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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
ポンコツ姉妹と異世界旅!
39/88

ポンコツ姉のテイム検証回!

 異世界人の新くんとの対決が終わり、私たちはより強力な魔法を学ぶためエルフの里に向かうことに。


 それにしても、男の娘という存在を初めて見たけど完全に女の子じゃんあれ。声まで女の子だったからもう定義がよくわからない。

 あと初めて魚ちゃんさんから貰った魔法の杖を使ってみたけど…凄まじい威力だった。今後使う時は力加減を間違わないようにしないと。


「クロネ!今度はあたしと戦いましょ!」

「うん。今度ね」


 リリは私と新くんの戦いを見て完全にバトルスイッチが入ったようで、何度も戦いの催促をされている。

 私はリリと戦うとか碌な事にならなそうなのでしたくない。だからのらりくらりと躱しているけどそろそろ苦しくなってきた。何か気を逸らす話題ないかな?


 そんな時にルル様が話題を変えてくれた。

 やっぱりルル様は天使か。


「ちょっといいですか?」

「なんでしょうルル様」

「えっと、せっかくお外に出たのでテイムの練習をしたいのですが…」

「それはいい考えですね!魔物はたくさんいますから、テイムできる条件などを一緒に探っていきましょう!」

「なぜか凄い積極的です!?嬉しいですが怖いですよクロさん」


 手を握りしめたのがいけなかったのだろうか?ルル様の顔が怯えている。


「えー!あたしと戦う約束はー!?」

「私はさっき新くんと戦って疲れてるから。万全の私と戦ったほうがリリも満足するでしょ?」

「!!それもそうね!いいわ。待ってあげる!」


 よし。


 そんなわけで今日は本格的にルル様のテイムの力を検証することになった。





 検証その1 和解作戦


「こちらが誠意を見せれば応えてくれるはずです!」

「やってみましょうか」


 武器を持っていないはぐれゴブリンに両手を上げて近づくルル様。

 ルル様に気付いたゴブリンが警戒して立ち上がる。


「私何もしないですよー。友だちですよー。仲良くしましょーう。あ!やめて!石は危ないから!石を投げないで⁉︎」

「ギィギィ!」

「ギャーー!!」

「ダメみたいですね」


 検証その2 餌付け作戦


「食べ物を与えて仲良くするというのはどうでしょうか!」

「丸腰で行くよりは美味しそうなものを持って近づいたほうがマシかもしれませんね」

「なら肉にしましょ!ついでにあたしも食べたいわ!」


 肉を串に刺して焼き、それを持って再度ゴブリンに近づくルル様。

 私含め他の3人は串焼きのお肉を食べながら陰から見守る。


「ほーら美味しいお肉ですよー。怖くないですよー。ん?どうして地面の砂を手に取るんですか?あぁ!砂はダメ!ギャー!目がー!!」

「ええー!?肉よ!?なんで??」

「ダメミタイデスネー」

「警戒心丸出しですな」


 魔物が肉を持って近づいてきたら私たちだって警戒するよね。でも匂いで釣られないのは知性があるから?ゴブリンは何も考えていないようで実は考えて生きているのかもしれない。


「うぅ…ダメでした…」

「次はあたしの案で行くわよ!」




 検証その3 モノマネ作戦


「ほ、本当にやるんですかぁ…?」

「相手の気持ちになるのですよ。ルル様」

「お姉ちゃんならきっと完璧なゴブリンを演じられるはずよ!」

「それはどうなのですかな…」


 リリの熱い提案によりゴブリンスタイル(上着を腰に巻き、木の棒を持ってがに股で歩く)になったルル様が顔を真っ赤にしながらゴブリンに近づいていく。


「ぎ、ぎぃぎい…!」

「ギィ?」

「ぎぎぃ…!ぎぎぃ…!」

「おお…?近づけてはいますね」


 まさかの今までで一番効果がある様子。お互い顔を見合わせながらぐるぐる回り、徐々に近づいていく。


 ルル様も徐々にモノマネの精度が上がってきている。これはひょっとするかも?

 そしてついに…


「ギィギィ!ギギィ!」

「ぎぃぎぃ…ってええ!?ちょ!どこ触ってんですか!!え?ホントやめ…やめて…ひぎいいいい!」


 勢いよくルル様に飛びつき腰を振るゴブリン。


「あー…単に発情していただけみたいですね…」

「やっぱり肌を見せるのはよくないのかしら?」

「は、早く助けないと大変なことになっていますぞ!!」


 急いでゴブリンを追い返しルル様の貞操はギリギリ守れたが、現場には着崩した状態で倒れたまま顔を手で隠してしくしく泣いているルル様のおいたわしい姿が。


「うぅ…辱めを受けました…」

「オークならともかくゴブリンに犯されそうになるルル様かわいそう」

「もうゴブリンはやめましょう…心に傷が残りました…」


 しょげているルル様最高にかわいい。


 それにしてもどれも効果が無さ過ぎてびっくりだ。もっと真剣に考えるとしよう。

 やはりここは日本の知識を参考にするのが吉か。


 モンスターを捕まえると言えば…ずばりモ〇ハンやポケ〇ンだ。この2つはどうやって捕獲していたか。そう。弱らせてから捕まえるのだ!


「ルル様。捕まえる方法がわかりました。私のいた世界ではほとんどの人間が知っている方法です」

「さすがクロさんです!いったいどんな方法ですか!?」

「簡単です。まず徹底的に痛めつけ、瀕死状態に追い込み、相手の抵抗する意欲を奪ってから…ルル様のテイムを発動すれば捕まえられるはずです」

「鬼畜さんですか!?!?」

「クロネは相変わらず容赦ないわね」

「そうかな?私の住んでいた国では子どもたちもみんな楽しそうにやってたけど」

「修羅の国かなにかですか!?!?」

「恐ろしい世界ですな…」


 字面にすると恐ろしいけど理には適っているはず。

 そしてしぶしぶ納得してくれたみんなと魔物を探して歩き回る。


「どんな魔物を見つければいいの?」

「最初は弱そうな魔物を探そう。それがテイム出来たら徐々に難易度を上げいく」

「あれなんてどうですかな?」

「どれどれ?」



 トトちゃんが見つけた魔物は…くるんと丸まった角が特徴的な、羊に似た魔物だった。草をのんびり食べているし凶暴そうには見えない。


「いいんじゃないでしょうか」

「あ、あれを瀕死状態に追い込むの…?さすがに良心が痛むわね…」

「気が引けますな」

「それじゃあ私がやる。【水弾】」

「メエ!?」


 ウォーターボールを魔物に直撃させて吹き飛ばす。木にぶつかって倒れた魔物は倒れてはいるが動いているのでかろうじてまだ息があるようだ。


「うわぁあああ…羊さん…」


 確かに直接攻撃するのは精神的にクルものがあるかもしれない。けど魔法による間接的な攻撃ならどうってことはない。


「今ですルル様。近づいて魔力を流し込んでください。ほら。そんな目で私を見ていないで」


 ドン引きしたような目で私を見てくるルル様を無理やり押して、ピクピク痙攣している羊のもとに向かわせる。ルル様が急いで近寄り魔力を流し込むとどうやら手応えがあったようだ。


「テイム出来たような気がします!心が通じているような…」

「おお!成功ですね。…では治しましょう【治癒キュア】」


 回復魔法を施すと弱弱しかった羊が立ち上がりルル様にすり寄っていく。どうやら本当にテイムは成功した様子だ。


「瀕死に追い込んで手なずけてから回復するとか…行動が完全にサイコパスのそれなんだけど」

「いやいや。みんなやってるから」

「余計怖いわ!」

「ともあれ成功したということは今後もこれを続けていくのですかな?」

「そうだね。慣れだよ慣れ」


 3人が私と若干距離を取るようになったけど気にしない。気にしないったら気にしない。




 羊の魔物を捕まえた頃に日が沈んできたので野営の準備をする。

 そして焚き火の前で今後捕まえたい魔物を相談。


 ちなみに捕まえた魔物は私たちから少し離れたところで草をもしゃもしゃ食べている。名前はメーメーとルル様が任命した。そういえばスライムのラムちゃんはどうなったのだろうか?ルル様の初テイムの魔物だけど全然登場しないな。


「それで、明日は何を捕まえるのかしら?あたしは強い魔物なら何でもいいけど!背中を預けられる奴がいいわね!」

「リリと同等レベルの魔物なんて捕まえるの苦労しそうだから却下」

「拙はレア魔物がいいですぞ」

「レア魔物?」

「極稀に遭遇する貴重な魔物ですぞ。色違いとか、特殊な能力を持っていたりだとか様々ですが、捕まえられるなら捕まえてみたいですぞ」

「見つけられたらね」

「私はかわいい魔物がいいですね!ふわふわなのとか…もこもこなのとかがいいです!」

「魔物に可愛さを求めないでくださいルル様」

「もう!文句ばっかり言ってるクロネは何がいいのよ!?」

「よくぞ聞いた。ずばり、移動手段になる魔物を捕まえたい」

「移動手段ですか?」

「そうです。私たちは徒歩での移動じゃないですか。正直遅いですし疲れます。ですが…例えば馬のように乗ることが出来る魔物をテイムすればどうでしょう。移動はテイムした魔物に任せることが出来ますし、時間の短縮になります」

「なるほどですぞ」

「それに、もしノウキングダムの刺客やら連れ戻しに来るような輩が来た場合、速やかな逃走も可能になります。出来れば戦いは避けたいですし」


 馬なんて贅沢なことは言わないが騎乗できる魔物なら何でもいい。マジックバッグはあるが食料だって無限にあるわけではないので節約もしたいし、様々な観点から移動速度は早くしたい。


「あたしは別に歩きでも疲れないから構わないけどね。何だったら走ってもいいくらいよ」

「やめてあげてルル様が死んじゃう」

「そんなやわじゃないですよ!?」

「良い意見だと思いますぞ。拙も移動に使える魔物を捕まえることに賛成ですぞ」

「私もです!黙っていましたが歩きすぎで両足がぱんぱんです!ぱんぱん丸です!(?)」

「ふーん。ま、いいけどね」


 全員の了承を得ることが出来たので明日から足として使える魔物を探すことになった。できれば馬のような魔物を捕まえることがベストなんだけど…そう上手くいくだろうか?


クロネ「スライムのラムちゃんはどこに行ったのですか?」

ルル「私のポケットにいますよ?」

クロネ「え」


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