『おっとおお!そのまま九尾に騎乗したぞ!これは強力だあああ!』

「存分に暴れてください」

「承知した」


 度肝を抜かれて呆けていた近くの参加者たちをまずは一蹴。そのまま次々と他の参加者を薙ぎ払い、時には私の魔法で蹴散らしていく。


『なんと九尾がクロネ選手の結界を利用して立体的に飛び回っているぞおおお!これでは誰も容易に手が出せない!完全に二人の独壇場と化してしまっているーー!!』

『結界を足場として利用するなんて考えたこともないうお。魔法使いの発想はとんでもないうお』


 面白いように参加者が減っていく。そんな中であのエウなんちゃらが逃げまどっているのを発見した。


「コリナさん。あの人間の髪を燃やしてください」

「…まじ?」

「マジです」

「わかった。【狐火】」

「は?ぎゃあああああ!!私の髪がああああ!!!!」


 しっかりセットしていたであろう髪にコリナさんの火魔法が炸裂する。コリナさんの狐火は対象を燃やし尽くすまで消えない特殊な火だ。つまり禿げ上がるまで決してその火は消えない…ざまああああああああああ!!


「あっちは楽しそうなことをしておるぞ?ルル」

「うわぁ…クロさんとっても悪い顔してます…」


 エウなんちゃらは必死に地面に転がって火を消そうとしているが無駄だ。そのことを理解したのか今度は私たちに向かって懇願し始めた。


「やめろ!やめてくれ!頼む!!」

「は?ルル様に言ったことを私は許さない。【ウインドカッター】」

「あああああ!!」

『なななんとーーー!?クロネ選手、エウリアッハ選手の髪を燃やすだけでは飽き足らず今度は風の魔法で甲冑を!その中の下着もバラバラにしてしまったぞおおお!お〇んちんが丸見えだあああああ!!』

『うっちいいいいいい!!??アイドルがお〇んちんとか言っちゃダメうおおおおおおおおお!!!!』


 丁寧に服だけを切り裂いてみた。性格悪いイケメンは社会的に死ね。


 …ん?よく見たらコイツ…


「ちっさ(ボソ)」

「ぐはぁ…」

『あまりにも無情!一体どれだけエウリアッハ選手のことが嫌いなのか!?白目をむいて完全にノックダウーン!そして試合も決着!圧勝圧巻!ルル&クロネペアの勝ち上がりでーす!』 

『Sランククラスの魔獣を二体同時召喚。そして結界による機動力の上昇。最後のはちょっとやりすぎうおが…ともかく強かったうおね』

『今大会最速の決着でした!そしてありがとうルルちゃんクロネちゃん!大金ゲットだぜーー!今夜一緒に飲みに行こーね♡』

『そーゆーやり取りは後でやれうお…ともかくお疲れ様うお。この後はいったん休憩を挟んでからFブロックの予選再開うお』


 コリナさんから飛び降りてルル様のもとに向かう。

 ルル様も引き攣った表情で降りてきた。ん?


「わっちらは帰るぞ。次はもっと白熱した戦いを期待しておる」

「じゃ」

「ありがとうございました。二日後もよろしくお願いします」


 コルナさんとコリナさんが帰っていく。

 その間ルル様はずっと下を向いたままだ。よく見ると少し顔が赤い。


「どうしたんですか?ルル様。勝ちましたよ」

「ど、どうしたもこうしたもないですよ!何やっちゃってるんですかぁ!あ、あんな事までして」

「あんな事ってなんですか?」

「そ、それはエウリアッハさんのお、おち…」

「おち?」

「おちん…うわーーん!クロさんのばかーーー!!」


 ルル様が走って闘技場を離れて行ってしまう。コケないといいけど…


 少し息を整えてからリリたちのいる観客席に戻るとルル様もいた。けど私を見るなりプイっと顔を逸らされたのでまだ根に持っているのだろう。リリがそれを見て首を傾げている。


「どしたの?お姉ちゃん」

「な、なんでもないです」

「そう?それよりもスカッとしたわ!見なさい観客全員の驚いた顔!気分がいいわ!」

「やっと正当な評価が今後なされるかと思うと拙も嬉しいですぞ」

「今夜は美味しいもの食べましょ!」

「うっちーが奢ってくれるみたいだよ」

「あら。なら高い店行きましょ!高い店!」

「漠然としてるなぁ」


 ともかく夕食まで残りの試合のチェックをしないとね。




 午後の予選は知っている参加者は出なかったので穏やかに見ることが出来た。

 その日はA~Jブロックまでを消化したので明日がK~Tブロックとなる。それから2日後にいよいよ本選だ。


 試合が終わり観客が帰っていく。


「私たちも帰りましょうか」

「そうね」

「あ!みんなー!待ってー!」


 観客席を離れようとするとうっちーと魚ちゃんさんが走ってこちらに向かってくる。

 それから予告通り夕食を奢ってくれるとのことなので6人で歩いていく。


「いやー。お疲れ様!みんななら勝ち上がるって信じてたよ!」

「今日は実力通りに強者が勝ち上がった印象うおね」

「うっちーはどれくらい儲けたんですか?」

「お?それ聞いちゃう~?ルルちゃん達の倍率がすんごかったからね!億万長者ですよ億万長者~」

「どのペアを選んだのかしら?」

「ルル&クロネペア、リリ&トトペア、ギギ&エリンペア、ネネ&ルーペア、後は竜騎士ペアだね~」

「ふ~ん。私たちを入れていることは評価してあげる!」


 結構堅実だ。私もロト5をやるなら同じような賭け方になるだろう。竜騎士ペアが新くんに変わるくらいかな。


「どうしてお父さ…王様を入れなかったんですか?」

「そりゃ王様を入れちゃうと一気に安くなっちゃうからだよ」

「予選突破は確実らしいですからね」


 王様は最後のブロック…Tブロックだ。うっちーによると対抗馬はいなさそうなので予選通過は確実とのこと。それは全員共通の認識らしいので王様をロト5に組み込むと当たった時の桁が一つ減るようだ。


「竜騎士ペアも強いのですか?」

「飛び抜けた実力ってわけじゃないけど、ルール上強いよね」

「飛んでいるから場外負けが減るうお」

「あーなるほど」


 上空のアドバンテージは強い。

 他にもうっちーや魚ちゃんさんがチェックしておくべき選手を教えてくれる。


 彼女たちは強者を探して大陸中を渡り歩いているだけあって各選手の情報に精通していた。必殺技から弱点、苦手な食べ物までなんでもござれだ。


 リリオススメの高級料理店に入っても話は尽きることなく…魚ちゃんさんの補足もあってずっと聞いていられる。そうして一頻り話した後に本選の話題に切り替わった。


「まぁやっぱり王様が飛び抜けて強いよね~」

「そうなんですか。どう強いのですか?やっぱりこの国の王だけあってパワータイプ?」

「あれ?クロネちゃん王様知らないの?」

「はい」

「そっかそっかぁ。ここで話してもいいんだけど…明日の予選で直接見たほうがいいんじゃないかなぁ」

「そううおね。特にクロネさんにここで話しても食事を楽しめなくなると思ううおし…」

「「「「「あ~」」」」」


 全員が納得の表情で私のことを見る。え?どゆこと?



やりすぎたかも…

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