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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚  作者: 綿あめ真
ポンコツ姉妹と異世界旅!
19/88

ポンコツたちの王様ゲーム!

 ミツキさんが持ってきた「王様ゲーム」で遊ぶことに。しかし全員このゲームで遊んだことは無いようだ。

 私も名前や大体のやり方は聞いたことがあるけど詳しくは知らない。

 するとミツキさんが何やら巻物を広げ始めた。


「一緒に巻物も入っていたのでこれに説明も書いているようです」


 巻物の中はミツキさんの言うようにゲームの説明が書かれていた。


 1、数字がわからなくなるように箱の中へ棒を入れる

 2、参加者全員で箱の中の棒を引く。全員が引き終わった後に「王様だーれだ」の掛け声をして、王様は名乗り出る

 3、王様になった人は相手を指名して好きな命令を出すことが出来る。ただし、数字を指名しなければいけないので誰が当てられるかはわからない

 4、疲れたら終わり




 最後投げやり!でもルールはわかった。王様になったらどんな命令をするか考えておかないと。


「早速始めましょ」

「わかりましたぁ!では皆さん。好きな棒を引いてください。私は最後に残ったものを引くのでぇ」


 ミツキさんが箱を私たちの前に出してくれる。

 ジャラジャラとかき混ぜてしまったので王様の棒がどれかわからないので適当に奥の棒を引く。

 手で番号が掛かれている部分を隠しつつ確認すると数字の2と書かれていた。


「みんな数字は確認しましたか?それでは行きますよぉ!せーの!」

「「「「「王様だーれだ」」」」」

「あたしよ!」


 リリがドヤ顔で王と書かれている棒を掲げる。


「ふふ~ん。やっぱりあたしが王様なのね!わかっていたわ!」

「悔しいですぅ~!」

「それで?どんな命令?」

「そうね~。それじゃ、一人ずつあたしのいいところを言ってもらおうかしら!」

「数字を指定しなさい!」


 いきなりルール無視したよこの子!信じられん…

 でも王様の命令は絶対なのでしぶしぶ1番から順に応えていく。

 ルル様→私→リリ→ミツキさんの順だ。


「明るいところ!」

「戦闘が強い」

「かっこいいところですぞ」

「えーとぉ…元気なところかな?」

「ふ…ふふ…いいわねこの遊び!最高にいい気分だわ!」


 1人ずつ答えるたびにふるふる震えて喜びに悶えていたリリ。不覚にもかわいかった。

 いきなり全員に命令するという破天荒さでスタートしてしまったが、気を取り直して第二開戦。


 棒をミツキさんが回収してじゃかじゃかかき混ぜてから引き直す。

 次は…4番だ。またはずれ。


「「「「「王様だーれだ」」」」」

「拙ですぞ!」


 次はトトちゃんか。トトちゃんは方向音痴というところ以外はまともだ。きっと常識的な命令をしてくれることだろう。


「では3番を引いた方には腹筋を20回してもらいますぞ!」


 しまった!この子、脳筋国出身だった!

 しかも20回って地味にキツイ…誰が当たったかにもよるけど…


「私ですねぇ」

「ミツキさんですか」

「言われたからにはやりましょう!ところで、腹筋とは何をすればいいのでしょうかぁ?」

「そこからですか!?」


 腹筋をしたことがない人っているんだ。

 私は学校で無理やりやらされたことがあるけど、この世界には学校とかあるのだろうか?ないのならやったことがない人がいてもおかしくない。


 それはともかくミツキさんに腹筋のやり方を説明する。


「まず仰向けに寝てもらってですね。手は胸の前でクロスしてください。そうです。その姿勢のまま上体を起こしてもらって…はい。それで一回です」

「これはいい運動になりますねぇ」


 すいすい腹筋運動を繰り返すミツキさん。

 私が足を持っているんだけど…間近で見るとミツキさんも結構なモノをお持ちだ。私よりは明らかに大きい。けどルル様には若干負けているといったところか。ただ、手を胸の前でクロスさせているので胸の形が変形しているのが服の上からでもわかる。かなり柔らかいのだろう。


 いつもの胸チェックをしているとミツキさんがあっという間に20回を完了する。

 流石は水龍神の娘様。まだまだ余裕がありそうだ。もしルル様がやることになっていたら…できなくてゲームが終了していたな。絶対に。


「ふう。いい運動になりましたぁ!どんどんいきましょう!その前に喉が渇きましたね。じぃや!お水を持ってきてちょうだい」

「かしこまりました」


 いつの間にかミツキさんの後ろで待機していたじぃやが部屋を出ていき、程なくして人数分のコップを持ってきてくれる。


「皆さんもどうぞぉ。我が家自慢のお水ですぅ」

「おかわりもありますのでお申し付けくださいませ」

「「「「いただきます」」」」


 お水を受け取って飲んでみるとびっくり。夏場に飲む水くらいおいしい。それに身体に入った途端、なんだか浄化されていくような感覚が。

 他の三人も目を見開いて驚いている。


「なんていうか…神聖な水ね」

「元気になった気がします」

「おいしいですぞ」

「これはですねぇ。お父様が神力を込めた水なんです。だから私たちは神水と呼んでいます」

「神水…ごくり」

「そんなすごいものを私たちなんかが飲んでしまってもいいのでしょうか!?」

「いいんですよぉ。お父様はモノに自分の力を込めることが趣味なんです。だからこの神水も暇があれば作っているので飲みきれないほど溜まっているんですぅ」


 そうなんだ。それなら遠慮しなくてもいい…かな?気づいたら飲み干してしまったのでできればもう一杯飲んでみたい。


「あの…ではお言葉に甘えてもう一杯いただいてもいいですか?」

「私も!」「あたしも!」「拙も!」

「ふふ。いいですよぉ。じぃや。ピッチャーで持ってきて」

「かしこまりました」


 ピッチャーあるんだ!やったね!

 じぅやが戻ってくる間にもう一勝負行うことに。


「せーの」

「「「「「王様だーれだ」」」」」

「私ですぅ!」


 今度はミツキさんか。またしても私ははずれ。もしかして運がないのだろうか?数字は1番だ。


 ミツキさんとは知り会って間もない。だからまだいまいち性格が掴めていないのでどんな命令が来るか予想がつかない。

 ドキドキしているとミツキさんが凄い命令を下してきた。


「でわぁ…1番と3番は服を脱いでください!」

「「「「!?」」」」


 服を脱げ…だって!?いきなり爆弾投下してきたよこの方!

 しかも寄りにもよって私が1番の時に!3番は誰だ?


「1番は私ですけど…どこまで脱げばいいんですか?というか本気ですか?」

「3番は拙ですぞ…」

「本気ですよぉ。そうですねぇ…上か下かは自分で選んでもいいですよ」

「「…」」


 ニヤリとするミツキさん…さてはSだな!

 どうするか…下を脱ぐしかないかな。下なら座ればギリギリ隠せるけど、上を脱いでしまうで手で隠すしかなくなる。


 スカートを脱いで後ろに置く。

 皆に見られながら自分だけ脱ぐのがこんなに恥ずかしいとは…!

 トトちゃんを見ると同じように忍者服のズボンを脱いでいる。


「く…」

「恥ずかしいですぞぉ」

「何をしているんですかぁ?まだ終わってませんよぉ?」

「「え?」」

「下を選んだのなら、まだ脱ぐものが残ってまいすよねぇ?」


 なん…だと…

 ミツキさんはただのSじゃない…ドSだ!

 パンツも脱げというのか?くっ…めっちゃニヤニヤしてる!本性現したな!


「王様の命令ですよぉ」

「えげつないわね…」

「クロさんがあんなに動揺しているところを見たことがありません!」

「クロネ殿~!」

「覚悟を決めよう。トトちゃん」


 王様の命令は絶対なのだ。

 パンツに手をかけ、一気に脱ぐ。そしてすぐに座り込む。うぅ…座布団の上にそのまま座るなんて…謎の背徳感が…


「いいですねぇ!!盛り上がってきました!どんどんいきましょう!」


 次こそ王様になって私が引ん剝くんだ!


「「「「「王様だーれだ」」」」」

「あ!私です!私が王様です!」

「くっ!」


 またしても1番!なぜだ!?

 しかもここでルル様が王様か。ルル様も予想がつかない。この流れを断ち切るのか否か…


「3番と4番の人は服を脱いでください!」

「ここは空気読むのですねルル様!?」


 大事な場面では空気読まないくせに!

 だけど私は1番だからセーフ。誰が服を脱ぐ羽目になるのか…おや?ミツキさんが慌てているぞ?これは仕返しのチャンスなのでは?


「ルルさん?それはちょっとどうなのかしらぁ?」

「おやおやぁ?ミツキさん?王様の命令は絶対ですよ?人にやらせておいて自分はできないなんてそんなはずありませんよね?」

「う…わかりましたぁ!脱げばいいのでしょう脱げば!?」


 なんという酷い争い。このゲームは加減を間違えてしまうと喧嘩のもとになるのではないだろうか。誰だこんな危険な遊びを考えたのは。


 ちなみにもう1人はリリだった。だけどリリは自分の裸に自信を持っているので特に気にした様子もなく上半身裸になり、手を腰に当てて謎のアピールをしている。


「見なさい!あたしの完璧なプロポーションを!」

「ぺったぺたやないか」

「堂々としていてリリ殿は潔いですなぁ」

「うぅ…下を脱ぎましたぁ」


 顔を真っ赤にしてミツキさんがパンツを隠している。なんであんなに自分が恥ずかしい命令をしたんだろうか…自分には回らないと思っていたのかな?


 さて状況は酷い有様だ。ルル様だけがまだノーダメージで、私とトトちゃんとミツキさんが下半身裸、リリが上半身裸というハレンチ空間になっている。


「次行きましょう」

「負けられません!」

「せーの!」

「「「「「王様だーれだ」」」」」

「よっし!」

  

 私の手の中には王と書かれている棒が。

 やっと私のターン!


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