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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
最強はだれだ!?王位決定戦!
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ポンコツ姉妹の両極端オッズ

「号外号外~!王位決定戦のオッズが出たよー!」

「オッズ?」


 街を歩いていると新聞を配っている人の周りが賑わっていた。

 私も一部受け取ると、記事には王位決定戦の参加者のリスト。そしてそのリストの横には何やら数字が書かれていた。ちなみにリリ&トトペアの数字は2。ルル様と私の数字は1万だった。


 よくわからないので、隣にいた新聞と睨めっこしている筋肉だるまに聞いてみる。


「この参加者の横に書かれている数字は何ですか?」

「ん?倍率の仕組みがわかってないのか?」

「はい」

「例えば、リリ様の倍率は2倍だろ?もし銅貨1枚賭けて、リリ様が優勝したら銅貨2枚になって返ってくるってことよ」

「ああ」


 賭け事か。誰か優勝するか当てるってやつね。

 …つまり私たちに例えば金貨1枚賭けて優勝したら…金貨1万枚!?


「これって自分自身にもベット出来るんですか?」

「あんたも参加者か!もちろん出来るぜ。当たった奴はこの30年誰一人いないけどな。はっはっは」

「…ああ。王様が30年間勝ち続けてるんでしたっけ」

「そうだな。今年こそは無理だのなんだの言われてるが…それは毎回言われてるからなぁ」

「結局今年も王様の勝ちさ」

「だろうなぁ」


 王様の倍率は1,1倍だ。勝っても旨味が少ない。ルル様の父親はやっぱり強いのか。

 さっき新聞を配っていた人物が賭けの元締めとのことだったので、自分たちに賭けるために声をかける。


「賭けたいんですけど」

「いいぞ。誰にだい?」

「このペアとこのペアに金貨10枚ずつ」

「はあ!?王様以外に金貨10枚!?」


 私がリリ&トトペアとルル&クロネペアを指さすと大げさに驚かれる。まぁ当然か。リリはともかく、ルル様に賭ける酔狂な人物はいないのだろう。


「ほ、本当にいいのか?」

「いいのですが、もし優勝した場合、きちんと払っていただけるのでしょうね?金貨10万枚」


 金貨10万枚はわかりやすく日本円に換算すると10億だ。かなりの大金である。

 相手は少し考えた後にやりと笑う。


「そりゃもちろん。あんたが当たるってことは他の全員が外れるってことだ。払えるだけの金額は儲けられるだろう」

「…なるほど」

「これが引換券だ。もし当たることがあったら私のところにそれを持って来てくれ」

「わかりました」


 最近は王様の一人勝ちで大金を賭ける人が減ってきていたらしい。私のことは大層おいしそうなカモに見えたことだろう。でも今年はリリがいる。リリは倍率2倍だから、もし私たちが優勝できなくても元は取れる。


 さて。帰ってルル様と一緒に参加者リストを確認するとしようか。




「ただいま戻りました」

「お帰りなさいクロさん。頼んだお菓子はありましたか?」

「はい。リリとトトちゃんも来てたんだ」

「お邪魔しますぞ」

「やっほー。あたしたちのお菓子もあるのかしら?」

「今用意するから待ってて」


 4人分のお茶とお菓子を用意してテーブルに置く。


 リリ達は人付き合いが面倒な時にルル様の部屋に遊びに来る。

 ルル様の部屋は誰も訪ねてこないからだ。リリ曰く、この部屋だけ時間が止まっているらしい。言い得て妙だ。


 リリがお菓子をパクパク口に入れながら、目敏く私の持っている新聞に気付く。


「クロネ?その記事には何が書いているのかしら?」

「これは王位決定戦のオッズが書かれている記事だよ」

「あら!もう出来たのね!見せて!」

「はい」

「どれどれ…?あたしよりお父様の評価が高いのは納得いかないけど。悪くないわね」


 リリは現状二番人気だ。初参加、最年少にも関わらず評価が高い。

 しかし最近まで家出していたリリがどうしてこんなに人気があるのだろうか?


「どうしてリリはこんなに評価高いの?」

「きっとあれね!あたしのカリスマ?」

「違いますぞ。試練の逆さ塔の伝説のおかげですな」

「試練の逆さ塔?」

「クロさん知らないんですか?」

「え…?ルル様すら知っていることを私が知らない…?」

「どーゆーことですかーー!!」


 どうやら私だけ知らないようなので3人からレクチャーを受ける。


 試練の逆さ塔とはダンジョンのようなもので、地下に伸び続ける塔のことらしい。

 階層を進むごとに敵が強くなっていき、100階に到達したものは周りから一目置かれるようだ。

 ノウキングダムの住民が強いのはこの塔があるおかげらしい。その塔でリリは有名人のようだ。


「リリ殿は最速、最年少で100階に到達。そのまま父君の記録すら超えてトップに君臨しているのですぞ」

「凄いね。リリの強さにも納得だ」

「てゆーか!あんた1年この国で過ごしてたんでしょ?どうして逆さ塔のこと知らないのよ!」

「私は魔法とルル様以外興味はない!」

「クロネもこれを機に逆さ塔に挑戦しなさいよ。きっといいところまで行けるわ!」

「だってそれ一人用なんでしょ?」

「そうよ」

「じゃあヤダ」

「ヤダってあんたね~」


 ルル様と一緒にいけるなら話は別だけど。一人でそんな命かけてやる意味を私は見出せない。


「そんなだからあんたたちはこんな評価なのよ!見なさい!参加者が1000組もいるのにビリよビリ!最下位!」

「探しやすくていいでしょ」

「リリちゃんが1位ならサンドイッチでしたね~」

「少しは恥ずかしがりなさいよね!」


 まず1000組も出場者がいることに驚きだが、1000組中1000位の私たちって凄くない?最下位って取ろうと思っても中々取れないものだよ。

 しかしリリはこの評価に不服のようだ。頬を膨らませて憤慨している。


「何か言いたいことはないわけ?あたしが抗議してきましょうか?」

「やめて~!!」

「そうだよリリ。せっかく儲けるチャンスなんだから」

「「「儲けるチャンス?」」」

「私たちの倍率見てごらんよ」

「…1万倍ね。こんな倍率初めて見たわ」

「それで私が買った引換券がこれ」

「「「金貨10枚!?」」」


 先程買った券を3人に見せる。

 まさかもう買っているとは思っていなかったのだろう。全員手に取って驚いている。


「金貨10枚の1万倍って…100、1000…10万枚!?」

「大富豪さんですね~」

「夢があるでしょ?それに最下位が優勝するのって燃えない?」

「アツいわね!そういうの好きよ」

「楽しみになってきましたな」

「トト!私たちの分も買ってきなさい!全財産ぶち込むわよ!」

「わかりましたぞ!!」


 お金の管理は私がしているので、リリとトトちゃんにお金を渡す。本当はリリの魔物討伐の稼ぎでかなりの金額があるのだが…全財産は渡せない。

 金貨100枚だけ渡すと、トトちゃんが部屋を出ていく。


「金貨100枚だけ?もっとあるでしょ?」

「あるけど、賭け事に全財産使うよりももっといい使い方があるでしょ」

「ふーん。まぁいいわ」

「ところでリリはいつまでいるのかな?」

「今日は眠たくなるまでいるわ!喜びなさい!」

「ええ…」

「ええって何よ!?」


 まぁリリがいると部屋が明るくなるからたまにはいいか。いつもだと疲れるけど。

 リリとルル様が疲れて眠ってしまうまでその日は4人で遊んで過ごした。





 ~そして数日後~


 王位決定戦の予選トーナメントの日がやってきた。


「予選なんてあるのですね」

「参加者が多いからね!50組ごとのバトルロワイヤルよ!あたしはAブロックだから一番最初!」

「私たちは…Eブロックです!」

「お互い頑張りましょうぞ!」


 予選は1000組の出場者が50組ずつに分かれて戦うらしく、本戦に出場できるのはバトルロワイヤルで生き残った2組ずつだけ。つまり本選に進むことが出来るのはわずか40組となる。


 またこの決定戦の特徴としてシードはない。例え王様であっても予選に参加するみたいだ。

 ちなみに私の知り合いは同じブロックにはいない。いきなりリリと戦うことにならなくてよかった。


 リリ達はAブロック、私たちはEブロック。

 戦う場所は地球にあるコロッセオのようなところだ。闘技場があって、その周りに観客席がある。


 私たち参加者は離れたテントで待機中。呼ばれたら闘技場に移動して戦うことになる。


 テントの中では筋肉自慢がたくさんいてお互いの筋肉を見せ合っている。理解不能だ。


 ルル様がガチガチに緊張しているので私たちは隅っこでひっそりしている。


「緊張してきました…!」

「私たちはまだまだ先ですから、今から緊張していたら持ちませんよ」

「そうよ!それよりあたしたちの応援してよね!お姉ちゃん」

「もちろん!見に行くね!」


 緊張感ゼロのリリがいるおかげで徐々にルル様がリラックスしていくのがわかる。

 ほっとしていると、こちらに向かって歩いてくる見知った顔が。


「まさか君も参加しているとはね。黒音。思ったより早くリベンジできそうで嬉しいよ」

「この国に戻ってきてよかったのか?クロネよ」

「新くん。それにおじいちゃんも」


 やってきたのは同じ異世界出身の新くんとおじいちゃんだった。まさかこの国にいるとは。

 新君は体中に傷跡が見られる。私たちと別れてから何をしていたのだろう?


「この前のボクだと思うなよ。今回は僕が勝つ」

「ああ。うん」

「それにしても…ギギ王子から最強を決めるための戦いだと聞いていたが、どうやら本当のことだったようだね。ボクは君に勝って最強になる。覚えておけよ」

「うん」

「じゃあね!予選で負けたら承知しないよ!」

「無理はしないようにな」

「ありがとう。おじいちゃん」

「うむ。ではの」


 おじいちゃんが離れていくが…魔法使いの格好をしているせいで行く先々で絡まれている。かわいそう…


 でもまさか新くん達がいるとは思わなかった。参加者が多いから自分たち以外に誰が出ているかチェックしてなかったけど、他にも知っている人がいるかもしれない。



 そして次は金髪長身のイケメンがこちらに向かってきた。今度は知らない人だ。その人はリリに注意を向けている。ルル様を確認するとルル様は怯えている様子だ。


 リリも気づいたようで笑顔を向けている。


「あら。兄様。どうかしたの?」

「久しぶりだなリリ。いやなに。宣戦布告をな」

「ふ~ん」


 ルル様とリリの兄か。あんまり似てないな。

 どうやらお兄さんはリリをライバルだと認識しているようだ。


「先日、逆さ塔のお前の記録を抜いたよ」

「あら。おめでとう。でもあたしもあれから強くなったわよ?」

「そのようだな…私はCブロックだ。本選でお前に勝つ。…ではな」


 お兄さんがそれだけ言って戻っていく。ルル様にも挨拶くらいしていけ。


「あれが2人のお兄さん?」

「そうよ。ギギ兄様。あたし程じゃないけど強いし人気もあるわ!」

「まぁ人気はありそうだよね」


 高身長でイケメンで喧嘩も強い。日本なら大人気だろう。

 まぁ私は興味ないけど。ルル様を無視する時点で第一印象最悪だ。


『ピンポンパンポーン。只今よりAブロックの予選を開始いたしまーす!参加者は急ぎ闘技場までお越しくださーい!ピンポンパンポーン』


 どこかで聞いたことがあるような声のナレーションが聞こえてくる。

 その音声を聞いてリリが両手を叩いて勢いよく立ち上がり、トトちゃんは音も無くリリの後ろに付き従う。


「呼ばれたわね。トト!出陣よ!」

「リリ殿の新しい伝説。一番近くで見届けさせてもらいますぞ」


 ついに始まった王位決定戦予選。まずはリリとトトちゃんからだ。お手並み拝見しよう。


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