6:説明を聞こう。
「以上でキャラクターメイキングは終了となります。お疲れさまでした」
なんだか思ってもみなかった構成になっちゃったけど、なるようになるよね。
「システムメニューの説明をお聞きになりますか?」
簡単なチュートリアルもやってくれるのかな。
「お願いします」
「はい。それではまず"メニュー オープン"と念じてみて下さい」
試してみると正面に半透明のパネルが浮かび上がった。
「ステータス」や「スキル」などの項目が並んでいる。
「口に出すことでも表示することが出来ますが、そちらはあまり使用する機会は無いと思われます。
表示されたパネルから、更に表示したい項目をタップすることで新たなパネルが出現します。
ちなみに「アイテム」と「召喚獣」の項目は、白雪様が対応したスキルをお持ちですので表示されております。
パネルの右上にある×をタップして頂くことでそのパネルを消すことができます。
また、"メニュー クローズ"と念じて頂けばすべてのパネルをまとめて閉じられます」
開いたり閉じたりと試してみる。
動かせるかな?と試しにつまんで横に引っ張ってみたらちゃんと動いてくれた。
両端をつまんで引っ張ってみたらパネルが伸びて大きくなった。
おー、なんか楽しい。
「この×の横にあるのは何ですか?」
「そちらは可視化ボタンです。
これらのパネルは基本的には使用者しか見ることが出来ない仕様になっております。
【鑑定】で得た情報や【測量士】の方の地図など、他者にパネルを見せたい時などに使用します」
ほうほう。
「では次に、メニューから「スキル」の項目を選んで頂くか、"スキル オープン"と念じて下さい」
念じてみたらスキルパネルが表示された。直接開くこともできるんだな。
スキルパネルには二つの枠で左右が区切られており、左側の枠に持っているスキルが表示されている。
「左側の枠が現在装備されているスキルで、右側の枠が控えスキルとなっております。
スキル名をタップしていただく事で詳細が表示できるほか、タップしたままスライドしていただく事で並び替えや控えとの入れ替えが可能です」
種族特性でやたらと枠が多いからしばらくは交換する必要がなさそう。
「右下にある「スキル習得」ボタンをタップして下さい」
押してみたら先ほどのスキル一覧のような画面が表示された。
「そちらの画面から新たなスキルを習得することが出来ます」
「スキルポイントはどうすれば増やせますか?」
「職業レベルが一つ上がるごとに一ポイントが獲得できます。
また、スキルレベルが十の倍数になる事でも一ポイント獲得できます」
たくさん稼ぐのは大変そうだな。
それを私は衝動で三十ポイント投げ込んだのかぁ……
まぁ過ぎたことだ。きっとそれだけ頑張ってくれるさ。
「なお行動によりスキルを取得できる場合もございますが、そうして得たスキルではポイントを獲得することはできません」
なぬ。
「剣を使って戦っていれば【剣術】スキルを取得できる事がある、という事ですか?」
「簡単に言えばそういうことですね。すぐに得られるものではありませんが」
【弓術】取らなくてもよかったかな?
いや、まともに前に飛ばせるかすら怪しいし必要だったって事にしよう。
「では、今度は「アイテム」パネルを開いて下さい」
枠だけが描かれたパネルが表示された。
「そちらのパネルに【アイテムボックス】に収納されている持ち物の一覧が表示されます。
……【アイテムボックス】。
どうぞ、こちらでお試しください」
カメリアさんが【アイテムボックス】と呟くと、正面の空間が奇妙な感じに歪んだ。
そこにおもむろに右手を突っ込み、中から三十センチほどの木の棒を二本取り出してこちらに渡してきた。
「収納方法はそちらのパネルに押し込んで頂くか、【アイテムボックス】を発動してその中に入れることで収める事が出来ます。
そして取り出す方法ですが、パネルからアイテムを選択して「取り出す」を選んでいただくことでパネルに手を入れられるようになります。
また、取り出したい物を意識すれば私が先ほどやったように【アイテムボックス】から直接取り出すことも可能です。
どちらの手段でもまとめて複数個を扱う事も可能です」
とりあえず一通り試してみた。
手に持てないようなものは扱えないんだな。
満足したので棒を返しておく。
続いて「召喚獣」パネルや「コミュニティ」パネル、「システム」パネルの説明を受ける。
「召喚獣」は召喚した仲間の管理画面で、「コミュニティ」はフレンドリストやメールの管理画面。
「システム」は色々な設定やログアウトなどをする項目のようだ。
パネルの透明度や色、表示される文字サイズなど色々細かいことも設定できた。
「以上でシステムメニューの説明を終了します。
これにて事前行程が全て終了しました。
間もなく三番の船着き場に到着致しますので、合流する方が居られるならばその旨をメッセージで知らせてみてはいかがでしょう?」
やり方の説明を受けつつお姉ちゃんにメッセージを作成。
三番に着く事と髪を緑にして短くしたこと、瞳も緑にしたことを書いて送信。
せっかくのレアなので種族は内緒にして驚かせてみよう。
送信してすぐにポーンという音が聞こえる。
メッセージボックスを見てみると返信があったようだ。
『了解。友達と一緒に合流するねー』と書かれていた。
友達か。テストの時に一緒に遊んだ人かな?
「それでは、準備が出来ましたらそちらの扉から外へどうぞ」
カメリアさんの言葉に従い扉を開ける。
扉の向こうは霧がかかったようになっておりよく見えない。
多分通り抜けると先ほど言っていた三番埠頭に着くのだろう。
心の準備をして前へと踏み出す。
全身が霧に包まれたあたりで後ろからカメリアさんの泣き出しそうな声が聞こえてきた。
「どうか心を強く持って…… 私には祈る事しか出来ません……」
「えっ?」
何か凄く不吉な言葉が聞こえた気がして振り返るも霧に閉ざされ何も見えない。
一体何があるっていうんだ……?