第一話
僕はトラック、明日もトラック。
いつでもドックフードを運んでる。
でもドックフードは大っ嫌い、だって食べられないんだもん。
俺はドックフード、昨日はお肉、おとといはなんと鶏さ。
なぜだかいしきが残ってる?ここはどこだ?私はだれ?というかなんでしゃべれるの?
運転手さんは優しい人、でも運転だけは荒い人。
だからちょっぴりだけ嫌いだな、ほんとのホントに少しだけ。
やさしくなってほしいんだけどなあ。
昨日はマジでさいあくだった、あいつは死神悪魔も逃げ出す。
首切って血抜いて羽取って、良い匂いがしてきたら俺様の完成さ。
ファック。
いつからだろう、記憶があるのは。前までは考えたりも無かったのに。
誰かが好き、誰かが嫌い、何かが好き、何かが嫌い。
こんな感情いままでなかった。いや感情なんて、いままでなかった。
なにかがおかしいぼくがおかしい?ううんぼくはふつうのトラック……
……ふつうのトラック?
あれからずっと考えてる、考えてる事を考えてる。
昔は良かった食べ物しか頭に無かった。
だが今では哲学ばかり、それも答えが出てしまった。
もう三歩あるいたって忘れる事は出来ない。
次は何を考えたら良いんだ。
「神様!大変です!本来意思を持たないはずの存在が意思を持っています!」
「なに?そんなはずは……って本当じゃないか!」
「ど、どうしますか神様!この事が上にバレたらまずいんじゃ……」
「いや落ち着け女神よ、これはもしかしたら……」
これは、本来ならありえない物語
神が生まれた瞬間の軌跡。