表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/3640

37:竹を捏ねよう。

 本の背表紙をぺちぺちして取ってもらう。


「今日は錬金術かー。もしかしてもう【魔力操作】は覚えちゃったの? へぇ、小っちゃいのに凄いんだねぇ」


 小っちゃいのは別にいいじゃん。やっぱり子供扱いされてないか?

 一日で覚えたことには驚かないんだな。我慢できずにポイントで取ったって思われてそうだ。

 表紙を開いて机に置いてくれた。ハードカバーの表紙は重かったからこれはありがたい。


「それじゃごゆっくり。終わったら呼んでねー」



 ざっと読んでみた所、物の状態をいじりまわすスキルらしい。

 柔らかくして変形させたり、違う物質を混ぜ合わせたり逆に抽出したり。

 生産スキルの補助に使うのが主なのかな?


 覚えるには何らかの物体に魔力を流して、それを変質させようとしてみたり捏ね回してみたりすると良いみたいだ。

 相変わらず習得法が色々と雑だな。決まった手順に則った厳しい修行を積めとか言われるより楽でいいんだけどさ。



「あ、読み終えたかな? それじゃ片付けておくね。 まだ何か読むかな?」


 首を振り頭を下げ、手を振って飛び立つ。

 そしてドアの前で立ち往生する。むぅ。


「あはは。ちょっと待ってね、これ仕舞ったら開けてあげるから」




 さて、次は中庭で色々と練習しようかな。

 なんかカウンターの奥の机の上に、珠ちゃん用の猫ベッドみたいなのが出来てる。無駄に仕事が早いな。


 窓は開いてるかな? あれ、開いてはいるけど何か板で塞いであるな。

 窓を少し開けて出来た空間に板が張ってあり、その一番下に高さ二メートル幅一メートル位の板がはめ込まれていた。

 溝を掘った枠に上下を挟まれているし、取っ手もついてる。引き戸っぽいな。


 こんなの見たことあるわ。うん、ペット用の出入り口だこれ。開き戸じゃないけど。



 なんか微妙に気になるけど戸を開いて中庭へ。

 少し重いけど私の力でも開けられた。凄い丁寧に作ってあるな。ちょっと引っかかるだけでも動かなくなるだろうに。


 ていうかこんなの設置してないで仕事を…… いや、妖精用のバリアフリー化と考えればこれも仕事のうちか。実際助かるしね。



 さて、まずは花壇で疲れが出始めるまで【施肥】して回ろうかね。

 あ、そういえば【蜜採取】の説明に「対象の状態が良いほど生成量は増える」ってあったな。ちょっと比較してみよう。


 うん、ちょっと増えたっぽいな。誤差の範囲だけど、回数をこなせば結構な違いになるだろう。

 まぁ今は集める訳じゃないので勿体ないけど少し舐めて残りは土に埋めておこう。

 流石にコップ一杯分位ある蜜を一気飲みは無理だもの。



 HPが半分手前くらいになった所で止めておいた。

 さて、それじゃ次は【錬金術】を習得するための訓練だ。

 んー、近くにある素材になりそうな物って花壇の土くらい?


 でも昨日土に魔力流していじってたけど【錬金術】は生えて来てないんだよね。

 魔力で直接動かす事しかやってないからかな?



 まぁ他のものでやってみるか。 ……って思ったけど、私殆ど何も持ってないわ。

 鞄とお金と弓矢くらい。あぁ、矢でいいか。金属で練習してみたいけどお金を変質させるのはダメでしょ。


 この矢、軸の素材何なんだろ? 竹かな? まぁ竹って事でいいや。匂いもそれっぽいし。

 矢の両端を掴んで、軸を経由して魔力を循環させる。

 よし、出来た。通過してるし流してることになるでしょ。多分だけど。



 魔力を廻しつつ柔らかくなれー、曲がれーと念じて軽く力を加え続ける。

 まぁそう簡単には行かな…… いや行ったよ。なんかクニャクニャになった。

 いくらなんでも魔力が絡む事への適性がおかしいでしょ。ありがたいからスルーだけど。


 しかしこの矢、どうしようか。

 まっすぐにしてもちゃんと飛ぶ矢には戻りそうも無いかな?

 って思ったけど別に全然問題ないな。使わないし。練習で使い潰してしまおう。


 えーと、何が出来るんだったかな。

 変質に融合に抽出とかだっけ? でも竹から抽出とか竹に融合とかよく解んないな。

 ひたすらに柔らかくして捏ね回してやろう。



 うーん、なんだこれ。色や模様や匂いは竹っぽいままなんだけど……

 棒状からくるくる丸めて、ぐにぐに捏ねて引っ張り伸ばす。

 それをまた丸めて……と繰り返していたら最初の辺りはまだ表面同士の境目が残っていたけど、もう跡形もない。

 完全に竹っぽい質感の粘土と化してしまった。


 どうしよこれ。そうだ、せっかくだし何か作ってみるか。

 でも量が少なすぎるな。よし、もう二本ほど使おう。

 目的が変わってる気がするけど変質させる練習は出来るからいいんだ。言い訳でしかないのは解ってるけどさ。


 よし。硬くしたり柔らかくしたりしつつ手でこねくり回し、手でいじるのが難しい所は魔力で直接動かしたりして手の平サイズの馬の像(台座付き)が完成したぞ。なかなかの出来だと思う。最後に出来るだけガッチリ固めておいた。


 うわ、一時間近く経っちゃってるよ。何してんだ私は。

 急に冷静になってボックスに放り込む。後で誰かに上げよう。




「お、終わったか。相変わらず楽しそうだな、お前さん」


 ……貴様、いつから見ていた!!


「姫様から伝言が有って来たんだがな。まさか一時間近くも待たされるとは」


 作り始めからかよぅ……


「それならすぐに声をかけてくれて良かったんですが」


「いや、楽しそうに粘土遊びしてたしよ」


「子供みたいに言わないで…… いや、子供みたいなノリでやってたのは否定できない……」


「だろ? まぁそれはいいとしてだ。「家に外からの衝撃から守る為の結界を張る機能を付けようかと思うんだが、そうすると魔力の消費が増してしまう。しかし、それだけの価値はあると思うのだがどうする?」 ってのを聞いてこいって言われたんだわ」


「何か飛んできて壊れたりしたら大変ですし、お願いします」


「はいよ。そんじゃ伝えてくるわ」


「あ、そうだ。さっきの馬、アリア様に献上しますので持っていってください。力作です」


 気軽に王族に贈り物するのもどうかと思うけど、多分大丈夫だろう。


「配達すんのは良いけど、壊しそうで怖ぇな。すっげぇ細かいし」


「一応出来るだけ硬くしたんで、ちょっとくらいなら大丈夫だと思いますよ」


「まぁ壊れたら人に任せた自分を恨めや」


 だからなんで消える前に嫌なことを言い残していくのか。

 しかし、結界まで付くのか。なんか大掛かりになっていってる気がする。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ