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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
ポンコツ姉妹と異世界旅!
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服を買いに行くための服が無い!(ガチ)

 私たちはとある村の近くの木陰で作戦会議を開いていた。全裸で。

 全裸の理由はエルフの里長とトランプのブラックジャックで勝負し負けたからだ。

 

 文字通り身ぐるみを剥がされた私たちは泣く泣く近くに会った村で服を調達することに。


「さて。ここまではコルナさんとコリナさんのおかげで誰にも見られることなく到達できたけど。ここからどうやって服を買いに行こうか」

「スニーキングミッションですね!」

「見つからずに服屋まで到達できますかな?」

「4人での移動は難しそうだね。誰か一人が代表していく?」


 一番スニーキングが得意なのは当然忍者のトトちゃんなのだが。生粋の方向音痴であるトトちゃんを一人で村に向かわせるのは危険すぎる。二度と帰ってこなさそう。


 ルル様は絶対へまして見つかるだろうし、リリはこそこそなんて絶対にできない。つまり消去法で私しかいないのだけど…3人だけを村の外に置いていくのは不安すぎる!


「いったいどうすれば…」

「コルナさんとコリナさんに強引に残ってもらえばよかったですね」

「どこかで見てるって言っていたわね」


 コルナさんとコリナさんはこの全裸問題を楽しんでいる様子で、遠くからどうやって解決するのか楽しみに見ていると言い残してさっさといなくなってしまった。きっと今頃お酒片手に私たちを笑いながら見ているのだろう。


「もう堂々と行きましょうよ。考えても仕方ないんだから」

「いやリリは自分大好きっ子だからいいかもしれないけど。私たちには羞恥心があるんだよ」

「あたしにだってあるわよ!」

「透明人間になれればこんな苦労はしないのに~!」

「ですなぁ」


 ルル様の言う通り透明になることができれば大体の問題は解決するのだが、そううまい話はない…


 …いや?もしかしたら?


「ルル様」

「なんですか?」

「迷いの森でテイムした透明カメレオンは私たちを透明にできないですかね?」

「「「!!」」」

「お姉ちゃん!召喚してみてよ!」

「わかりました!」


 ルル様が透明カメレオンを召喚する。

 召喚したカメレオンは猫くらいの大きさでチロチロと舌を出している。


「捕まえた時より小さくなってない?それにちょっと愛嬌があるわね」

「ルル様の性格に感化されているのでしょうか?」


 ルル様がテイムしているおかげで敵意はなく、むしろ私たちの周りをうろちょろしてかまってほしい様子だ。かわいくはないけど。


「意思疎通はできるのですかな?」

「カメレオンさん?私の話を聞けますか?」

「チロチロ」

「カメレオンさんの透明化の能力で、私たちを透明にすることはできますか?…ふんふん…なるほど………」


 ルル様がしゃがみ込みカメレオンと対話している。全裸で。

 ああ!カメレオン視点でルル様を見たい…!あのローアングル絶景でしょ…


「…あんたカメレオンの横で何やってるのよ?変態なの?」

「カメレオンの気持ちになってるから邪魔しないで」

「よく全裸で寝っ転がれるわね…痛くないの?」

「はぁ~~~いいわ~~~」

「クロネがキモイんだけど!!」

「わかりました!」


 透明カメレオンとの対話が終わったのか嬉しそうに立ち上がるルル様。ああ!!もうちょっと見たかったのに!


「はぁ。…それでどうでした?」

「何食わぬ顔で立ってるけどあんた頭おかしいわね」

「カメレオンさんに触れていれば私たちも透明になれるそうです!」

「「「おお!」」」


 カメレオンの能力凄い。自分以外も透明になれるとか…チートじゃん。透明になれればあんなことやこんなこともやりたい放題だけど…カメレオンをテイムしているルル様を説得しないと使えないのが難点だ。


 ともあれ服を買う目途がついたので、追加でルル様に計4匹の透明カメレオンを召喚してもらいそれぞれを抱き抱える。


 カメレオンを掴むことにだいぶ抵抗があったけど、触ってみるとひんやりしていて意外に触り心地がいい。しいて言えば全裸なので若干ざらざらが気になるけど。

 ほかの3人は特に抵抗がなかったようで何でもないように掴んで持ち上げている。


 するとルル様が徐々に透明になっていき、全く見えなくなってしまった。リリとトトちゃんも見えなくなる。


「へぇ。本当に透明になれるのね」

「隠密の術がこんなところで完成するとは…」

「早速向かいましょう!」


 全員が透明になることに成功したので小さな村に突入。




「(大きな村ですね)」

「(そうですね)」


 村の中は結構充実していて、武器屋や防具屋、食事処や薬屋もある。


 まぁそれはいいのだが…外を全裸で歩いた経験が無いのでどうしても人の目が気になってしまう。

 透明になっているから誰も気づいてはいないけど…


 少しでも胸に抱いているカメレオンを離したら自分の裸が衆目に晒されると思うと緊張する。が、同時にカメレオンをぶん投げるとどうなってしまうのか…という若干の興奮感。


 いや…私は堅実な女だからそんなことはしないけどね?リリとかがやりそうで怖い。




 それから時折お互いを確認するために小声で会話しつつ進むと目的のお店を発見した。


「(ありましたね。お洋服屋さん)」

「(とりあえず入りましょうか)」

「(そうね)」


 服屋を見つけたので早速入る。

 扉が閉まっているので開けなければいけない。ゆっくり開ける。


「「「!!」」」

「いらっしゃいませ…あれ?誰もいない…?」


 扉を開けると運が悪いことにお店の人が入り口を把握できるような作りになっていた。つまり、正面にカウンターがあって誰が入ってきたかわかるようになっているのだ。


 私の洋服店のイメージはお店に入るとまず服が置いてあって、レジは奥にある…と勝手に想像していたので面食らって一度外に出てしまった。


 どうやら見えないが他のみんなも外に出たようだ。


「(ちょっと!あれじゃ入ったとしても怪しまれるわよ!)」

「(そうだね…誰も入ってないのに急に店内に客が現れたらおかしいよね)」

「今声がしたような…冷やかし?」

「「「!!!」」」


 さっき入り口を見ていた店員が扉を開けて外に出てきた。どうやらひとりでに開いた扉を不審がっている様子で、店の前を確認している。扉の前で話し合っていたので危なくぶつかるところだった。


「おっかしいな…風で空いたのかな?」

「てい」

「ぐはっ…」

「(ちょ!?なにしてくれてんの!?)」


 困惑している店員の後ろでカメレオンを離したリリがチョップを放ち、店員が気絶した。

 そして素早く脇を掴んで店の中へと引きずり込むリリ。


 突然の強行に驚いたが私もお店の中に入り、誰もいないことを確認してから透明化を解除する。


「リリ。むやみに危害を加えちゃダメでしょ」

「だって…どうしようもないと思ったのだもの…」

「完全にやっていることは犯罪者ですが…お金を払えば大丈夫ですよね?」

「とにかく服を選んで着ましょう。それから店員さんを起こして、気に入ったから着て帰りますみたいな流れで」

「わかったわ」


 過ぎてしまった事はしょうがないのでさっさと服を選ぶ。

 下着から洋服まで揃っているお店だったのでありがたく着る。


 裸の過ごしやすさを体感していたので身体が締め付けられる服に違和感を覚えるが、変な汗をかくよりはマシか。


 ルル様とリリも気に入ったものがあったのか嬉しそうに物色している。…ん?トトちゃんがいない。


「トトちゃんは?まだ透明のまま?」

「そういえばお店に入ってから見てないわね。トト!いるならカメレオンを放しなさい」

「………」

「いないみたいですね…」

「ええ!?どうしましょう!?迷子さんですか!?」

「とりあえず服を買ってからトトちゃんを探しましょう」

「そうね」


 トトちゃんの迷子癖が発動してしまったか。

 これさえなければいい子なんだけど。




 服を着て、ついでに何着か予備を見繕ってから倒れている店員さんを起こす。

 肩を揺するとゆっくりと目を覚ましてくれた。よかった…リリの怪力で死んでなくて。


「…ん…あれ?私は…」

「店員さん。お店の前で急に倒れたんですよ。大丈夫ですか?」

「そうだったのですか?すみません。どうやら助けていただいたみたいで」

「いえ。お気になさらないでください」


 むしろ加害者なんです。


「それでですね。お店の中に運ばせてもらったのですが、店員さんが起きるまでに試着していたらこのお店の服が気に入ってしまいまして。このまま着て帰ってもいいですか?」

「あ。それは嬉しいです。ありがとうございます。それではレジに行きましょう」


 笑顔でレジに向かう店員さん。

 私は何もしてないのになんだろう…罪悪感が半端ない。


「それではお会計しますね。タグを見せてもらってもいいですか?」

「はい」

「え?下着も…ですか…??」

「はい!気に入ったので!」

「最高のお店ですねここは!あははは」

「こんなにいい下着を仕入れているお店は中々ないわね!」

「…ありがとうございます?」


 下着までお店のものを着ていたことは予想外だったのだろう。店員さんが驚いていたが強引に褒めて有耶無耶にしようとする私たち。


 考えてみればブラは試着したことあるけどパンツは試着したことない。

 買わないかもしれないのにパンツ試着するのはもしかしてNGなんじゃ…?


 でも褒められた店員さんは特に言及することなく会計をしてくれた。セーフ…


 3人分の全身コーディネートだったのでいい値段になってしまったが、多めに払ってお釣りは貰わなかった。


「いいんですか?」

「はい」

「助けてもらってチップまで…ありがとうございます!あ、元から来ていた服はどうされましたか?もしよろしければ袋をご用意しますが」

「大丈夫です。マジックバッグなのでこの中に全て入っているので」

「珍しいものをお持ちなのですね!」


 店員さんは感心した様子だ。よもや全裸で来店したなんて想像もつかないだろう。

 それからトトちゃんの服も追加で買ってからお店を出る。


「凄く感謝されましたね!トトちゃんの服もかなり値引いてくれましたし」

「ラッキーだったわね!」

「ラッキーと言えるリリは凄いなぁ」

「そう?ふふ~ん♪」

「褒めてないわ」


 リリは罪悪感のかけらもない様子で照れている。どういう神経してるんだか。


「それで、トトはどうやって探すの?」

「透明のままなら厄介ですね」

「村の中にいるかな?」


 隠れる側から今度は見つける側か。

 すぐに見つかればいいけど…


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