ポンコツ姉妹のお笑い道!
2017年最後の投稿です。
見てくれている皆さんありがとうございます!
さらにブックマーク、評価してくれた方には本当に感謝です!モチベーション上がります。
それでは来年もよろしくお願いいたします。
エルフの里で起こっている深刻な問題…それは長寿が原因の生に対する飽きだった。
最近笑うことがない…そんなお笑いに飢えている彼らを私たち4人は笑わせることができるのだろうか?
「言っておくが、私たちをそう簡単に笑わせることができるとは思うな?」
「人間が考えつくようなネタは当の昔に我らがとっくに思いついているからな」
「人間が100人中100人笑うようなものを期待している」
偉そうだなコイツラ。
そんなどんどんハードルを上げてくるエルフたちの前に立ちはだかるリリ。その表情は自信に満ち溢れている。
「私が一番笑ったネタをここで披露するわ!」
「見せてみろッ…!人間の可能性をッ…!」
「布団が吹っ飛んだ!」
「「「「「………」」」」」
「トイレにいっといれ!」
「は?」
「え?」
「え?」
「「「「「………」」」」」
「ちょ…なによこの空気は!?めっちゃ面白いじゃない!」
「逆によくそのレベルのダジャレをここで披露できたね…」
「意味が分からないわ!」
どうやらリリは初めてあのしょうもないダジャレを聞いたときに笑い転げたらしく、誰でも笑うものだと思っていたようだ。素直なリリらしい。
ルル様以外の全員が真顔だったことにショックを受け崩れ落ちているリリの後ろからトトちゃんが前に出る。
「主の失態は部下が拭うもの。拙が大爆笑を巻き起こしましょうぞ」
「頑張ってトトちゃん!」
「では皆さん。拙の耳をよく見てくだされ」
「ほほう。その犬耳がどうなるというのだ?」
トトちゃんが忍者装束のフードを外し犬耳を出す。
全員がトトちゃんの犬耳に注目していると…
「(ピコピコピコ)」
「「「「「………」」」」」
「(ピコ、ピコ、ピコ)」
「「「「「………」」」」」
「(ピコピコ)…ど、どうでござるか?」
「あー。うん。かわいいね」
何が起きたのかというと、右耳と左耳が交互に立ったり垂れたりした。
恥じらっているトトちゃんの表情も相まってとてもかわいいけど、笑うというよりは微笑ましい。
エルフたちも何とも言えない表情をしている。
「これはこれでいいのだが…もう少しインパクトのあるものを期待している」
「むぅ…ダメでござるか」
「私は何も思いつきません…クロさん!もうクロさんだけが頼りです!」
「私ですか…」
私は人を笑わせたいと思ったことがない。でも私には秘策がある。
それは私にはこの異世界の住人が誰も知らない、日本の天才たちが考えに考え抜いた至極のネタの知識を持っているということだ。
この世界にはその人たちはいないから、丸パクリしても著作権とかは気にしなくていいし!
「では私とルル様のコンビ、リリのピンでネタをするので…打合せが終わるまでトトちゃんの癒しネタで場を繋いでください」
「クロさんとコンビですか!いいですね!」
「なになに?あたしもやることあるの?」
「エルフたちのことは任せてくださいですぞ」
「ではエルフの皆さん。少し打合せしてくるので少々お待ちください」
「数分でも数時間でも待ってやろう」
「今更時間を気にする奴なんてこの場にはいないからな!」
気前よく待ってくれるようなのでしっかりネタをポンコツ姉妹に覚えてもらう。
………
「…そう。リズムはこんな感じで動き方はこうです」
「こうですか?」
「そうです。それで、このタイミングでルル様の城での日常をリズムよく短くまとめてください。後は私が合わせるので」
「ふむふむ。わかりました!」
「あたしは?ねえあたしは?」
「リリは…掛け算できる?」
「馬鹿にしないでよね!」
「じゃあ…で…になって」
「え?それ面白いの?」
「面白さはリリの腕前にかかってるよ」
「そ、そう?わかったわ!全力でやってあげる!」
よし。大体こんなものかな。
待ってくれるとは言っているけどあまり待たせるのも悪いし、後は本番で調整しよう。
ルル様は何を言うのか考え中。リリは自信満々に堂々と歩いている。
そんな2人と広場に戻ると、トトちゃんは耳のピコピコをやめて中央でエルフたちの質問攻めを受けていた。
「ほう。君たちはあのノウキングダムの出身なのか」
「それにしては魔法使いもいるし、我々エルフを見てもあまり毛嫌いしていないように見えるがな」
「拙は魔法を使っているからといって嫌な気持ちにはなりませんし、リリ殿もルル殿もクロネ殿の凄い魔法を見ているので同様でしょう」
「確かに我らの結界を破るほどの魔法使いともなれば、ノウキンの奴らも認めざるを得ないだろうな」
「クロネという少女は人間国で魔法を学んだのだろう?頭の固い人間国にも強いやつがいるのだな」
「この前人間国で一番強いと言っていた男の娘をクロネ殿が下していたので一番強いですぞ」
「まぁ結界を破るような奴が何人もいては敵わんからな」
「お。来たみたいだな」
「待ってましたぞ!」
結構盛り上がっていたみたいで場は温まっている。これなら多少スベっても大丈夫…かな?
まずは私とルル様の2人でネタを披露する。
前に出るとエルフたち全員が当然だけど目を向けてくる。
それだけで緊張感が凄くて心臓がバクバク鳴っている。
人の前に出るのっていつまで経っても慣れないな…
もうなるようになれ!の精神でさっさと始めてしまおう。
「では始めます。ルル様の武勇伝」
腕を組み足を広げ左右に揺れながらネタをする。めちゃくちゃ恥ずかしい。
「ルル様いつもの言ったげて!」
「おう⤴聞きたいかルルの武勇伝!」
「その武勇伝を言ったげて!」
「ルルの伝説ベスト10!」
「れっつごー!」
「一日誰とも話さない!」
「凄い!喉の調子がずっといい!」
「「武勇伝武勇伝!武勇でんでんででんでん!れっつごー」」
「妹にすぐけなされる!」
「凄い!親しみやすい、お姉ちゃん!」
「「武勇伝武勇伝!武勇でんでんででんでん!れっつごー!」」
「両親に期待されない(ずーん…)」
「凄い!自由気ままなスローライフ!」
「「武勇伝武勇伝!武勇でんでんででんでん。意味はないけれど~。むしゃくしゃしたから~。お散歩していたら睨まれた~。でんでんででんでん。意味はないけれど~。むしゃくしゃしたから~。飛び跳ねて~いたら足、折れた~」」
「終わり!」「ぺけぽん!」
両腕を上に伸ばして終わる。恥ずかしくてエルフたちを見ることはできない。
ルル様が服の袖をくいくい掴んできて耳元で囁いてくる。
「ややウケですよ!ややウケ!」
「…ちょっとはウケたのですか。良かったです」
ちょっと笑ってもらったことに安心してエルフを見ると武勇伝?とか同情の視線とかも散見されるが、結構な数のエルフが笑ってくれていた。
リズムネタは初見は面白いよね。それはエルフであっても同じだと証明された。
ルル様も上機嫌だ。
「いや~良かったですね。誰かに笑ってもらえるのは楽しいです!」
「そうですね。緊張しましたけど」
「次はあたしの番ね!」
私たちと交代する形でリリが登場する。
エルフも期待の眼差しでリリを見ている。
「あたしのネタは…3の倍数の時にアホになるわ!」
「「「「「???」」」」」
「いくわよ~。1…2…さあああああああん!…4…5…ろっくううううううううううううううふん!………6…7…はっちひいいいいいいん!?!?…きゅ…ふっうううううううううん?10、11、じゅうにいいいいいんんん!!…13…14…じゅうごっほおおおおおおおおん!!16…17…」
「ええ…」
3の段言えてないよリリ…しかもアホになるとき白目を剥いて暴れていているので恐怖を感じる。
しかし…エルフにとってはインパクト抜群だったのだろう。ほとんどのエルフが笑っているし、中には腹を抱えて笑っているエルフもいる。
「あはははははは!!もうやめてくれ!死んじまう!はははは!」
「くふふ…はっちひいいいいいんって…くっくっく…」
「いいぞ姉ちゃん!もっとやれーーー!!」
「リーリ!リーリ!」
「「「「「リーリ!リーリ!リーリ!リーリ!」」」」」」
「さんじゅうさはあああああああああん!はぁ…はぁ…おわり!みんなありがとーーー!!」
「「「「「おおおおおおお!!」」」」」
広場は大盛り上がりだ。ネタとリリの性格が絶妙にマッチしていたのかもしれない。
リリがエルフたちに手を振ってから戻ってくる。
「どう!?どう!?ちゃんとできてた!?」
「大盛り上がりですぞ!」
「リリちゃん凄い!」
「ふっふ~ん!そうでしょそうでしょ!やっぱりあたしは何をやってもできちゃうのよね~」
若干うざいが…リリじゃないとあそこまで盛り上がらなかっただろう。エルフたちの笑い声はまだ聞こえているし。
しばらくしてエリックがやってきた。
「やぁ。君たち最高だったよ。しばらくあのネタはエルフの里で流行るだろう。あっはっは!私も久しぶりに笑うことができたよ」
「では約束の…?」
「ああ。ハイエルフでもある里長が直々に教えてくれるようだぞ。ついてきてくれ」
なんと広場に居合わせた里長さんが私たちを気に入ってくれたようで直接魔法を教えてくれるようだ。これは期待できるかも…?
これネタで歳バレるのでは…




