表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
最強はだれだ!?王位決定戦!
56/88

前哨戦!? VSリリ&トトちゃん

 ノウキングダムにあと数日で到着するところまで戻ってきた。


 そして私たちはこの帰り道の期間中コンビでの訓練を行い、それぞれが満足いく形まで成長することが出来たようで、その最終調整にリリが2対2で戦ってみようと提案してきた。


「本気で戦うわけじゃないの。あくまでも模擬戦よ。だからいいでしょ?」

「拙はいいですぞ」

「ルル様は?」

「私は…リリちゃんとは戦いたくないですけど」

「どうして?」

「だって姉妹だから傷つけたくないです」

「はぁ?あのね~!」


 立ち上がっていたリリがルル様の前に移動して、おでこをつんつんしながら怒り出す。


「姉妹だから戦いたくないって…舐めてるの?王位決定戦にはあたし以外にも兄様や姉様も出るのよ!?」

「あうあう」

「その度に兄弟姉妹だからって躊躇してたらお笑い草よ!そんなこと言ってるようじゃ、お姉ちゃんの評判は一生変わらない!…決めたわ!明日はお姉ちゃんと戦う。これは決定事項よ!」

「あうあう。わかったからツンツンしないで~!!」

「ふんだ!行くわよトト!」

「どこへですか?」

「お風呂!一緒に入りなさい!」

「まだ食事が済んでませんぞ」


 リリがプンスカしながら寝間着を取りにテントの中に入っていく。

 どうやら明日は模擬戦をすることで決定らしい。まったくリリはいつも強引だな。


 もういっそ明日リリを徹底的に負かして、このパーティーで誰が一番偉いのか身体に刻み込んでやってもいいかもしれない。そう考えると…明日の模擬戦は楽しみだ…ふふふ。


「わ、私何か変なこと言いましたか!?」

「言ってないですが…リリの言いたいこともわかります。決定戦で身内と戦うことになる前に慣らしておいたほうがいいかもしれませんね」

「そう…ですね」

「そこまで深刻に考えなくていいですよ。命の取り合いをするわけでもないですし…今のルル様を見てもらって、認めてもらうために戦うんです。頑張りましょう」

「…わかりました!私、頑張ります!」


 リリを怒らせたことでおろおろしているルル様をフォローしてから明日に備えてお腹いっぱい食べる。





 そして翌日。


 周りに何もない草原で私たちは向かい合う。

 ここ一帯の魔物はノウキングダムに近いので弱い魔物しかいない。だから邪魔が入ることもないだろう。


 リリが腕を組み、仁王立ちしながら不敵な笑みを浮かべている。


「よく逃げずに来たわね!褒めてあげるわ!」

「いやいや。リリが全員を無理矢理起こして連れ出したんだから逃げるも何もないでしょ」


 日が昇り始めてすぐにリリに寝袋から引っ張り出されたのだ。おかげで眠い…ふわぁ…


「ちょっと!あくびしてんじゃないわよ!」

「逆にリリがどうしてそんなに元気なのかわかんない…」

「あたしのコンディションは過去最強よ!」

「リリ殿はお風呂に入ってすぐ寝ましたからなぁ。…見張りもせずに」

「う…それはごめ…って今はそんな話じゃないのよ!早く戦うわよ!」


 まぁリリが見張りをしないで寝ちゃうのはいくら注意しても直らないから今更だけどね。


 少し会話したことで眠気も収まったので、立ったまま寝ているルル様の手首を掴んで背中を伸ばす運動をしてあげる。善意で。


「わきゃあああああ!?浮いてます!?私なぜか地に足ついてません!?」

「急に運動すると身体に悪いですからね。準備運動は大事ですよ。ルル様」

「今まさに急な運動が実施されているんですけど!?!?」


 寝起きでパニックになるルル様かわいい…


 そしてその後事件が起きた。

 交代でルル様が私を浮かそうとしたときに持ち上がらなかったのだ。


「………」

「ちち、違うんです!クロさんは重くないんです!私が非力なだけなんです」

「…はぁ」

「ちょ!?落ち込まないでクロさん!!」


 そうかもしれないけど傷つく。明日から食事制限しよ…

 少しでも痩せるために念入りに準備運動しているとリリに急かされたので早速始める。


「勝負形式は?」

「満足するまで戦いましょ?」

「…リリ次第ってわけね」


 リリが戦いで満足することあるのかな?


「じゃあいくわよ~。よーいドン!」


 リリが号令とともに私に向かって走ってくる。てっきりルル様を先に攻撃すると思っていただけに面食らうけど急いで結界を展開する。


「リリは私が押さえます!ルル様は召喚を!」

「わかりました!…きゃ!」

「させませんぞ。土遁の術!」


 いつの間にかルル様の後ろに回り込んでいたトトちゃんが、ルル様の右腕を土で固める。

 ルル様にも結界を張っていたのに…トトちゃんはルル様の足と足の間の土を使ってルル様の腕を封じたのだ。結界の内側で起こったことなので対処できなかった。


「ふっふ~ん。本当ならこのままトトに命じてお姉ちゃんを倒すことも簡単だけど…それじゃあ面白くないわ!クロネ!私と一騎打ちよ!」

「ええ…」

「拒否権はないわ!いくわよ!」


 くっ…リリが再度向かってくる。正直二人を舐めてた。召喚さえさせてもらえないなんて思ってなかった。


 もしこれが本番なら何もできずに負けだ。この反省は後でするとして…リリに一泡吹かせてやる!


 とはいうもののリリは強い。まず普通の魔法は速すぎて絶対に当たらない。しかも…


「【大津波ビッグウェーブ】」

「無駄無駄!!」


 点ではなく面攻撃を選択したとしても、点での攻撃より威力が落ちてしまうためリリは容易に突破してくる。


「【五重結界】」

「リリパンチ!」

「チッ」


 結界に閉じ込めようとしても理不尽な攻撃力の前に結界が砕け散ってしまう。


 リリはただでさえ強かったのに、竜人のコロさんを倒してからはより強くなったように感じる。その強さはもはやSランクの魔物とも対等に渡り合えるのでは?と思わせるほどだ。


「いつにも増して滅茶苦茶な…」

「ふふ~ん♪まだまだこれからよ」


 蔦で縛っても当然のように弾き飛ばしてくるし、水弾や火弾も鼻歌交じりに全弾撃ち落される。

 何を試してもリリはそれを突破してくるし、仕舞には他にはないのかと催促してくる始末だ。


 …あー。なんか腹立ってきた。


「死ぬって思ったらすぐに負けを宣言してね。助けてあげるから」

「あら?まだ何かあるの?楽しみね!」


 その余裕の顔も今のうちだ。

 発動するは土魔法。リリが立っている地面を隆起させる。()()()()()()


「パラシュートなしのスカイダイビングしてこい!」

「あっは!」


 リリを結界で数秒足止めしつつ天高く地面をせりあげる。

 そして雲を突き抜けるほど空高く舞い上がった土を崩壊させる。当然上にいるリリは落下していることだろう。


「えええ!?リリちゃんが死んじゃいますよ!」

「これは命の危険がありますぞ」

「大丈夫。謝ったら直前に風魔法で助けるから」


 いかに体力お化けのリリもこれには何もできないだろう。小さな黒い点が落下してくる。

 そして徐々に姿が大きくなっていくと…両手を広げて笑っているリリの姿が確認できる。


「あはははははは!!」

「…笑っていますな。たぶん」

「しかも…リリちゃん。こっちに向かってない?」

「…そうですね」


 リリは超高速で地面に落ちつつ、()()()()()位置を調整していた。

 リリと目が合う。その瞬間全身に鳥肌が立つ。


「私を攻撃する気?やっぱリリは頭おかしい」


 常人なら失神するだろう。意識があったとしたら泣いて助けてと懇願するだろう。


 だけどリリはこの期に及んで諦めている様子が微塵もない。


「このままじゃクロさんもリリちゃんも死んでしまいます!!」

「…クロネ殿!」

「わかってる!」


 リリの笑い声がはっきり聞こえるようになるほど近づいてくる。

 そしてリリが空中でくるりと回る。あれはリリお得意の踵落としをするモーションだ。

 …本当に洒落にならない。リリを止めないと絶対私死ぬ。


「あっははは!」

「【エアブラスト】!!」

「うわっぷ!!」


 特大の風圧を上に向けて放つと、突風に煽られたリリが速度を落としながら地面に落下する。

 リリが地面をコロコロと転がって立ち上がる。ダメージはなさそう。


「はぁ~。いい体験ができたわ。空を飛ぶって気持ちいいのね」

「そんな感想が出てくることに引くわ」

「楽しかったし、これくらいにしておきましょうか。続きは王位決定戦で決着付けましょ」

「それまでにリリが負けてることを祈るよ」


 握手しながら思う。もうリリとは戦いたくない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ