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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
ポンコツ姉妹と異世界旅!
20/88

水族館+温泉とか高い金取れそう!

 状況を整理しよう。

 王様は私で、トトちゃんとミツキさんが下半身裸(私も)。リリが上半身裸だ。ルル様だけが普通の服装。

 私のターゲットはルル様だけなんだけど、例えば「王様と1番がキスをする」という命令でルル様に当たる確率は25%だ。流石に低すぎる。それにルル様だけ脱衣をしていないことも気になる。

 う~ん…よし。この作戦で行こう。


「では命令します」

「「「「………」」」」

「1番と2番…」


 ルル様の表情をチェックする。ホッとしている表情だ。


「…以外の人は服を脱いでください」

「えええ!?」

「おや?ルル様は何番ですか?」

「4番です~!」

「残念でしたね。ちなみに3番は?」

「あたしよ!」

「…なんだリリか」

「なんだってなによ!」


 だってリリは恥ずかしげもなく脱ぐからイマイチ…ね。

 予想通りリリが特に気にした様子もなくすっぽんぽんになる。…どうして毛が生えていないのだろうか?生えない人っているんだ。


 対してルル様は脱ぐことに抵抗があるようだ。服に手を掛けてはいるがそこから動こうとしない。


「ルル様。パパっと脱いじゃってください」

「私の身体はコンプレックスなんですよ~!!」

「大丈夫です!ルル様は素敵な体をお持ちです!」

「あたしが全裸になっているんだからお姉ちゃんも半裸くらいすぐになりなさいよ」

「うぅ~!ばかにしないでくださいよ!」


 ルル様がスカートを脱いでいく。むっちりした太ももがたまらなくエロい。今度膝枕を頼もう。

 続いてパンツも脱いでいくが…手でしっかりガードしていたので中を見ることはできなかった。しかし以前お風呂に入ったときの感想を述べると、リリとは正反対だったということは明記しておこう。大人の身体だった。


「誰ですかこんな恐ろしいゲームを考えたのは!」

「これ以上やるとトラウマになる気がするので、次で最後にしましょうかぁ」

「そうですね。それがいいです」


 ミツキさんの提案で次がラストゲームに。最低限の人権は守れそうだ…

 出来れば王様になって穏便に終わらせたい…そう願いつつ棒を引くも…結果は数字の3だった。


「それでは最後のコール行きますよぉ。せーの!」

「「「「「王様だーれだ」」」」」

「あたしよ!」

「うわぁ…」


 最後の最後でリリが王様か…


「最初もあたしからだったし、流石はあたしね!」

「穏便な命令で頼みますぞ」

「そうだそうだ」


 リリは初っ端から全員に命令を下すというルールブレイクをしてきたが、何度も繰り返してきたからもうそんなことはしないはず…しないよね!?


「じゃあ命令するわ!…全員着ているもの全部脱ぎなさい!」

「だから数字を指定して!」

「だってあたしだけ全部脱いで不公平よ!」


 だからって最後に全てをひっくり返すみたいなことは普通しないでしょうよ!


「ほらほら!王様の命令は絶対よ!」

「くっ…覚えてなよリリ」

「あたしは記憶力がいいから忘れないと思うわ」

「…」


 そういうことを聞いてるんじゃないよ…まぁもういいや。ここにいるのはほとんど身内みたいなものだし。

 諦めの境地に達したので上着を脱いでいく。


「え!?クロさん本当に脱ぐのですか?」

「このままだとリリの収まりがつきそうもありませんし」

「はやく!はやく!」

「ならば拙も…」

「皆さん脱ぐんですねぇ…仕方ありません。私が始めたことですしぃ…!」

「うわぁ!これ脱ぐ流れになってますー!」


 おお。ルル様が慌てふためいている。リリグッジョブ。

 ルル様は胸が大きいことを気に病んでいるからここまで嫌がっているのだろう。

 しかし!こういう場で脱ぐことによって慣れてもらいたい。というか自信を持ってほしい。

 そんな正義の心でルル様の後ろに回り込みお手伝いをする。


「ルル様。手をバンザイしてください」

「こうですか?」

「はい。よくできました」

「きゃあああああああ!!」

「ブラも外しますよ」

「無駄に手際がいいのはなんなのですかーー!」


 過去にブラを手際よく外す訓練をしていた私に隙は無かった…

 こうして全員が生まれたままの姿で向かい合うというシュールな光景が。

 ミツキさんがルル様の胸を感心した様子で眺めている。


「立派なものをお持ちなのですねぇ。ルルさんは」

「恥ずかしいものをお見せして申し訳ありません~」

「え?むしろ長所ですよね?羨ましいですぅ」

「え?」

「え?」

「ルル様。ルル様の国の考え方がおかしいのです。普通は胸が大きいことは羨ましいことなのです。絶壁リリが恥ずかしがるべきなのです」

「あたしのことまた馬鹿にしてる!?」

「そうなんですか?でも恥ずかしいものは恥ずかしいです」

「少しずつ慣れていきましょう」


 物心ついた時から持っているコンプレックスはそう簡単に解消できないのだろう。これからじっくり意識を変えていければそれでいい。


 それはそうとして、この状況は一体いつまで続くのだろうか…もしかして今日は寝るまでこのままなのだろうか?そんな恐ろしいことを考えているとミツキさんから救いの手が。


「みなさん。せっかく服を脱いでいますので、このままお風呂に行きませんか?」

「いいですね!」

「お風呂!クロネが入れ入れうるさいのよね」

「拙も毎日お風呂に入っているので慣れてきましたぞ」

「お風呂は気持ちいいので好きです!」

「では行きましょうかぁ。我が家自慢のお風呂なんですよ。ついてきてください。あ、服はそのまま置いていて構いませんよ。じぃやに片付けさせますので」


 え…じぃやに私の服を回収されるのは嫌なのだけど…

 しかし全員部屋を出ていってしまったので仕方なく妥協することにした。おじいちゃんなら…いいか。


 廊下を全裸集団が練り歩く。廊下を裸で歩くのは背徳的で変な気分になるけど、前も後ろも横にも裸の仲間がいるので謎の頼もしさがある。なんだこれ。




「こちらです」

「「「「おお」」」」


 脱衣所を抜けた先のお風呂は見たこともないような種類の浴室だった。

 温泉のように大きいのは嬉しいのだが、それ以上に凄いのが壁一面透明なガラス張りなのだ。

 これがどういうことかというと…私たちは今深海にいる。つまり水族館のように泳いでいる魚を鑑賞しながら湯船に浸かることが出来るのだ!

 外はライトアップされているので魚がはっきり見える。これなら何時間お風呂に入っていても飽きることはないだろう。

 これは…最高!感動を伝えるためにミツキさんに駆け寄り手を握る。


「素晴らしいですねミツキさん!これまで入ってきたどのお風呂よりもポイント高いです!個人的には椅子が設置されていればより高得点なのですけれど!せっかく海を観賞できるのだし。ですがそれ以外はパーフェクトです!」

「は、はい。…クロネさんはこんな人でしたっけ?」

「クロネはお風呂にうるさいのよ」

「ですがクロネ殿が気に入るのもわかりますぞ。見ているだけでも面白いです」

「広いお風呂ですね!全員入っても余裕がありますね!」


 大浴場と言ってもいいだろう。ゆったり入ることが出来そうだ。それに普通のお風呂と寝ながら入れるお風呂の二種類がある。


「とりあえず身体洗いましょうかぁ」

「そうですね」


 ルル様の頭と身体を洗ってから自分の身体も洗う。トトちゃんも同様にリリを洗ってから自分の身体を洗っている。それを見てミツキさんが不思議そうにしている。


「クロネさんとトトさんはお世話をしたいのですかぁ?」

「はい。ルル様のお世話をするのが趣味です」

「拙はリリ殿の忍びですので!」

「そ、そうなのですねぇ…」


 どうして若干引き気味なのだろうか?

 それはともかくお風呂を満喫しよう。まずは普通のお風呂に入る。丁度いい温度だ。


「温まりますなぁ」

「さっきまで風邪引く格好だったからね」

「竜宮城は楽しいですね!」


 食事も美味しいし、お風呂も最高だし、ちょっとくらい値段が高くても納得の満足度だ。


 それから寝湯は想像以上に良かった。真上を見ると魚が泳いでいるのだ。下から…しかも寝ながら魚を鑑賞するという経験は珍しいものではなかろうか。

 しかも魚が泳いでいるのを眺めるのは…飽きない。なぜかはわからないけどずっと見ていられる。この感覚は焚き火に似ているなぁ。

 そんな夢のような時間を過ごしていると我が家の飽き性たちが急かしてきた。


「クロさ~ん。のぼせてしまいますよ~」

「もう体中熱くて…限界なんだけど!?」

「拙も倒れてしまいますぞ~」

「…仕方ない。あがろうか」


 長湯は慣れなので、これから毎日お風呂に入る時間を3人が気付かないように少しずつ伸ばそう。


 それから上がると浴衣が用意されていたので着替えて、じぃやさんが持ってきてくれた神水を飲む。…美味しすぎて思わず目を見開いてしまう。


「お風呂上がりのこのお水は最高ね!」

「ふふ。ありがとうございますぅ。寝室に案内しますね」




 ミツキさんに案内してもらいながらここ最近の出来事を振り返る。

 海の上で気を失ったときはもうダメかと思ったけど、ミツキさんがいてくれてよかった。やっぱり善い行いをしたら返ってくるという言葉は間違ってないのかもしれない。

 それにしても…疲れた…


 ミツキさんに案内された部屋にはお布団が敷かれていて、中に入った途端に眠りについてしまった。




 そして翌朝。


「…んー。よく寝た」


 ぱっちり目が覚める。疲れは完全に抜けたようだ。

 横を見ると3人がくっついて寝ている。


 昨日はおもてなしの連続ですっかり竜宮城を満喫してしまったが、連日私たちの世話をするのも大変だろう。今日中に出ていったほうがいいかもしれない。


 そのことを起きてきた3人に伝えると了承してくれた。


「いいところだったけど、仕方ないわね」

「また機会があれば来たいです!」

「あのAランクの魔物がどうなったのかも気になりますぞ」


 あれから3日…4日か。経ったみたいだけど無事に討伐できたのだろうか?

 そんな疑問がよぎるが、扉を叩く音で思考が戻る。


「どうぞ」

「失礼しますぅ。皆さん起きるのが早いですねぇ。ご飯の準備ができたので行きましょう」

「ありがとうございます」


 朝食まで用意してくれてありがたい。だけどこのままズルズルここにいても竜宮城の皆さんに申し訳ないので出ていくことを伝えないと。

 朝食を食べながらミツキさんに話す。


「ミツキさん」

「苦手な食べ物でもありましたかぁ?」

「いえ。おいしいです。それとは別の話なのですが、これ以上ここでお世話になるのも心苦しいので、今日中に出かけるつもり…なのです…が…」

「か、帰ってしまうんですかぁ~!?」


 話の途中で涙目になってしまうミツキさん。あれ?昨日もこんなことがあったような…


「何日でもいてくださっていいんですぅ!迷惑だなんてとんでもない!こんなに毎日楽しいのは生まれて初めてなんですぅ!」


 号泣してしまうミツキさん。あ、あれ~?なんだか申し訳ない気持ちが…

 3人も私に抗議してくる。


「クロさん!もう一泊していきましょう!」

「特に予定もないんだし、いてあげましょうよ」

「帰るべきではない気がしてきましたぞ」


 うーん…いいのだろうか…?でもこれで私が帰るって言ってもわだかまりが残りそうだしなぁ。


「…わかりました。もう少しお世話になります」

「本当ですかぁ!やった!まだお友達が出来た時に遊ぼうと思っていたものがたくさんあるのです!」


 ミツキさんも喜んでいるし…これでいいのかな?

 こうして私たちは1泊、また1泊と竜宮城に居座ることになるのだった…


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