3116:自分のポンコツぶりに慄こう。
ん?
……今まで私って声が聞こえない人相手には頑張ってジェスチャーでなんとかしようとしてたけど、よくよく考えたらそんな相手側の理解力に頼ったりしなくても良かったんじゃないの?
メッセージはプレイヤー相手じゃないと送れないだろうし相手が誰か判ってないと使えないけど、別にそういうシステムに頼らなくても筆談で済んだ話なのでは。
今なら【純魔法】とかでどうとでもなるし、そういうのが無かった最初の頃でも疲れはするだろうけど地面とかに文字くらい書けただろうし。
なんで誰もその辺を指摘してくれなかったのか気になるところだけど、【妖精】はそういうものだって認識になっちゃってたんだろうか。
なんかこう、よくわかんないけど何か制限っぽいものが有るんだろうかって感じでさ。
……あと可能性としては、何故やらないのかは判らないけどなんか面白いから良いかってスルーされてるパターンと、私のあまりのポンコツっぷりに今更指摘しづらい空気になってしまったパターンだね。
よし、正直後者の可能性が割と高い気がするから「実は解ってたけど敢えて使ってなかった」って事にしておこう。
そういう話になったらどうせすぐにバレるだろうから大した意味のない決意だけど。
「おーい」
「あ、ごめん」
またしてもどうでも良い……かは微妙だけど思考が飛んでたところをアヤメさんに呼び戻される。
「言っとくけどそっちが無意識に動かすだけの動きでも、こっちは結構大変なんだからな?」
「……ほんとごめんなさい」
そんなに左手を動かした記憶は無いけど、その程度でもアウトなのはよく解ってるのでちゃんと謝っておこう。
「妖精さんが考え事する時に口に人差し指を当てるタイプじゃなくて助かったっすね」
「むしろ見てみたかった気もするけどな」
いやミカさん、その状況って多分全員まとめてぺちゃんこになってると思うよ。
あと流石の私でも、口に当たった感触で気付くと思うよ。
多分。
というかなんでそんなのが見たいんだミカさん。
まぁ見る機会なんて無い珍しい光景ではあるだろうけどさ。




